「へぇ、ここがエレキクルかぁ」
{ああ。結構・・・な}
「ああ」
俺はなるべく感情をこめないようにしていた。ボロボロの建物ばかり、健在なのはお城だけ・・・。
(・・・さっさと終わらせよう。こんなくだらない戦争)・・・
俺は城の前にきた。
「カノン、どうだ?」
{・・・そこのマンホールだ}
俺はマンホールの蓋をあける。すると、階段が現われた。
「ビンゴ♪」
俺はそこを進んでいく・・・。
「ここが・・・」
俺にとって、最悪の思い出の場所。
研究所・・・マッドサイエンティストに体をいじくられた記憶はないが、実際はそうだったらしい。
「・・・一つぐらいなら壊してもいいかな?」
機材にカノンを向けた。
{ダメだ}
「ちぇっ・・・」
俺はそのまま進む。しばらくして、階段があった。
(カノン、どうする?)
ここから先は、いくら頑張っても見つかってしまう。
{任せろ}
キュィィィ・・・
体が透明になっていく。
「よし、偉いぞカノン。今度酒かけてやる」
{いらんわ}・・・
そして、まずは悠人の妹の部屋に来た。
カチャ・・・
俺は部屋に入る。
すると、そこには『打ち合せ』どおり、悠人と妹がいた。
俺はスケルトンを解く。
「よっす」
「来てくれたか」
安心した顔を見せる悠人。
「んじゃ、妹さんは任せてくれ」
「ああ。佳織、この人の言うことちゃんと聞けよ?」
「うん・・・」
悠人は部屋を出ていく。
「じゃぁ、今から俺の部屋に送るから、絶対に部屋を出ちゃダメだぞ?部屋には、レイナっていうお姉さんがいるから、今度はその人の言うことちゃんと聞いてくれよ?」
「は、はい」
「誰かが尋ねてきても、絶対にあけちゃだめだからな?」
「はい」
俺はカノンを妹さんに向ける。ピクッと驚いていた。妹さんの体が光りだす。
「・・・アデュー」
プシュンッ。
妹さんは一瞬で消えた。
「よし、カノン。次だ」
{急げよ?}
俺は再びスケルトンをかけた。
(えっと・・・次は・・・ここだ)
俺は部屋をあける。そこには、エスペリアとプリンセス・・・確かレフィーナとかいったっけ?
その人がいた。俺はスケルトンをとく。
「あなたが・・・」
「はい、お初におめにかかります。大川啓太といいます」
「・・・正直、王族の私がこのようなことをしていいのかわかりません」
「・・・あなたの望みが、一刻もはやく戦争を終結させることなら、俺はこれが一番いいと思います。たしかに、負け、という終わり方ですが、俺や、王の周辺の実権を握る人たち・・・軍上層部・・・といっても、メルフィーとメシフィアとレイナとアエリアだけですけど・・・その人たちも、十分に賛成してくれました。ウチの王がヒドイ事をしようとしたら、おれたちが全力で止めるとお約束します」
「・・・」
「みんな・・・平和を願ってたんですよ。あなたの国の事情を知っているからこそ・・・だからこそ、お互いに手を取りたかった。でも、王のせいでそれができなくなって・・・責任は、手を取り合おうとしなかったおれたちにあるのかもしれません」
俺はそのときいなかったけどね。と盛り下げる言葉は心の中へ。
「あなたみたいな人が・・・カオストロにいて、本当に良かったです」
レフィーナは涙を流した。
今までの責任やらなにやらが、もうすぐ解放されるのだ・・・。
「エスペリア、後は任せて」
「はい。くれぐれも、よろしくお願いします」
エスペリアは部屋を出ていった。
「泣くのは、戦争が終了してからです」
「はい・・・!」
「では、今から俺の部屋に送ります。そこには、悠人の妹さんと、俺の部下のレイナがいます。絶対に、部屋から出ないでください。いいですね?」
「はい」
俺はレフィーナさんにカノンを向ける。レフィーナさんが光りだした。
「これで・・・任務終了」
プシュゥンッ!
レフィーナさんは一瞬で消えた。
「あとは・・・シメだね。スピリット隊をおびき出して、おれ達の領土までつれてくればオッケーと」
{そうだな・・・}
「長い・・・戦争だったね」
俺とカノンは月を見上げる。カノンは見ているかわからないが・・・たぶん、見ているだろう。そんな気がした。
{・・・ああ}
「・・・終わりか」
{・・・そうだな}
「さて・・・行こう!」
{ああ!!}
俺はそのまま窓から飛び降りる。俺はそのまま敷地内を走りまわった。
カーンカーンカーン!
すぐに鐘がなった。
ドダダダダ・・・
おびただしい足音。
先行してきたのは例のスピリット隊だ。俺は出口へ一気に走る!
タンッ・・・
俺はそのまま城壁をジャンプして越えた・・・。
「もう少しだ・・・!」
すでに、俺の後ろにはスピリット隊しかいない。
永遠神剣の加護で身体能力が上がったおれ達についてこられる人間などいない。
このままカオストロ城へ・・・!そうすれば、戦争は・・・!
ヒュッ!
「!!」
おれはすかさずカノンで身を守る。
スタッ・・・
いきなり襲ってきたのは・・・。
(へへっ・・・やっぱりそううまくいくはずもないか)
「兄貴・・・か」
「久しぶりだなぁ、啓太」
相変わらず人を見下した目線。
いつから・・・そうなったんだろう?
ヒュッ!
「!?」
俺は後方の気配を感じて、カノンで身を護った。
パキィィン!
「・・・誰だ?」
「秋月瞬・・・だ」
「・・・マジで誰?」
ダダダダッ・・・しまった。おいつかれちゃった。
まぁ・・・いっか。もうほとんど国境だし。
「啓太ーっ!・・・って瞬!?」
「なんだ、悠人の知り合い?って・・・なんで構えてるの?」
「啓太、コイツは・・・」
「貴様・・・国を裏切るのか?」
完全に悠人と瞬の世界だ。どうやら俺にはわからない、そうとうの因縁があるようだ。
「俺は、別に国のために戦ってたわけじゃない。かお・・・」
「黙れッ!!その呼び方を・・・するなっ!!」
秋月が叫んで言葉を潰した。その尋常じゃない様子に、ある事実が思い浮かんだ。
「・・・カノン」
{ああ・・・あいつは・・・永遠神剣に取り込まれている。取り込まれている・・・というより、操られているだな}
「助けるには?」
{・・・無理だ。相手をしている暇がない}
「・・・そうみたい!」
カキィィン!!
「反応がはやくなったな」
「兄貴・・・もうやめよう。おれ達が戦う理由なんて・・・」
「あるさ。一生なくなるものか・・・!」
「・・・母さんのせいか?」
「・・・それもある。おまえは親父に暖かく育てられたんだろう?だが・・・俺は正反対だった。母がエクステルだったせいで、俺は化物のこどもとされて、あらゆる偏見、差別、疎外をうけてきた!この苦しみがわかるか!?わらかないよなぁ!?」
「・・・ああ、わからないよ。わからないさ・・・!そんな腐った兄貴なんてわかりたくもねぇな!!」
カノンを押して弾き飛ばす。
「俺が知っていた兄貴は、もっとやさしくて、強くて・・・温かかった。どうして・・・どうして腐っちまったんだよ!!」
「黙れッ!!うおおおぉぉ!!」
(っつ!?)
兄貴の持っていた剣がまがまがしく変化していく・・・。
「あれは・・・」
{啓太・・・兄貴は・・・もう・・・}
「・・・あの剣は?永遠神剣なのか?」
相当のプレッシャー・・・おそらく、カノンと同等のだ。
{・・・ああ。永遠神剣・・・第一位『悪光』}
「・・・永遠神剣か・・・あれを砕けば兄貴は助かるんだな?」
{・・・位は同じ、下手すれば俺も啓太も死ぬ・・・それでもやるか?}
「もちろんだ・・・!兄貴、待ってろ・・・!」
{急いでくれ。精神が全て取り込まれれば、一緒に精神も死んでしまうぞ?}
「ああ!」
「うああああ!!!」
「うらぁぁ!!」
キィン!
ドガァァァァ!!
剣をあわせただけで爆発が起こる。どうやら、兄貴も乱舞剣のような残劇を生み出せるらしい。
「兄貴!元に戻ってくれ!」
「オレガオレダ!ソレイガイノナニモノデモナイワ!!!」
キィィィン!!
「ぐっ・・・!」
弾き飛ばされた。力が・・・本当に互角だ。なら・・・俺が勝つ!
ここで勝たなければ・・・兄貴は!
「でぇぇぇやぁぁぁ!!」
俺は下段を斬る!
ザパァァンッ!
地面が大きくえぐれる。兄貴は当然ジャンプしてよけた。
「ウラァァァ!!」
兄貴が俺に真っすぐ剣を振り下ろす。受けとめれば残劇を食らうのは必至。
なら・・・!俺は上体をそらせて、上をむいた。そして、カノンを思いっきり上にむかって薙いだ。
バスゥゥゥッ!
風の刃が兄貴の剣を止めた。
「っ!?」
「もういっちょ!!」
俺はもう一度薙いだ!今度は兄貴のボディをとらえる!
「グフッ!!」
宙でバランスを崩され、倒れてくる兄貴。
(ここだ・・・!カノン!)
{ああ!!必ず砕くぞ!}
「はぁぁぁぁ!!」
兄貴が真上から落ちてくる。剣の位置は兄貴の頭の上・・・。外せば兄貴を殺してしまう・・・。
外さないさ!絶対に!
「エタニティーフリーダム!!」
俺の手から空に光が放たれた。
俺はタンッとジャンプして、兄貴より上にいく!
ズドォォォォ!!
バァァァァン!
カノンに光が落ちてきて、カノンが光を纏い、パチパチ弾く。
その光の衝撃で俺は一気に地面へと加速する!
「はぁぁぁぁ・・・!!これで終わりにしてやるっ!!」
俺は思いっきりカノンを振り下ろした!人間の三倍はあろうかという衝撃波が兄貴目掛けて飛んでいく!
ザパァァァンッ!!!
ズバァァァァァ!!
ドゴォォォォ・・・!!
その衝撃波は当然地面をえぐった。
その衝撃が並大抵ではなく、ゴォォォォッと爆発の余韻で兄貴と俺は光に包まれた・・・。
「・・・兄貴?兄貴」
「う・・・」
「良かった・・・」
兄貴がうっすらと目を開けた。その事に安心する俺。
「俺は・・・?」
『悪光』は砕け、光となってカノンに吸い込まれた。
「良かった・・・本当に良かった!」
「・・・悪い、啓太・・・」
ガハッと血を吹きだす兄貴。
「兄貴!?」
「どうやら・・・呪いをかけられたみたいだな・・・」
「今治療するから!カノン!」
{・・・ダメだ}
「え?」
{『悪光』の呪いで、治癒効果が反転される。治療しようとすれば、いますぐ兄貴は死んでしまう・・・!}
「そ、そんな・・・!ここまできたんだ!なんとか・・・!」
{すまない・・・}
カノンの声で本当に手段がないと悟る・・・。
だが、そんなことで諦められない!諦めてたまるかッッ!!!
「そうだ!逆に攻撃すれば・・・!」
{治癒効果が反転されるだけで、攻撃すれば普通に傷つけるだけだ・・・}
「ウソだ!絶対に打つ手があるはずだ!!」
「啓太・・・もう、いいんだ」
「良くないよ!何がいいのさ!?」
俺の目から涙がこぼれる。兄貴の顔へと落ちた・・・。
「俺は・・・長い、長い夢をみていた・・・」
「夢・・・?」
「ああ・・・おまえと殺しあう・・・そんな夢だった」
「・・・兄貴!」
俺は、ただ何もできなくて手を握る。
離れないように・・・兄貴が死なないように・・・。
「やっぱり・・・おまえは昔のままでいてくれたんだな・・・」
「兄貴!ダメだ!」
兄貴の目が閉じていく。
「最後に・・・おまえの閉ざされた記憶を開く。おでこをあわせろ」
「・・・」
俺は無言ででこをあわせた。すると、さまざまな出来事が一瞬で入ってきた・・・。
それは俺と兄貴の幼い頃の記憶・・・
『ちゃんととれよー!』
『任せてよ!』
俺は兄貴とキャッチボールをしていた。川辺で遊んでいて・・・それで、俺はボールを外して、川へ落としてしまった。
それを追って川へ入って、俺は溺れて兄貴に助けだしてもらったんだ・・・。
『啓太はバカだなぁ』
『ごめん・・・』
『でもな、ボール取ろうとしてくれたんだろ?』
『うん・・・』
『ありがとな』
『・・・』・・・
そんな、普通の日常。俺と兄貴の・・・そして、あの日を最後に・・・記憶は終わった。
「なんで・・・」
俺の目からは止めようもない涙が溢れていた。
「なんで・・・いまさら!」
「ホント・・・いまさらだよな・・・悪い、啓太・・・おまえには何もできなくて・・・」
「そんなことない・・・!俺は、兄貴にいっぱいしてもらった!楽しいこと、うれしい事・・・ホントに・・・いっぱい・・・」
「啓太・・・終わりは始まりって知ってるか・・・?」
「え・・・?」
「戦争が終わっても・・・また始まる。だけど・・・その連鎖を止められる力を、啓太は持ってる・・・だから・・・頑張ってくれ」
「兄貴!いくなよ・・・!死ぬなッ!!」
「じゃぁな・・・俺がいなくなっても・・・いつまでも・・・おまえの・・・ま・・・ま・・・で・・・」
兄貴の目が閉じられた・・・。
「兄貴?」
兄貴を揺らしても、返事が返ってくることはない。目をあけることもない・・・。
「兄貴、兄貴ってば・・・俺、認めないかんね?こんな・・・こんな終わり方・・・」
「・・・」
「兄貴・・・!目・・・あけろよ・・・!!一緒に・・・いられるんだろ・・・?兄貴・・・!また、キャッチボールとか・・・そうだ、俺トレジャーハント始めたんだ。結構楽しいんだぜ?兄貴も・・・一緒に・・・」
「・・・」
「いっしょ・・・に・・・」
いくらしゃべっても、兄貴はこたえない。
顔の色がどんどん悪くなっていく・・・。
「なんで・・・空は晴れてるんだよ・・・兄貴・・・兄貴ぃぃぃぃ!!」
{啓太・・・}
「俺は・・・俺は、また!また・・・また、守れなかった・・・せっかく・・・戻ったのに・・・!ちくしょう!!」
俺は地面の草をむしる。ひたすらむしる・・・。
そうでもしないと、心が砕けそうだった。
「ちくしょう!ちくしょう!!」
{啓太・・・おまえは・・・救ってあげられたさ。兄貴を・・・な}
「救ってなんか・・・ない!俺は・・・兄貴をみすみす殺したんだ・・・!」
{おまえとあわなければ、精神を闇に閉ざされたまま死んでいた。なのに、おまえは兄貴の心に光を照らした。そして、兄貴は・・・微笑んでいた}
「・・・」
{・・・兄貴の遺志、おまえが引き継ぐつもりなんだろう?}
「・・・」
兄貴が何を言おうとして、終わりは始まり・・・その連鎖以下省略。と言ったのかはわからない。
でも・・・だったら答えは自分で探すまでだ。
俺は立ち上がった。
まずは、この戦争を終わらせるために!・・・
俺は悠人を見る。すると、瞬の前でひざまずいていた。
(やられたのか!?)・・・
「はんっ、結局おまえはこの程度さ」
「ぐっ・・・」
「ご自慢のクズどもがやられて頭にきて、突進してきてこのザマだ」
「くそ・・・!」
悠人の後方で倒れているスピリット隊。
「今楽にしてやるよ」
瞬は剣を振り上げた。
「そこまでだ」
俺は瞬の剣を掴んだ。
「なっ・・・動かない!?」
「どうする?このまま戦って倒れるか、それとも逃げるか」
「・・・くっ、確かに、貴様と真っこう勝負は勝ち目はないか・・・撤退する」
瞬は一瞬で消えた。
「大丈夫か?」
「あ、あぁ・・・なんとかな」
「今治療してやる」
パァァァッと光が全員を包むと、傷が消えた。
「さて・・・行きますか。この戦争の終焉へ」
「なぁ・・・おまえの兄貴は・・・」
「・・・」
俺は黙って倒れている人物を差した。
「間に合わなかった・・・のか?」
「・・・ああ」
「・・・すまん」
「・・・いいんだ。俺は、ここで立ち止まるわけにはいかない。まずは、戦争を終わらせて・・・そのあとは」
「あとは?」
「・・・恋人でも探すかな。兄貴の言葉の真意を探しながらね」
「冗談・・・か?」
「前者はフィフティフィフティ。後者は本気さ」
「・・・そうか」
「おまえはスピリット達からよりどりみどりだもんな。楽だね」
「なっ・・・バカ言うな!」
「おーおー、真っ赤になっちゃって。んじゃ、行くかな」
オレたちを光が包み、一気にワープした・・・。
その後、プリンセス(そういえば名前はレスティーナだった)と佳織がこっちの国にいるということで、手伝う名目がなくなったスピリット隊はオレ達の国の陣に加わった。
本当なら悠人と今日子(元気っぽい女の子)と光陰(坊サン)だけなんだけど、スピリット達が悠人から離れるのを拒んだらしい。
ジゴロめ・・・。
んで、兄貴も・・・いなくなって、戦力の中枢を失ったエレキクルは、無条件降伏を申し入れてきた。
オレ達の意見があまりにも大きかったため、不平等条約にしては破格の条約となり、エレキクルの人が財政で苦しむことはなくなりそうだ。
「終わったな・・・」
{ああ}
「なんだか・・・真っ白になりそうだよ」
{・・・そうだな}
「シルビア・・・兄貴・・・」
オレは、つい上を向く。
{・・・啓太}
「大丈夫・・・大丈夫だから・・・」
「ケイタ」
「・・・メシフィア」
「・・・こういうとき、私はどうすればいいかわからない」
「・・・」
「でも・・・一つだけできることがあった」
オレをそっと抱くメシフィア。
「それは、こうやってケイタの傍にいることだ。安心しろ・・・今は、な」
「・・・うあ・・・うああああ!!」
俺はひたすら泣いた。
シルビア・・・兄貴・・・失った物の大きさに押し潰されそうになって・・・ただ・・・泣いた。
押し込めていた物が、どんどん溢れてくる・・・。
「大丈夫か?」
「ああ。もちろん」
「・・・このあと、カオストロとエレキクルの国民に向けてのケイタのスピーチがあるが」
「・・・なにそれ?」
「戦争終了の英雄だからな。しっかりスピーチしな?」
「・・・」・・・
「では、ここで戦争を終結へと導いた、英雄にスピーチをお願いしたい!大川啓太!」
ワァァァァァ!!
俺は、王様の紹介で城の、城下町が一望できる所へ出た。
俺から向かって右には、メシフィア、メルフィー、レイナ、アエリア『カオストロ代表』が並んでいた。
左には、悠人、アセリア、エスペリア、オルファ、ウルカ、今日子、光陰・・・以下覚えられません。のスピリット達が並んでいた。
みんなどこか、俺に期待の眼差しを持っている。
まぁ、戦争が終了したってのもあるだろうけど。
(さて・・・)
俺は国民の前に出る。
ワァァァァァ!!
歓声が一際大きくなった。
「・・・」
俺は手をあげてから下げた。歓声が静まる。そこらへんはオレ達の世界と共通なんだな。
「・・・えっと・・・何を言えばいいんだろうな・・・まず、言えるのは戦争が終わったということです。でも、これは別に勝ち負けの終わりじゃなくて・・・国民同士が手を取り合って、生きていく時代になったという意味での・・・あ」
終わりと始まり・・・。
兄貴は、こういう意味で言ったんじゃないだろうけど・・・。
「・・・そういう意味での、終わりと始まりです。戦争というくだらないもののせいで・・・たくさんの犠牲がでました・・・俺も、結局大事な人を・・・二人も失いました。ですが、そんな悲しい戦争は終わりました!これからは、犠牲になってしまった人たちのために・・・安っぽい言葉だけど・・・生きているオレ達が、犠牲になった人の分まで、しっかり生きていきましょう!そして・・・みんなが望んでいた、平和な世界を、オレたちで作っていきましょう!それが・・・生きているオレたちに託された、犠牲になった人々の希望ですから!支離滅裂でしたが、ご清聴ありがとうございました。終わりにします!」
ワァァァァァ!!!
その歓声は、喜びであると同時に、新たな時代の幕開けの音でもあった・・・。
かくして戦争は終結したのだった・・・。