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新星が栄光とぶつかる。
バキイッ!!
「ぐおおおおああ!!」
栄光が欠けた・・・。
確実な手応えもある。
これなら・・・!
「やった・・・?」
{・・・栄光のけはいがしない}
「よし・・・!」
俺はすぐに倒れたヒカリを抱き起こす。
「ヒカリ?・・・ヒカリ!」
「う・・・ん・・・」
ゆっくりと目をあけるヒカリ。
「良かった・・・」
「・・・アスナッ!」
ガバッ!
俺に抱きついてくるヒカリ。
俺もヒカリの背中に手をまわす。
「恐かった・・・すっごく・・・恐かったよぉ・・・っ!!」
「うん・・・がんばったな・・・」
俺はヒカリの髪を撫でた。
さっと結い上げる。
「アスナ・・・聞いてくれる?」
「・・・何を?」
「・・・カナリアが裏切った時のこと・・・栄光と会話したときのこと・・・」
「・・・ああ。聞かせてほしい」
オレ達は体裁を整えた。
お互いを見るように座る。
「・・・嫌いに、ならない・・・でね?」
「・・・大丈夫さ。勇気をだして話してくれるヒカリを嫌うわけない」
「うん・・・カナリアがいなくなって・・・」
よほど辛いことなのか、いつものヒカリとは正反対の暗い顔だ。
「・・・少しだけ安心したの」
「・・・」
「おかしいよね・・・。だって、ずっと一緒だったのに・・・親友だって・・・思ってたのに・・・!」
きっと、その理由の中心に俺がいる。
ちょっとだけ心が痛い・・・。
「今まで、一緒の物を食べて、一緒の風景を見て・・・一緒の・・・」
「・・・そういうことか」
「うん・・・そう。いつも。でも・・・今回は違った」
「・・・」
「アスナは・・・ずっとカナリアを見ていて・・・私なんか・・・見てなかった」
「・・・まぁね」
だって・・・
「俺がカナリアを見ていたのは・・・」
この先は・・・言いたくない。
自分だって・・・こんな事したくなかった・・・。
でも、してしまった・・・いや、してしまっていたんだ・・・。
「見張っていた・・・」
「見張る・・・?」
「カナリアが・・・どういう者なのか、はかりかねていたから・・・」
「それって・・・つまり・・・」
そうだ・・・俺は『仲間』を疑っていたんだ・・・。
たとえそれがあたっていたとしても・・・それは、仲間として最低なんだ・・・。
「でも・・・見張っていて、わかってことがある」
「それは・・・?」
「・・・カナリアは、きっとオレ達の所に戻ってきたいはずなんだ」
「え・・・?」
「ヒカリに向ける笑顔、俺への突っ込み、それらすべてが演技とは思えないんだよ。
だから・・・きっと、彼女を縛っているシンがいなくなれば、戻ってきてくれる」
「・・・」
ヒカリはボーッと俺を見つめていた。
「だから・・・いこう、ヒカリ」
俺は立ち上がって手を差し伸べた。
「・・・でも私は・・・」
「鳥人族だって?」
黙って俯くヒカリ。今、頭の中でどんなことを思っているのだろう?
顔からして、あまりいいことではないだろう。
だから、俺は軽くため息をついてユウトに振り向く。
「ユウナ、お前はヒカリのことどう思ってる?」
「そうだね・・・。いわば家族みたいなものかな?まだ会って間もないけど」
「う〜ん・・・俺の答えてほしい答えとしては△だな。でもまぁいい」
んで、俺はヒカリに向きなおる。
「さて・・・家族みたいなもんだとさ」
「・・・」
「なんかさ、疲れない?自分が何者だ、とか自分には持病がある、とかそういう小せぇことを気にして生きるの」
「アスナ・・・」
ヒカリの目で、何を言いたいかわかった。
だから、俺は先回りして答える。
「確かに俺は普通の人間だったし、特に辛いことなんて・・・まぁ・・・ないけど。
だから、ヒカリの気持ちをわかってやれないけど・・・でもさ、ユウナが言ったように、みんなは家族って思ってる」
「・・・」
「それで、ヒカリは不満なのかな?あ、もちろん俺は恋人候補として見てるけどね!」
「うん・・・」
元気なく頷くヒカリ。
「まさか、自分は鳥人とハーフ。人間でもないし、血がつながってなくちゃ家族じゃない、なんてくだらないこと言うつもリ?」
「え・・・?」
図星だったのか、俺を見上げるヒカリ。
「じゃぁ、生まれてすぐ親と生き別れ、数年後に再会してそれをあっさり家族だって認められる?できないでしょ?」
「・・・」
「血がつながってなくちゃ家族じゃないってのは幻想だよ。家族って、ながい間一緒に生きることで『成る』ものだよ。
だから、血がつながってるかどうか?なんて些細な事でしかない。お互いに家族だって、そう思ってれば十分じゃない?」
「・・・」
「それほどまでにみんなはヒカリの事を想ってくれてる。
それでも君は、まだハーフだとかなんだとか小さい事にこだわるわけ?」
「・・・そっか」
「?」
「そんな・・・小さい事だったんだね」
「・・・まぁね」
「うん・・・そう思うとがんばれる気がするよ」
「俺達は確かに血はつながってない。
親戚でさえない。でもさ・・・とっくに俺達は家族だ。それでいいんじゃない?な?ユウト」
俺は空を見上げてそう言った。
きっとアイツはいつもの笑顔でこう言うのだろう・・・。
【そうだな】
ユウトにも覚えがあるはずだ。
両親を亡くし、引き取られたのだから。
ユウトは新しい人達を家族じゃない、と思っていただろうか?
思ってない。
それは、ユウトの瞳でわかる。
それが、家族ってヤツなんだろう。
ちょっとだけ・・・羨ましいな。
俺は欲しかったよ・・・そういう家族。
そこで、俺は立ちあがりヒカリに手を差し出す。
その手を元気良く握るヒカリ。
「あ、そうだアスナ」
「ん?」
ふっとヒカリに振り向く・・・。
「・・・っ!!」
唇の感触・・・目の前にはヒカリの顔。
「へへ〜」
「・・・ふっ、それくらいじゃ俺は落ちないぜ?」
「大丈夫。もう・・・知られちゃったら、恐いことなんてないもん!これから・・・これからだよ!」
「・・・」
その何もかもに吹っ切れた笑顔を見て・・・俺は思った。
(違うさ・・・。勇気をだしたから、恐くなくなったんだよ・・・ヒカリ)
・
・
・
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今までの自分が嫌いです。
何となく生きていた自分が嫌いです。
格好付けて一生懸命にならなかった自分が嫌いです。
イヤな事から目をそらし続けた自分が嫌いです。
運命という言葉にすがって、自分が不幸だと思っていた自分が嫌いです。
―――――あの人達を傷つけた自分が大嫌いです。
でも・・・
―――――でも・・・・・・
あの人とあの子といる時の自分が好きです。
あの人と出会って変われた、そう思える自分が好きです。
あの人とあの子が好きな自分が大好きです。
―――――そう思える・・・自分が大好きです。
だから・・・私は・・・行動しよう。
泣いても何も変わらない・・・。
なら、今動きださなければいけない。
自分の未来は、自分で掴むしかないのだから。
それを・・・あの人は教えてくれたのだから・・・。
その決意を・・・あの子がさせてくれたのだから・・・。
『おまえは一生懸命なのか?悔いのないように生きているのか?それがお前のしたいことか?』
そんなありふれた質問に・・・
『当たり前ですっ!!』
と大きな声で答えられるように・・・なりたいから。
あの人の所へ行きたい・・・。
私と、あの人とあの子と・・・みんなといたい・・・。
だから・・・おねがい、背光。
力を貸して・・・私の剣よ・・・っ!
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「はぁ・・・」
体は限界をこえていた。
でも、動くしかない。
死なないためにも・・・。
この世界を切り抜ければ・・・!
シンに辿り着けるんだ!
だが・・・軽く100人はいるであろうロウに囲まれては動くのも容易ではない。
全員、傷だらけ・・・絶体絶命だった・・・。
(100人も自殺志願者がいるなんて・・・ロウはどんな教育をしてることやら)
いや・・・おそらく、ロウのリーダーはシンに協力していないだろうな。
だから、出てこないのだろう。
「・・・ここまで、なのか・・・!?」
立っているのさえ辛い。
一体何日間戦い続けたのだろう・・・?
ヒカリにユウナ、テムも体が震えている。
恐怖と疲れ・・・それが力の源の精神力を削っていく・・・。
ビギィィッ!!
突然空間が膨れ上がる!
「これは・・・っ!」
「ほぅ・・・まだ生きていたとはな!さすがわがライバルッ!!!」
「リョート・・・っ!」
ユウナがリョートに剣を向けた。
だが、その切っ先は震えている。
「ふっ・・・まさかここまで粘るとはな」
ガキ・・・もといニネイが鼻で笑う。
今はその態度にイラつきさえ覚えられない程疲弊していた。
「くっ・・・万事休すだな」
「ホンットに・・・もう、どうすれば・・・」
まさかこの二人まで出てくるなんて・・・っ!
「っ!?」
ビギビキキィィィンッ!!!!
「なに・・・この大きな反応!?」
突然の大きな反応に神剣が震えた。
これは・・・っ!
「違う・・・」
「え・・・?」
「アイツらだ・・・やっと・・・か・・・」
俺は安堵の息を吐いた。
ピシュゥゥゥウゥンッッッ!!!
突然オレ達の周囲に門が開いた。
そこから溢れる力は尋常ではない。
「へっ・・・遅いんだよ・・・トキミ、ラクセル・・・ローガス・・・」
門から現われたのは、トキミのチームとラクセルのチーム、それにローガス・・・。
コイツらがこれ以上ないくらいにたくましく見える。
「いやぁ、残存戦力集めるのに時間かかっちゃって」
ローガスが運命に手をかけた。
「へっ・・・でも、その甲斐はあったみたいだな・・・」
俺がローガスと合流した時より遥かに人数が多い。
ロウと同じくらいいるだろう。
「ま、ここはオレ達に任せてくれ」
ラクセルも俺にほほ笑みかける。
「まったく・・・オイシすぎるぜ」
「アスナさん、大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫・・・トキミ、これも時詠の?」
「タイミングは偶然です。それに・・・まさか、持ちこたえているなんて思いませんでしたから」
「おいおい・・・オレ達が全滅するわけないだろ・・・?」
ヘヘッと笑う。
体が動かないのは変わらないのに・・・これだけの仲間に囲まれるとなんとかなりそうな気がする。
それに・・・新星から流れてくる力が尋常じゃない。
今のうちに目一杯力を取り込んでおく。
シンとの決戦のために・・・。
「それに、もうリーダーだなんだって言っていられなくなったからね」
「え・・・?」
「シンの世界のマナが収束しはじめてる。時間があまりないみたいだね・・・」
「っ!ならすぐにでも・・・っ!」
ローガスは俺を押し止める。
「今は体を休めるんだ。いいね?シンは・・・混沌世界にいる」
「・・・!わかった・・・」
そう言われては黙るしかない。
ローガスは剣を抜かずにロウへと斬り込んでいった・・・。
「テム」
「なぁに?」
「ちょっと・・・よろしく」
「?」
俺はテムに耳打ちした。
そして・・・疲れを取るために、戦場のど真ん中で寝るのだった・・・。
「じゃぁ・・・いい加減、決着つけましょうか」
私の体に力がみなぎってくる。
よくよく考えれば・・・この想いは最上位なのだからもっと力を出せるはず。
体の震えはおさまり、疲労はほとんど消えていた。
「ふっ・・・!負けるとわかっていても戦うか!それでこそわがライバルッ!!」
リョートが咆哮した。
その声だけで衝撃波が生まれる。
―――なんて迷惑なエターナルだろう。
「今度は勝たせてもらうわ・・・っ!!でやぁぁぁあぁ!!」
私は振りかぶってリョートに斬り掛かる!
今までで最高の動きができる・・・っ!
(想いが私に応えてくれている・・・っ!いけるっ!!)
キィンッ!!
お互いの剣がぶつかりあう。
その剣劇の重さに火花が散る。
「リョートッ!あんたは私に勝てないよっ!!」
「なに・・・?」
「自分を犠牲にしてもいいなんて思ってる人間なんか・・・自分の命を必死で守ろうとしないもの。
それに、私は・・・この想いを信じてるから。だから・・・私には勝てないっ!!」
「ふっ・・・面白い理屈だなっ!!ならそれを立証してみせろっ!ユウナっ!!!」
私は剣にオーラフォトンを纏わせる。
「ほぅ・・・さすがだ!その力・・・っ!!」
リョートの顔から一粒の汗が落ちた。
「ならば・・・うぉぉぉおぉぉぉっ!!!」
リョートが咆哮し、地面が崩れると同時に圧倒的な力を感じる。
その剣には真っ赤なオーラフォトンが。
「いくぞユウナッ!!!」
「負けない・・・っ!ユウキの所へいくんだからっ!!」
その途端、ユウキの顔が思い浮かぶ。
絶望の淵にいたとき・・・悲しい時・・・悔しい時・・・その笑顔がどれだけ私を救ってくれたことか・・・。
エターナルになって、全てを捨てて・・・私を追い掛けてきてくれた・・・ユウキ。
その笑顔を取り戻すって・・・決めたんだからっ!!!
「うぉぉおおぉぉっ!」
リョートをぎりぎりまで引き付ける。
まだ・・・っ!
「死ねぇぇっ!ユウナァァアアァッッ!!!」
「そこぉっっ!!」
私はタンッと飛んで一気にリョートの懐に入る。
「っ!?」
「やぁぁあぁぁっ!!!」
ブシャァッ!!
想いでリョートを貫く。
「はぁぁあぁぁ!!」
そのまま真っ二つにするように切り上げたっ!
上半身がバックリふたつに裂けるリョート。
「このまま・・・いくか・・・っ!」
リョートは右腕を目一杯振りかぶって宙にいるユウナへ火星を投げたっ!
グブゥウッ!!!
「っ!かは・・・っ!」
私の腹を貫通する火星。
その真っ赤なオーラフォトンがどんどんマナを吸い取っていく・・・。
「ぐっ・・・はぁぁあぁぁぁっ!!」
キュィィィイイィッ!!!
私はそのまま空に手をかかげた。
その手にバスケットボールくらいの球ができる。
「これで・・・勝ちよっっ!!!」
シュバァァアァッ!!
その手から放たれた光線のオーラフォトンが裂けたリョートを打ち消していく・・・。
「はぁ・・・はぁ・・・」
火星を引き抜くと、ボロッと崩れ落ちた。
「想い・・・勝っ・・・た?」
{ええ・・・よくがんばったわね}
「そっか・・・。これで・・・後は・・・ユウキを・・・」
{そう。だから、今は休みなさい。まぁ・・・アスナみたいに速攻で戦場のど真ん中で寝るのもどうかと思うんだけどね}
「あはは・・・アスナらしいね・・・。うん・・・少し、休むよ」
不思議・・・アスナと言うだけで気が楽になる。
いつからだろう・・・?
(でも・・・がんばって、アスナ・・・。だらけた後にはまた戦いがあるんだもん・・・)
それは私もだけど。
そこで、私は目を閉じた・・・。
「君が・・・ねぇ」
俺は頭をポリポリ掻く。
目の前には憎たらしいガキ。
「外見だけで判断するな。痛い目をみるぞ?」
「油断はしないさ。なんせ・・・最下位持ってて、第二位にやられたこともあるし」
あのユウキにね・・・。
そんな彼を利用して、こんなばかげた戦いを起こしたシンを俺は許さない。
いや・・・もっと前から許さなかったけど。
俺が・・・守護者だと知った時だ。
シンは・・・アイツは、守護者の魂をふたつに分けた。
そして、その片方は更にふたつに・・・。
そう、つまり俺とユウキとアルメリアだ。
そして・・・俺は操られてファンタズマゴリアを消そうとした・・・。
守るはずだった世界を・・・危うく自分で消してしまうところだった・・・。
ユウキに倒された時に目が覚め・・・力が小さくなって再び俺は存在している。
その存在の意味・・・それは、とことん俺やユウキを利用したシンへの天誅をくだすためだ。
そもそも・・・この戦い自体、ほとんど自分が消えるとわかっているヤツがいない。
剣の思うがままに動かされているだけだ。
これは・・・神剣のクーデターに近い。
「ニネイ・・・もう一度だけ言う。自分が消えることになっても・・・それでもシンに手を貸すのか?」
「当たり前だ。『天地』に戻る・・・とてもすばらしい。それこそが世界のあるべき姿だ」
「だれも生きていないのにか?世界が一つもないのにか?」
「天地さえあれば十分だ。人間などいらない。
欲のままに動き、虫のように増え、そのくせ思い上り自分より上の相手に牙をむく。なんておろかな生物だ」
「・・・そうか」
神剣と人間は・・・根本的に違う。
だから・・・これ以上の説得は無意味なのだろう。
時間は多くない。
俺は剣を構えた。
「ニネイ・・・悪いけど、消えてもらうから」
俺は一撃で決めるべく、全力を剣に注ぎこむ。
バキィィンッ!!!
はち切れんばかりのオーラフォトンが地面に大きく展開された。
「なにっ・・・!?こんな・・・こんなバカな力が・・・っ!?」
俺を見て怯えるニネイ。
余裕が一瞬で消え去る瞬間・・・
その顔は激しくゆがむ。
「上の者に牙をむいてるのはアンタだぜニネイ・・・。
人間はなぁ!おまえらと違っていくらでも強くなれんだよっ!!俺にそれを教えてくれたのが・・・ユウキだ」
あいつは・・・ユウナを守るためにどんどん強くなった。
意志も力も・・・。
それこそが、人間がエターナルにむいているワケの一つなのだろう。
ユウキとユウナ・・・この二人は典型的なエターナルの象徴になれる人物だ。
だから・・・
「俺はユウキを取り戻すッ!!それだけだっ!消えろニネィィィィッ!!!!」
「う、うわあぁぁあぁっ!!!オーラフォトンアンチッ!!」
ニネイがバリアを展開する。
なら・・・!
「でやぁぁあぁっ!!」
俺は一瞬で間合いを詰めて、剣でバリアを切り裂く!
バリィィッ!!
「なっ・・・」
「終わりだ・・・っ!はぁぁぁぁあぁぁ!!!」
ドゴォォオオォォッ!!!
「がぁぁあぁぁっ!?」
ニネイを切り上げると同時にオーラフォトンの竜巻が巻き起こる!
フワアァアァッ・・・
竜巻が緩やかな風となって散っていく・・・。
パシッ!
俺はニネイの服の切れ端を叩いて落とした。
「ユウキ・・・待ってろ。かならず助けてやるからな」
・
・
・
「はぁぁぁっ!!」
アセリアがロウを防いだ剣ごと切り裂く。
「ぎゃぁぁ!!」
そのまま深く切り裂かれ、消えていくロウ。
「危ないッ!!」
「っ!?」
キィンッ!!
アセリアの死角にまわったロウの剣を受けとめるキョウコ。
「ん・・・でやぁぁぁ!!」
バシャァアァッ!!
その大きく鋭いアセリアの剣は、一撃でロウを斬り伏せた。
「助かった・・・キョウコ」
「いいのいいの。いくわよっ・・・!シャイニングッブレイカーッッ!!!」
ズゴォォオオォッ!!!
キョウコが物凄い速さで突進していく。
「ん・・・いくっ!」
アセリアがまた斬り込んでいく。
「ぐぅっ・・・!」
「癒しの力に・・・私の全てをッ!エンジェルプライヤーッ!!」
場が光に包み込まれ、その光に触れた者は傷がほとんど消えてなくなる。
「助かります、エスペリア殿っ!!はぁぁぁ・・・っ!天壌無窮の太刀ッッ!!!」
ザバババババッ!!
そのまるで見えない太刀に容赦なく刻まれていくロウ。
「オルファもいっくよ〜っ!ハイペリオンスターズッ!!」
ボガボガボガァアアァッ!!!!
空から降り注ぐ光の矢になす術もなく消えていくロウ・・・。
「いくら早く動いても無駄ですよ?私には見えるんです。あなたは数秒後に致命的な一撃を食らう・・・」
シュンッ!!
一瞬で消えるトキミ。
気付いた時には流れるような攻撃をくらわせ、ロウを葬っていた。
「すごいなみんな・・・」
その戦いぶりに俺は感心するばかりだ。
{感心している場合ではないぞ?}
「わあってる」
だんだんと近付いてくる、バカでかい反応・・・。
「ほぅ・・・洗礼か」
「お前は・・・」
「俺はブレスだ。お前からしてみれば・・・フォルクの仇でもあるな」
「っ!お前らが!!」
{ユウト、心を落ち着かせろ。本当に仇を討ちたいならば、今はおさえるのだ}
「・・・わかった」
洗礼の言葉で、深呼吸し気持ちを落ち着かせる。
「ふっ・・・神剣にひっぱられているようじゃ、貴様もたいしたことはないな」
「なにを・・・っ!?」
「やはり、対等なのはアスナしかいないな。そこをどけ」
「・・・」
俺は決して動かない。
アスナは今休んでいるんだ・・・。
気付いていないだろうが、アスナ達は一週間以上一睡もせずにぶっ続けで戦っていた。
その途中でカナリアが裏切り、フォルクが死ねば、その疲労はとっくに限界をこえている。
しばらくは絶対に目を覚まさないだろう。
「邪魔だ」
「っ・・・!」
その一言だけで体が震えあがった。
でも、動かない。
絶対に・・・動くものか。
「なら・・・斬り伏せるまでだ」
ブレスが剣を構えた。
ブォォオッ・・・!
「くっ・・・なんてプレッシャーだ・・・っ!」
体がピキンと固まってしまったようで動きにくい。
「はぁぁぁ!」
オーラフォトンを展開すると、その緊張が少し和らいだ。
「ストームブリンガー・・・その剣、おまえには大きすぎるな」
「なに・・・?」
「その剣を・・・いただくぞっ!」
キィンッ!!
俺は洗礼でブレスの剣を防ぐ。
いや・・・
キィンキィンッ!!!
ブレスは俺を狙っていない・・・洗礼を狙ってる!
「くそっ・・・!うぉぉおぉぉおっ!!!」
その事に苛立ち、限界までオーラフォトンを展開する。
(!?)
突然力が爆発したかのように膨れ上がる。
聖賢を使っていた時の要領で、これだけの力が引き出せたはずがない・・・。
きっと、洗礼が力を引き出してくれたんだ・・・。
(決めてやる・・・!)
「っ!?バカなっ!!」
ブレスが驚き、距離を取った。
「フォルクを殺した事・・・後悔させてやるっ!!洗礼、いくぞっ!!」
{了解だ!}
マナをかきあつめ一気にオーラへ変換する。
「マナよ、オーラへと姿をかえよ。その力を彼の者にしめせッ!!オーラフォトンノヴァァァアァァッ!!!」
ボガァァアァッ!!!
キィンキィンキィンッ!!
ズガァァアァァッ!!!
洗礼を手に入れたことで更に強くなったノヴァが炸裂する。
「ぐっ・・・!」
「なっ・・・!?」
全力で攻撃したはずなのに、ブレスは傷を負っているも倒れていない・・・。
「ふっ・・・勝った・・・な」
「な・・・?」
キィィッ!!
突然足元に大きな力を感じた。
気付くのが遅すぎて・・・力がせりあがってくる!
「オーラフォトン・・・カウンターッ!」
ボガァァアァッ!!!
「ぐおあぁ・・・っ!!!」
爆発はノヴァより小さかった。
だが・・・なぜか急激に体から力が抜ける。
立つことすらままならない。
「なん、で・・・だ・・・?」
グッと地面を踏みしめる。
「カウンター・・・さ。ぐっ・・・しかし・・・思ったよりきつかったな・・・っ!」
ブレスがダッ・・・と倒れた。
苦しそうに咳き込み、血を吐き出す。
「おまえの・・・勝ち・・・だ」
そう言って、ブレスの体が消えていく・・・。
「待て・・・っ!なんで・・・フォルクを・・・殺した・・・?」
「それが・・・命令だったからさ・・・」
「命令なら・・・なんでもきくのかよっ・・・!?」
「・・・貴様にはわからないさ。それが・・・シン様の命令を聞くことだけが・・・オレ達の存在・・・なのだか・・・ら・・・」
フサァァアァッと消えていくブレス。
「・・・シン」
絶対に許さない。
あんなエターナルを生み出したシンを・・・
こんな嫌気のさす戦いばかり起こすシンを・・・
俺は、許さない・・・っ!!
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『オーラフォトンカウンター』
ブレス支援技。相手のオーラフォトン技をマネして、倍返しする技。
ただ、一度相手の技をくらわないといけないため使用するのはかなり注意しないといけない。
技自体は相手より小さく見えるのに、それが倍の威力を持っていることが精神的に追い詰める技。