「なぁ……少しいいか?」
「なに?瞬、そんな改まって」
「じ、実はだな……今日は言いたいことがあるんだ」
モジモジして、オドオドしてる瞬。
ハッキリ言ってキモい以外のなにものでもなかった。
それに、こう……ラブコメ的な雰囲気がひしひしと………(汗
「そ、そうか。でも、明日にしてくれない?親父が糖尿でガンで交通事故で死にそうなんだ」
「そんなのはどうでもいい!僕の気持ちを聞いてくれ!!」
(そんなの扱いされてますよ父さん……でもイヤだなぁ。ひじょ〜に聞きたくないなぁ………)
そんなとりとめのないことを思っていると、体の異変に気づく。
なんだかやたら……肌がすべすべな気が。
「実は最初会った時から……」
(わー!わーーっ!!その始まり方の台詞ってもう一つしかないじゃん!!!あ〜俺ってモーホーに好かれるのかなぁ………)
「君が好きだった!!!君が欲しい!!!」
「んぎゃぁあぁっ!!もらわれてたまるもんかぁあぁあぁっ!!!!」
うわっ!
今気づいたけど、なんで俺中学生くらいまで戻ってるんだ!?
髪はさらっとしてて背中まであるし、冗談抜きで何度も女と間違えられた。
このおかげで女子トイレ入ってもバレなかったけど………それが原因で俺はこのルックを止めたんだが。
「君も僕が好きだと言ったじゃないか!」
「言った覚えなんてあるかっ!!あったとしても即時抹消してるわ!!」
「照れるなエシュリナ」
「………は?えしゅりな……?アレ?」
ふと気づいた。
おかしいな……瞬の瞳と、髪の毛って黒かったっけか?
それに、なんだか俺の体……胸出てて尻がキュッてなっててウエストぎゅいーんって感じでこれじゃぁまるで本物の女………
あり〜?
「ふっ……やっと認めてくれたんだね」
「あ、いや!違う、断じて違う!!」
「大丈夫……優しくするから」
「や、やめろ……触れるなぁ!!」
瞬?の手が俺の肩に触れた瞬間…………
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「啓太君?啓太君?平気?起きなさい」
「はっ……叶さん……また俺を助けてくれたんですね………」
「はぁ?」
「本当に助かりました。あやうくすんごい展開になるところでした………」
「随分うなされてたようだけど……変な夢でも見たの?」
「そりゃもうどれくらいかって言えばスペースシャトルがなぜか旅客機として使われるくらい変な夢でした」
「例えが理解できないわよ。まあ、いいわ。はやく支度して」
「え?なんの?」
「もう………私に言わせるつもり?」
「え、え………」
も、もしかしてこれは!!
旗が成立したってヤツですか!!!
そうかそうか、カノンが折られたのも旗の成立のためには仕方なかったのか………
{だから死んでないぞ}
「早くラキオス行くわよ」
「へ?ラキオス……?なんで?」
「昨日言ったでしょ。大事な話があるから、ラキオスに行くわよって」
「………」
「この世界の命運を決める話なんだから、シャキッとしなさい」
「はぁ〜い……ふあ……」
「ビューンって飛ばしていくからね」
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「お〜、本当にビューンと飛んだよラキオスに」
「感動してる場合じゃないの。じゃ、トキミ。始めて」
「はい。啓太さんも席に座ってください」
「あ〜い」
雑談の暇もなく始まる。
悠人やあのオルファでさえ静かなのだから、相当な何かなんだろう。
今この席にいるのは悠人、光陰、岬、瞬、アセリア以下ラキオススピリットサブ含める、イオにヨーティア、レスティーナだ。
つまるところ、大体全員。
「エターナルミニオンと呼ばれる存在が動き出したのはご存知だと思います」
「あぁ。昨日も戦ったしな」
光陰がそう言うと、みんなが頷いた。
へぇ〜……ラキオスはもう何度か襲撃されたのか。
そーいやソスラスにはなぜか来ないなぁ……。
「彼らはこの世界を操る【ロウエターナル】と呼ばれる人たちによって計画的に生み出された存在なのです」
「……それって、もしかしてクェド・ギンが言ってた?」
「ええ、そうです」
レイナもつれてくるべきだったかな。
こういう話こそ、彼女が待ち望んでたことだろう。
だって、どうせマロリガン本国じゃ、【そんな曖昧な存在にかまってられるか!!】とか言って邪険にされてただろうしな……
「その頭とされるのが、法皇テムオリン……悠人さんとアセリアが遭遇した、彼女です」
「アイツか……」
「ん……強かった」
知ってます。
カノン砕かれたからね。
「んで、エターナルミニオンを食い止めるだけじゃなくて、そいつを仕留めなければいけないってわけか?」
「その通りです、が……今のままでは、束になってもかなわないでしょう」
「そんな強いのか?」
「ええ。そのために、私や叶さんという【カオスエターナル】が来たのです」
「カオスエターナル……じゃぁ、2人がいれば勝機はあるのか?」
「いえ……私たちだけの力じゃ、まだ足りないんです」
あの倉橋が悔しそうな顔をしてる。
たぶん、本当のことなんだろう。
「じゃぁ、どうするんだ?」
「そんなの決まってるだろ悠人」
「え?」
「俺たちの中で誰かが、カオスエターナルになりゃいいんだ」
「啓太……?」
「それでやっと五分五分で戦える……そう言いたいんだよね?叶さんと倉橋は」
「え、えぇ……まぁ。でも、なぜわかったんですか?」
「……ちょっとね」
さっきから砕けた相棒が低い声でうるさいんだもん。
話の先が読めちゃって、ストレスたまってくるぞ。
「じゃぁ、そのエターナルってのになれば……」
「ええ。ですが……現在、そのチャンスがあるのは……」
「え?チャンス?」
「悠人君、誰だってエターナルになれるわけじゃないのよ」
「あ、そうなんですか………」
おォ、悠人が敬語使ってる。
珍し〜、オモレェ〜
「今は……悠人さん、アセリア。この2人にチャンスがあります」
「たった2人だけしかなれないの!?ね、ね、あたしは?」
「無理なんです。エターナルとは、上位神剣を手に入れること。見初められなければエターナルにはなれないんです」
「そうなの……」
{おい啓太}
(あんだよ今いいとこ)
{倉橋という女、大事なことを隠している。お前が言ってやれ}
(あん?)
・
・
・
・
・
・
・
(それ、マジ?)
{……それがエターナルだ}
(……りょーかい)
俺は口を開いた。
「倉橋、大事なこと忘れてるぞ」
「え?」
「……エターナルになったら、忘れられちまうんだろ?ここにいる全員から」
「!!」
場が震えた。
本当の意味での、爆弾発言。
そりゃそうだ。
力を得なければ世界が滅び、力を得ればその人は忘れられる。
「全員、というのは正しくありませんね……少なくとも、私と叶さんは覚えています」
「じゃ、じゃぁ悠とアセリアがエターナルになったら、あたしたちはもう悠とアセリア、覚えてないってこと……?」
「……エターナルは永遠に世界を渡って戦いを繰り返す存在。どこにもいけるけれど、どこも故郷にはならない……」
「そんな……あたしイヤよそんなの!!」
「俺もだ。それじゃ全て2人におしつけた気がして、それが本当の戦いって言えるのか?」
「……」
様々な反対意見が飛び出す。
それはそうだ。
みんな理屈的なことを言っているが、単に悠人とアセリアを忘れたくない。
それだけなんだから。
{本当の戦いか……一体、どんな戦いが本当の戦いだと言うのだろうな}
(光陰はたぶん、誰もが同じ位置で平等な、っていう意味で言ったんだろ)
{……だが、今回はそれでは勝てぬ。お前も見ただろう?あの、非情さを}
(まぁね……光陰は戦ったことがないからわかんねーんだろ。そんなこと言って勝てる相手じゃないって)
{なら、戦ったお前が言えばいい}
(やだよ。だって、俺だって光陰派の意見だもん)
{………}
(勝つのは大事。でも、そのために犠牲をいとわないなら、そんなのテムオリンとかわんねーよ)
{喉元に剣先を向けられてもか?}
(何言ってんだ。今までずっとそうだったじゃねェかィ)
{……確かにな}
まだ、反対意見が飛び出す。
まるで倉橋が悪者になったようだ。
でも、実際そんな気持ちで今、みんなの言葉を聞いてるんだと思う。
記憶を忘れられると知っているのに、そこへ引き込もうとしているんだから。
倉橋みたいな性格なら、きっとそれを悔しく思ってるだろう。
「啓太君、何も言わないのね」
「え、あ、あぁ……まぁ、はい」
「私はてっきり、あなたが一番反対するんじゃないかと思ってたけど」
「……もうわかってますから。この事実を知らされて、アイツがどう思うかなんて、手に取るように」
「そ……じゃ、この反対意見をぶっ潰せるってことかしら?」
「まぁ、はい」
「じゃ、お願いします」
「……はいはい」
叶さんが促したので、俺は倉橋の前に立った。
まるでイジメられてる女の子を助ける気分だぜ全く………
「はいはい、そこまで」
「啓太……」
「これは俺たちが口出しする問題じゃないだろ?悠人とアセリア、2人の人生の問題なんだよ」
「え……?」
「エターナルは永遠の時を生きて戦い続ける。いわば、ここでエターナルになるかならないかは、後々の人生まで左右することなんだ」
「………」
「それを、俺たちがゴチャゴチャ言っていいのか?忘れてしまうのは辛いことだけど……」
「……けど?」
「でも、2人がそれも覚悟でエターナルになるっていうなら、どうして反対する必要があるよ?まだ決まってないだろうけど、さ」
「………」
「人生の分岐出発点で、最高の親友、最高の仲間たちに反対されて、そんな悲しい出発させていいの?」
「………そうだけど」
「俺も……まぁ、ラキオスにいなかったからもしれないけど、少しは悔しいよ。そんな、忘れなきゃ得られない力を頼るなんて」
「………」
「でも……2人がそれでも得たいっていう覚悟が……本物なら、俺は応援するよ。それが2人の本当の戦いだよ」
「………」
「一緒にいて、お互いを助け合うだけが戦いじゃないよ光陰。それに、護りたいと思うものは一緒なんだ。怖いかもしれないけど、きっと通じるよ」
「通じる……?」
「きっと、すぐにまた今と同じ気持ちを共有できる仲間になる。もう二度と同じ関係には戻れないけど、同じ気持ちを持つことはできる」
「啓太……」
「俺は、そう信じてる。それによ……2人がエターナルにならなくたって、きっとなんとかなるよ。うん、だから、2人は自分の意思で決めて」
しーん、と場が静まる。
ま、こんなもんでしょうね……
みんなわかってるんだ。
これから2人がどういう決断をして、どう歩むかなんて。
「どう決断しても、俺は応援してやるよ」
「……サンキュ、啓太」
悠人とアセリアがエターナルになる、と決断したのは、わずか数時間後だった。
未来を繋ぎ、世界を護れる側にまわれるなら……俺はなりたい。
佳織ちゃんを抱きしめて、見送った数時間後………
そう言って、悠人は森の中へ入る。
「………んじゃ、応援してやりますか」
{何をするつもりだ?}
「この世界に奇跡を起こすんだよ」
{奇跡?}
「俺だって行かせたくないって気持ちぐらいあるさ。だけど、応援するって約束しちまったからな……言葉は出そうにないから」
{……まぁいい}
刀身のないカノンを掲げた。
パァっ!と眩い光があふれ出てきて、それはラキオスからマロリガン、サーギオス、樹海にソーン・リーム自治区まで広がっていく。
その暖かな桜色の光は、世界を包み込む…………
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「この光は……?」
「ん……温かい………」
「……(啓太さんですか……ロマンチックなことをしますね……)」
ふわぁっ………!
その光が収まっていく。
すると、この龍の大地に桜色の雪が降り始めた。
「雪……これ、雪じゃないぞ……?」
「オーラフォトンですね……」
「ん……綺麗……」
「………これが俺たちへの餞別なのかもな、アセリア」
「ん……頑張ろ、ユート」
「ああ。たった今、啓太が示してくれたんだ」
神剣の力は、戦うためだけじゃないということ。
たった今、彼は、戦うためのことしかできないはずの神剣で、人の心を震えさせてみせた。
得た力は、使う人次第で―――――
ずっと神剣を持っていた俺やスピリットたちでも、絶対にこんな真似は出来なかったと思う。
こんなこと、戦争中に考えていられなかった。
でも、アイツはずっとそれだけを考え、貫いた。
そして、今日……その想いを、具現化させた。
その想い、俺が受け継ぐよ啓太………
しっかりと受け継いで、この世界を護ってみせる………
「行きましょう、悠人さん、アセリア」
「ああ!いこうアセリア!……さよなら、佳織。いってくる!」
「ん……いってきます………」
その一日だけ、龍の大地全ての地域で、不思議な色をした雪が確認された。
その幻想的な風景に、誰もが見惚れ、誰もが戦いで傷ついた心を癒されたという。
後にこの日は【桜雪】と呼ばれるようになり、平和の信仰のシンボルになったそうな――――――
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CONNECTING・FATE
〜 奇跡に手を伸ばして 〜
〜第3幕〜
奇跡に手を伸ばして
Fin
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〜 あとがき 〜
はい、第3幕終了となります。
ここまで来ると、この【C・F 〜伸ばして〜】は全5幕となりそうです。
そういえば季節はあっという間に過ぎてしまうもので、私がこのサイトにきてからもう1年以上経ちます。
それなのに、どうも自分は成長してない気が………
みなさんは、時々【自分はかわったなぁ】と思ったりしますでしょうか?
卒業アルバムなんかを見ると、やっぱり変わったなぁと思います。
変わる、と成長、の違いってなんなんでしょう?
捉えかたの違いなんでしょうか?
中学の同級生だった人たちには【あんまり変わってないね】としょっちゅう言われます。
さて、話は変わるのですが。
友人に勧められて、ある小説を読みました。
あ、もちろん商業誌の方で。
やはりうまい。
めちゃくちゃうまい。
あっという間にのめりこんでしまいました。
それと、案外あとがきを大切にされてる方が多いことに気づきました。
読者からの意見で【あとがきではじけるヤツは暗そう】だとか【キャラによる座談会はダメ】だとか。
後者は商業誌じゃ滅多にないですけど(ってかあるの?)、結構そういうの好きなんですけどね……私。
一番イヤなのが【今〜〜〜がギリギリですけど頑張ってかいてます】みたいなものだそうです。
修羅場自慢をされるのが、気に食わない方が多いようですね。
あと、あとがきで本編を補完するような【いろいろな関係で短くなった】などの事も嫌われるそうで……
そう思うと、読者側もあとがきをしっかりと読まれているようです。
それなのに、私はなぁにを書いてるんでしょうね。
あんたはまだそれ以前の問題でしょ!みたいな感じです。
この【C・F】もいよいよ後編となってきました。
より綿密に、より正確に、書きたいことを書いていかないと途中で止まってしまいそうで怖いです。
さて終わりかと思えば唐突に出てきたこの絶妙な位置から描かれていないキャラ
影はなってない、髪のツヤもいい加減
縮小したうえに、いろんなソフトで編集したため結局雑な仕上がりに――――
――――誰だと思います?
超ブルースピリットに見えますが答えはよぉく見て→ メシフィア
数年前の私に問いたい
なんで目が青いんだと
なんで髪が青いんだと
あの触覚はどこから出てきてるんだと
作中でハッキリ黒髪と言ってるじゃないですか(オマエガナ
まぁ、真っ黒な髪を真っ黒に塗るなんてことは滅多に見ないですが
でもコレはダメだろう、と?
立体感まるでなし、てゆーか大層な鎧をつけてるはず―――面倒で作らなかったか、ここまでで気力を失ったか
肩パットに布をつけただけって―――
そう思いました
なら紹介しなきゃいいじゃんって反論はダメですタブーです
実はもう1人……まぁ主人公君も見つかったのですが…………まず思ったのが女じゃん、でした
初心者だとあーまで男と女の区別がつかなくなるのか、と(ちが
縮小しない方が綺麗に見えちゃう感じです
まぁ、主人公君の方は見せられるものへと変身次第、紹介したいかと思いますが
それでは、第4章で
第4幕 〜 世界の節目に掴んだ奇跡 〜