この大地「ファンタズマゴリア」にはスピリットというものが存在します。
外見は人間と同じ。
違いはハイロゥという特殊な物が備わり、不思議な力を使えること。
私達スピリットがいつからこの大地に存在し、人間とともにいるのかは分かりません。分かるのは何故か何処からか転送される、ということ。必ず現れるのは少女、ということ。そしてスピリットが死ぬとマナに還る・・・その3つ。
スピリットはその召還されると同時に現れる剣、それを手に戦うことが出来ます。
人間はスピリットを戦争の道具として使うのは、人間とは比較にならないその生命力、そして力の為です。
ある日、この世界でのマナという存在が一定量だと気づいた人がいました。
そして、この世界で使われているエーテル技術という物、それによってマナとエーテルを交互に変換すると少しずつ・・・少しずつ減少するということを。
彼の発見は、この世界の王達に衝撃を与えます。
すでにこの世界では、エーテル技術をとめることが出来ないほどに、幅広く使われていました。
そんな中で、自国のマナを多く所有する方法・・・、一番早い手段として他の国のマナを奪うという考えにたどり着くのに・・・長い時間は掛かりませんでした。
そんな侵略戦争で戦わされるのはスピリット。
人間の代理として戦わされます。
そしてそれは何十・・・何百年と続いているのでした。
そして・・・時は西にマロリガン、南にサーギオス、そして北に北方五国の国に別れた時代、ある日5人の来訪者が現れエトランジュとして活躍する時代の話。
北方五国の中で、最も北に位置するラキオスという国に、悠人と呼ばれる1人の少年が、妹である「佳織」と共にこの世界へと永遠神剣の『求め』により連れてこられます。・・・そしてラキオスという国にいる王に、その妹を人質として奪われ、強制的に戦わされていたのです。
ラキオス。この国は他の国と同様にスピリットを戦争の道具として使っていました。そしてそのスピリットたちはスピリットの館、というところに押し込められ訓練をし、そして前線へと連れて行かれました。
これはその館の1つでの話・・
―――チュンチュン
小鳥の囀りが聞こえる。
「う〜ん・・・ふぁ〜ぅ・・・・・ん・・・よし!」
そういい少女・・・私は、布団を跳ね上げると元気な返事をして気合を入れました、戦闘服を着て朝の訓練に備えます。・・・それに
(今日は記念すべき日なのです、絶対寝坊なんてできません!)
「ほらぁ〜ハリオン姉さんも起きた起きた〜」
「うぅ〜ん〜・・・ヘリオンちゃん〜あと・・・10時間くらい・・・寝させて・・・♪」
「もぅ、強制です。・・・て〜いっ」
問答無用で布団を引き剥がしました。そして直ぐ奪われない様に、寝た状態で取れないギリギリの位置に飛ばします。
「きゃあ〜・・・ううっ・・・シクシク。ヘリオンちゃんが苛める〜・・・Zzzz。」
そんな嘘泣きをしてるのは緑の髪のどことなくおっとりした少女でした。・・・・・その会話に飲まれると自分のペースを狂わされる、といわれることから魔女とも言われてます。
「姉さん嘘無きはいいから早くご飯食べて訓練に行きましょうよ。」
「Zzz・・・はぁぁい。」
こうしてスピリットの館での1日がはじまる・・・
「てい―――はぁ!『居合いの太刀』」
「む―――やぁ、たぁ!」
早朝のすがすがしい空気の中で私達は訓練をしています。今やっているのは剣技の練習。
私の剣が二ムの体を狙います。が、それを二ムはきれいに捌きつつわたしに反撃してきます。私はその攻撃にあわせてカウンターとして、さらに『居合いの太刀』、をします。それで両者ともに吹き飛ばされたところで教官から
「おまえら2人、戦い方が違う。そこは攻撃を警戒して・・・んで・・・(中略)そうして・・・こうするんだ。わかったか?」
「はい、分かりました教官様。」
「・・・・・・真面目にやってるのにー・・・ムカつく。」
これがスピリットの訓練風景・・・基本的にスピリットの訓練は、同じスピリット同士での模擬戦で行ないます。人間とでは力が違いすぎるせいですが、さっきの教官のように、実のところ、スピリットと五分で戦う力を持った人間もいたりします。でもそれは、技による優位性の為で、強力な一撃を食らえば1撃で死に至る傷を負います。なので、危険な為、スピリット同士で戦わせ、技の使い方、剣の振り等を教わります。
「うー・・・ヘリオンの攻撃もうちょっとで完全に防げたのに」
「あはは。私はまだまだですよ。二ムに攻撃一回も当てられませんでしたし」
「ふふん」
この子はニムントールといって私の友達です。愛称は二ム、黒スピリットの姉と慕うファーレーンさんにべったりのお姉ちゃん子です。少しひねくれてるところがあるけれど年下なので可愛く思ってます。
ファーレーンさんは向こうで訓練している長身の方で、ラキオスのスピリット隊では実力的に上位5人に数えられるんじゃないかなぁ・・・と思います。
「それじゃ・・・私は上がるからー」
「あ、はい。訓練お疲れ様でした」
「じゃね〜」
タッタッタッっと走っていく二ム、確か向こうではファーレーンさんとローゼスさんが訓練中なんだなぁ・・・そう思いつつ私はもう少し体を動かしていました。
朝の訓練後は朝食です。本来ならセリアさん、ヒミカさん、私、ハリオン姉さんの5人がこの時間いるんですが、姉さんは寝坊です・・・朝の訓練も二度寝してたり
お気に入りのジャムをパンに塗り塗りしていると
「そういえばヘリオンは今日からお勤めですか?」
そう話しかけてきたのはセリアさん。青髪のロングヘアーで何でもできるような人です。剣技も優れ、部隊の統率力も高い落ち着いた女性です。
「はい、わたしは姉さんと一緒の隊らしいです」
「そうなんだ〜、んじゃ私と一緒の隊だね」
とヒミカさんがいう
「え・・・えーー!、ヒ、ヒミカさんとじゃ私なんて足手まといにしかならないですよぉ」
「そんなことないって、それにお前より年下のネリーやシアーだって一足先に戦ってるんだぞ?そろそろ実戦で戦わないと離される一方だろ」
「は、はぅぅぅ」
(そ、そんなこといわれても・・・困ります・・)
ちなみにヒミカさんはセリアさんと同じく部隊長を務める人です。任務はきっちりこなし、戦闘力はセリアさんよりも上。戦闘中はとても真面目ですが普段は気さくな良い人です。
「ヘリオン、ヒミカがいるからってそう身を縮こまらせなくてもいいでしょう。それにあなたは真面目で頑張りやさんなんだしきちんと戦えるわよ」
セリアさんまで・・・。
「皆さん、おっはようです〜。」
だらしなく服を着て寝癖たっぷりの姉さんが二階から・・・はぁ。
「遅いぞハリオン」
「ハリオン貴方いま何時だと・・・」
「それよりご飯はまだですか〜?」
姉さん反省してない・・・ということはまた・・・。
「貴方は朝ごはん抜きです。さっきと支度して城に行きましょう」
「え・・・えぇぇぇ〜〜〜〜!?」
「そうだな、行くぞヘリオン」
「あ、まってください。いま二階で書類とってきます」
「そうだった、今日初勤務なんだな。がんばれよ」
「はいっ!」
わたしは元気に返事をすると(背後からのゴーハーンー(TT (は気にしないで)城に向かいました。
同時刻
『契約者よ』
「うるさい馬鹿!・・・いまそれどころじゃ・・って・・・うぎゃ――!」
天井近くまで、吹き飛ばされる俺だった。そしてそれを冷ややかに見つめるのはアセリア、滅茶苦茶怒ってるぞ、おい。
「ユート・・・馬鹿・・・ふん」
プイッ
「ううっ・・・エスペリア止めてくれても・・・」
助けを求めるかの様に、エスペリアとオルファに顔を向けるが。
「いえ・・・いまの非はユートさまですから、止めるべきか悩んでしまいまして」
「パパ〜、食い意地張りすぎだよぉ〜?」
発端というより・・・訓練後の朝食において、自分の分と間違えてアセリアの分を食べてしまったらしい。そして、それがアセリアの好物だった為に・・・。
それに怒ったアセリアが剣で怒涛の攻撃を・・・この世界でも食い物の恨みは・・・恐ろしいですよ・・・。
「佳織・・・危うくお兄ちゃんは食い物の恨みで殺されるところだったよ。アセリアに室内で剣で殺害・・・ああ・・・」
「ユート・・・死んでみる?」
無表情にいうアセリア・・・その目が怖い。
「ごめんなさいアセリア様」
『契約者よ、情けなくて私は泣けてくるぞ?』
「うるさい馬鹿剣!!」
そんな騒ぎの後、エスペリアがお茶とアセリアの分のご飯をもってきて、それをテーブルに並べつつ・・・。
「ユートさま今日は新しくスピリットが加わります」
といいつつ紙を渡してくれる、それには新しく前線に送られるスピリットの名前が記載されていた。
「ふぅん・・・赤スピリットが2人、青スピリットが1人、黒スピリット・・・が1人・・・なぁエスペリア、黒スピリットってどんな奴だ?」
それを聞いて、エスペリアは訝しげに。
「どんなやつ、といいますと?」
「いやぁTVとかゲームだと黒って悪のイメージ強いから、性格きついとか闇を好んで「うひょひょひょ」いうとか・・・」
「TV?ゲーム?それに「うひょひょひょ」・・・って。・・・黒スピリットはラキオスには数は少ないですがそんな性格が悪いとかはないですよ」
「へぇ」
「しいていえば・・・夜を司る精霊達ですね。アンチブルースキルで敵を攻撃し、その身軽な身のこなしで攻撃を仕掛ける・・・そんな子達です」
「なるほどな。ま、会ってみたら分かるだろう。さて、城に行くか・・・あのラキオス王には会いたくないんだけど・・・な」
「今日は出かけています」
「あの親父、会うたびに偉そうに踏ん反りがえりやがって・・・、いないってのは嬉しいな。それじゃ、行くか」
「ん、いこう」
「は〜い、パパっ!」
「行きましょうか、ユート様」
城の一室、スピリットたちへの命令・指示を出す為の部屋。そこに若い5名のスピリット、つまり私達と案内役のセリアさんが入室しました。実務専用の為か装飾は少なく実務的。でも日の光が入る部屋で意外と居心地はいい部屋です。
そして私は待たされてから10分後、人間が3人とエスペリアさんが部屋に入ってきました。
そのとき入ってきた1人の姿を見て私の胸は・・・ドキドキしました。
俺は部屋にはいってきた。エスペリアの他にいる人間の兵士は、俺の見張りらしい。
ただこんなにもオドオドとしていて、しかも実戦経験のない兵士に監視させるとは・・・俺も舐められたものだ。佳織という人質に絶対の信頼を置かれてるのだろうが、それで俺をいつまで束縛できると思って・・・・。
俺は部屋の前面にある机の前に移動した。スピリットたちはその前で整列している。
「あ〜、俺の名前は高嶺 悠人だ、ユートと呼んでくれればいい。」
「とりあえず自己紹介からしてもらうか、左から順に言ってくれ。得意な配置、技、戦闘方法、あとは趣味でもいってくれればいいさ、まぁ気楽にな」
するとまず一番左の青スピリットの少女(少年?)から・・・。
「ボクは『吹雪』のクゥリンです。主に後衛でのサポートを得意としています。趣味は・・・独自の魔法開発ですね」
・・・順々に紹介されていく・・・さて、次はあの黒スピリットの子の番か。彼女はぺこっと凄い勢いで礼をし。
「あ、あの、私はヘリオン・ブラックスピリットがブラック・スピリットといいますです!!って違う!得意な配置はえーとえーとえーと・・・ぁぅぁぅぁぅ」
あまりの慌てっぷりに俺達はシーンとなっていた。名前とスピリット・・・言う順番逆だし。
「は、はぁ・・・慌てなくていいから落ち着いて」
「は、はい!技とかは未熟なのでどれもまだ得意ではないですが、がががんばります!!」
顔を真っ赤にして可愛らしい・・・よっぽど緊張してたみたいだな。しかしブラック・スピリットも他の妖精と同じ感じだし、これなら普通に話せるな。・・・にしてもこの子は小動物っぽくて実戦で戦えるのか疑問だが・・・。
「じゃあよろしく頼む、ヘリオン」
「は、はい!!」
私の部隊は、朝食の時の会話どうりにヒミカさん・ハリオン姉さんと組みわたしがサポート役になったみたいです。・・・・でも・・あんなに緊張して・・・・はずかしぃぃぃぃ。
それから数日過ぎました。ラキオス王の宣言により、かねてよりの宿敵であるこの国より南東の国バーンライトに攻めることになったのです。そして今、先発隊として行った者や、偵察任務以外のものが全て集まり・・・その前に将軍格?の初老の人が現れて・・・こういいました。
「あ〜、スピリットどもよ。我が国の為にその身をマナに変えても戦い抜くのだ!!。敵は宿敵バーンライト、貴様らは集められた道具・・・精々役に立つがいい」
といい立ち去る・・・人間風に言うと激励なのだろうが・・・なんて言い方だろうか。向こうではさっきの人が人間の兵士にたいして激励をいう。こちらは普通の激励で「では生きて戻ることを期待する!」という声が聞こえてきた。
「・・・あいつ、自分は後ろで踏ん反り返ってるだけの癖してー、むかつくなぁ」
「こ、こら二ムったら」
スピリットの中で唯一、小声で文句を言った二ムを押しとどめるファーレーンさん。でもユート様も同じような気持ちなのでしょうか、注意はしませんでした。
「仕方ないさ、だが俺は可能な限り誰も死なさない。いや・・・死なせない!」
「ユートも・・・弱い癖に」
それを聞いてその隣にいたクゥが。
「ねぇ、二ム姉様。ユート様ってエトランジュなのに弱いの?」
「んー・・・だって模擬戦でユート相手だとまだ一回も負けてないんだもん。・・・12回ほど戦ったのかな?私の全勝」
「うわぁ〜、隊長の癖してよわーー」
「こら、2人ともいい加減にしなさい!」
それを聞いて逃げる2人。逃げていく2人を追いかけていくファーレーンさんとそれを見つつがっくり肩を落とすユート様・・・でも私は知っているんです。あの日私達を救ってくれたユート様の強さを・・・。
戦闘はこう進みます。バーンライトへの進行は敵の拠点、リーザリオとリモドアの2つを落としてからでないと進めません。なので部隊を2つに分けて両方の拠点を同時に落とし、そのまま敵の本拠へと攻め込む手筈となりました。
「では、これより全員出陣です。これより作戦に入ります」
そうエスペリアさんが言うと、第一陣として、ユート様と切り込み隊長のアセリアさんや副官のエスペリアさんたちを含む1軍が、先にリーザリオに向けて出陣。私達は、セリアさんとヒミカさんたちが2軍を率いてリモドアを落とすことになりました。
まだ少し、出撃までの時間が残る今、私は二ム煮話しかけていました。
「ねぇ二ム」
「んー?なにーヘリオン?」
「ちょっと聞きたいのだけど・・・いいかなぁ?」
「うん」
こくっとうなずく二ム。私は当たりに誰もいないのを確認して。
「戦場で敵を倒したことって・・・ある?」
「んー、私は守り担当で攻撃に加わること少ないけど・・・あるよ」
「怖くなかった?・・・殺すこと」
そう私が聞くと、不思議そうな顔で。
「別に〜、殺さないとこっちがやられるんだし。・・・あ、もしかしてヘリオン怖いの?守ってあげよっかー?」
そういわれてわたしは首を振ると。
「いえ・・・でも私にとっては初めての戦いなので、緊張してるんです。敵を倒して、平気でいられる自信なくて・・・」
「うーん、戦闘の最中にそんなことを気にする余裕無いと思うー。それに直接手を出したくないならサポーターに回して貰えば?ヘリオン向きだし。」
「はい、ちょっと相談してみますね。それじゃ二ムまた後で」
私がそういって立ち去る。「じゃねー」という声を聞きつつ自分の部隊に戻りました。そして・・・。
「さーていくぞ、皆。バーンライトの奴らを倒すんだ」
そうヒミカさんがいい自身の剣『赤光』を抜き。
「そうですよ〜そして早く帰ってお菓子の時間なのです〜」
と姉さんがいい同様に『大樹』を構えます。(でも姉さん・・・お菓子〜♪って歌うのは恥ずかしいです)そして私も自身の持つ永遠神剣『失望』をいつでも抜ける状態にして。
「はいっ!いきましょう」
私達は2部隊でのリモドア方面の攻撃部隊、さらにその一陣に回されました。一部隊目がヒミカさん率いる私達の部隊、二部隊目がファーレーン、二ム、ネリー。
ある程度リモドアへの道を進むと、待ち構えているスピリットの姿が見えます。
前方に敵がいるのを偵察していた私は、それを見つけ報告しました。ハイロゥで飛べる為に、偵察役です。
「さっそく・・・敵部隊のお出ましね」
「戦闘よ〜い!!皆さん、行きましょう!!」
味方部隊が2部隊、敵部隊が3部隊。数の面では不利な戦い・・・そして、これが私の初めての実戦でした。
敵も私達が近寄るのを察知し
「むっ、敵だぞ、カルーナ、ロナ詠唱を開始だ!青スピリット隊突撃!」
向こうは2人の赤スピリットで後方からの攻撃3人の緑スピリットと4人の青スピリットでの接近戦狙い。そして後ろの赤スピリットの魔法が完成しようとするタイミングで・・・
「させるもんですか!『アイスバニッシャー』」
ネリーが空間を凍結させで敵の魔法を消滅させようとしました。でも
「え、ネリーが力負けするの!?」
片方は止めましたがもう片方の人の呪文は完成、その効果が現れます。
「食らえっ!『ライトニングファイア』」
前方に燃える炎の柱が現れそれが・・・前方にいるヒミカさんを焼こうとします。でもそれを姉さんが庇って防ぐ・・・耐え切ったようです。
「くぅ〜、熱いですよ〜。」
「すまないハリオン。さて、こちらも・・・行かせてもらいます」
ヒミカが前方の緑スピリットの持つ槍、それに直接剣を叩きつけます。そして連続で今度は無防備な頭にもう一撃!ヒミカさんの得意技『ダブルスイング』が決まります。
「急所に当てればっ!」
しかし立ち上がり攻撃を仕掛けてくる・・・すこしずれて肩に食らったようです。でも重症で動きが鈍っている為、ヒミカさんは敵を放置、次に向います。
私も何かしないと・・そうだ!
「わ、私だって、こ、怖いんですからねっ! 『テラー』」
相手に恐怖を与える魔法。これを敵の青スピリット4人に掛けて混乱させる。
「くっこんなもの」
「う、うわぁ」
「いいタイミングだ、ヘリオン!もう一度・・・はぁ!」
そういい、1体の青スピリットを切り捨てるヒミカさん。
「・・・お姉ちゃんお願い!連携で仕留める。」
ニムントールが混乱してる青スピリット達のところに突進し、混乱を完璧な物とさせる、そしてその出来た道に突進する影1つ・・・
「はぁ!『雲散霧消の太刀』」
流れる刃が敵のエーテル結合を切り離す・・・・そして残りの青スピリット3人を無力化し、そのままファーレーン隊は敵の後衛部隊へ突撃、ヒミカ隊はそのまま緑スピリットと戦闘をして、両方とも勝利を収める。・・・でも。
「うわぁぁぁぁ!」
「!!・・・きゃあ!」
倒したと思っていた最初の青スピリットが起き上がり私に剣で切りかかってきます、そして私は条件反射で切り倒す・・・そして死んでいくスピリットの顔を直接見てしまった・・・
「あ・・・ああ・・・ひっ!」
私はその余りにも凄まじい死に顔に剣を落としてしまいました・・・気おされました。既に残りの敵が残ってない今だからともかくまだ戦闘中ならわたしは・・・この隙を突かれ死んでいたでしょう。
暫くして私は立ち直り、いま町内で戦っているヒミカさんの後に追いつく為。剣を拾いました。それから1時間もしない内にリモドアは陥落しました。
その日のうちにリーザリオの方も制圧が完全に終わったらしく、わたしたちはサモドアに向けて移動を開始しました。次の戦いのために・・・。
別の戦いを見ていたある影の声が聞こえる。
(・・それでいいぞ『求め』の契約者よ・・・力をつけるがいい)
しかし、それには誰も気づかなかった・・・。
「「「ワーワーワー」」」
ものすごい歓声が聞こえる。聞こえるのはバーンライトの首都であるサモドア・・・つまり占領した為である。バーンライト王国は滅んだ。ラキオスのスピリット隊は3名もの死者を出しながら勝利を掴む。
「きゃあ、こ、この家には何もありません」
「うわ、お、俺はバーンライトとは関係ない・・・助けて、グエッ!」
「な、何ですか貴方達は・・・っ、きゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
辺りには暴行、暴力、略奪・・・好き勝手に暴走するラキオスの「人間」の兵士達がいた。彼らはスピリット隊がこの国を占拠と同時にこの町になだれ込み、そして国王の首を切り・・・
(地獄絵図・・・だな。おれはこんなことの為に・・・戦ったのか)
俺はこれ以上見ることも出来ず、その場を立ち去った。
「終わったんですね・・・ヒミカさん」
「・・・だな」
『私達は・・・こんなことのために命を懸けて戦ってたんでしょうか?死んだあの3人、それに負傷した子達・・・かわいそうです。」
ヒミカさんは私の頭をぽんっと軽く叩くと
「しょうがない・・・さ。あたしらはスピリットなんだから。さぁ、私達も戻って休もうか。今はそれしか出来ないしな。」
「・・・はい。」
戦争が終わり、戦争を実際していたスピリット達は殆ど帰還する。残るのはユート様たちとここの守護の人達だけです。わたしはこの場所にいられず、離れた丘の上で虚空を見ていると・・・あの人がやってきました。
「・・・ん?君は確かヘリオン・・・だったかな?」
エトランジュのユート様、です。
「え?・・・あ、は、は、はい!!」
「ははっ、そうかしこまらなくてもいいのに。ヘリオン、緊張しすぎだよ。おちついてくれ、な?」
「あ、ははい、わかりました。」
「君は・・・まだ帰還しないのかい?この地にとどまっても嫌な思いするだけだけど」
「・・・実は――――」
黙って私の話に耳を傾けてくれるユート様
「そうか・・・戦闘中に敵を殺したのが始めてで、その時の感覚が忘れられずにいたのか。」
「・・・・・・はい。殺しちゃった子も命令を受けただけの子のはずです。それをわたしは・・・」
そう呟きわたしは顔を下に向ける。
(これはかなり落ち込んでるな・・・)
「ユート様は平気なんですか?人間に戦わされてるスピリット達を切ることが楽でないのは戦っている時の表情から・・・わかりますけど。ユート様戦闘中いつも厳しい顔していますし。」
いまのユート様の顔は、たぶん今の私と同じく・・・泣いている様にも見えます。
「ははは・・・とりあえず殺した敵のことは、忘れないようにしている。たとえ敵だったとしても無意味な死にはさせたくないから」
そして「よいしょ」といい立ち上がり
「・・・とりあえず今日は帰って休むといい、俺はまだ仕事が残ってるから一緒には帰れないけどね」
そういって頭を撫でてくれました。
「あ、わわわわわ!」
「うわっ!・・・悪いっ、ダメだったか?」
「い、いえ、嬉かったです」
にこっと微笑む私・・・・・とても嬉しかった・・・恥ずかしいけど。
そういうとユート様も微笑んでくれました、そしてもう一度だけ、くしゃっと頭を撫でてくれます。
「そうか、それならいいんだ。とりあえず館に帰ってお休み、へリオン」
「はいっ!ユート様!」
――――バサァッ・・・
ウイングハイロゥを広げた私は、サモドアからラキオスに帰還することにしました。途中、森の中に人影が見え、興味本位で追ってしまいましたが・・・これが私の運命を変える事となるとはまだ誰も知らないのです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
★『吹雪』クゥリン オリジナルキャラ
杖型の第八位永遠神剣『吹雪』と青スピリットでありながら独自の攻撃魔法を所有。そのためディフェンス・サポート能力的には全青スピリットの中でも最高クラスの天才児。ただし、その分アタック能力は低く動きも遅いために向かない。
☆サポートスキル ブリザード
凍結魔法 威力はまったくなく赤スピリットのファイアーボール程度だが、敵全体に効果があり、特殊効果として一定確立で敵をフリーズ(行動不可)にさせる。
この状態になるとその戦闘フェイズは動けない。
☆サポートスキル コール・サモン・コールド
凍結魔法 敵サポート>ディフェンス>オフェンスの順に効果がある即死魔法。
食らった相手は一定確立で氷の柱に閉じ込められ、細胞を全て押しつぶされて死亡する。
○戦いでの3人1組という部隊はゲームと変わらなくしていますが、ラキオスのスピリットの数も多いいとと考えている為、多対多 多対1なども考えられるので戦闘シーンが本編と変わると思います。