「馬鹿な・・・エレキクルにこのような部隊が・・・!」
兵は恐怖に顔を歪ませる。
「すまない。全ては・・・佳織のためだ」
男は刀を振り下ろし、兵士を斬った。
ドサッ・・・兵士はゆっくりと倒れた。
「これで、このあたりは制圧したか?」
「はい」
サポートするような位置にメイド服を来た女性がいた。
「んじゃ、休憩しようか」
「ん・・・わかった」
薄紫の髪をした女性がうなずいた。
「あとは、例の鉱山に行って調べてくるんだっけ?」
「はい、害がないとわかっても、採取はしなくてはいけませんからね」
「そういえばパパ〜」
「ん?なんだ?」
赤いツインテールの少女が男にくっついた。
「『大川啓太』って知ってる?」
「そりゃ、当たり前だ。カオストロにいる、ポッと出てきたエトランジェだろ?」
「今じゃ大陸最強かもって言われてるんだよ〜?知ってた?」
「大陸最強ねぇ・・・胡散臭いなぁ。だったらとっくにこの戦争も負けてるだろうに」
男は遠い目をして軽く言う。
「最強でも、一人ですからね。カオストロの軍事力は微小・・・ほとんど、例の3人に頼っているのですから、決着は早くはつきませんよ」
「えっと・・・メシフィア・メルフィー・元オレ達の仲間レイナだっけ?」
「ええ。それと、その子の言う大川啓太・・・名前からして、悠人様と一緒の世界からこられたのでは?」
「そうかなぁ・・・会ってみないとわからないけど」
「永遠神剣のような剣を持っているとのことですし、いずれ戦わないといけないでしょうね」
「っていうかエトランジェなら永遠神剣なんだろうけどな」
男は自分の剣を見る。そして、こう言った。
「・・・負けないけど」
「そうですね。私達が負けるわけにはいきませんからね・・・」
「ああ」
「絶対に勝てるよ。だって、その人、人を殺したことがないんだって」
「・・・え?」
悠人は抜けた表情でのりかかっている少女を見る。
「なんでも、人を斬っても、死んだ人はいないんだって。パパと似てるよね。敵さんいっぱい倒し方が楽しいのになぁ」
「・・・」
悠人は考え込む。
「なんとか・・・仲間にできないかな?」
「・・・え?」
メイド服の女性は驚いた表情で悠人を見る。突然敵を仲間にしようと言い出したのだから、それも当然だ。
「だって、そんな考えで戦ってるヤツなら、きっと仲間になれると思うんだけどな・・・」
「ん・・・ユート、もういい」
薄紫の女性は、いきなり立ち上がった。
「そうか。エスペリアもオルファも、もういいか?」
「はい、行きましょう」
「うん!」・・・
(大川啓太・・・か。どういうヤツだか・・・興味あるな。さぁて・・・佳織のためにも、鉱山にちゃちゃっと行きますか)・・・
このあと、二人の運命は交錯する。
その出会いが・・・一気にこの戦争を動かしてしまうとは、この時は誰も知らなかった・・・。