「……敵、か?」

「ああ。しかも、あたりが真っ暗で仲間と連携が取れないんだ」

「……そうか」

 

 

 

 

 

 

 

悠人が何を言いたいか、誰でもわかる。

でも、無理なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

「お前、明かりかなんかの魔法ないか?」

「………できないんだ」

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

俺は意識を集中させた。

だが、魔力の流れを感じない。

 

 

 

 

―――感じられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、ね」

「ほら、って………」

「もう、俺は魔法が使えない」

「!!」

「気づいたんだよ………」

 

 

 

 

 

 

この力が……どうしてこんなに好きになれないのか。

 

 

簡単だった。

 

 

 

 

だって、リリィを失って手に入れたのが、こんな力だったなんて………

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも!お前の力が必要なんだよ!!」

「………」

「………もういい!そうかよ!お前はそういうヤツだったんだな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠人はキレて、屋上から去っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだな………もう、ダメだ。俺には………無理なんだ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺も屋上から………去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(え……?お兄ちゃん………?)

 

「どうしたのソフィ!?」

「キアラ!だって今、お兄ちゃんの気配が………」

「!?」

 

 

 

キアラは必死に剣を振るっていた。

まだ、やっと弱い障壁が張れる程度の熟練度。

それなのに、もう戦場で戦える。

 

 

 

「行くよソフィ!!」

「え!?」

「行かなきゃ……それが、私の使命だもの!!」

「キアラ!?」

 

 

 

今までのキアラとは似ても似つかないキアラ。

容姿はキアラ………

でも、何かが違う。

 

それに戸惑うソフィ。

 

 

 

「で、でも勝手に行っちゃっていいの!?」

「今行かないと、ユウキとは一生会えない……!それでもいいの!?」

「!わ、わかったよ!いくよキアラ!捕まって!!」

「うん!!」

 

 

 

ソフィは大きくハイロゥを展開した。

その翼は2人を空へと舞い上がらせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ぷはァ………さすがに焦ったな………」

「ああ……今度からは、照明も考えないとな」

「もうこりごりよ〜………」

 

 

 

 

悠人達は疲れてその場に座り込んでしまう。

20体のスピリットを相手にして、こちらが犠牲なしだったのは、ほとんど奇跡に近い。

 

 

 

 

 

「そういや悠人……おまえ、祐樹は?」

「………アイツはダメさ」

「え?」

「もう、魔法が使えないんだって」

「「!!」」

 

 

 

 

 

さすがの光陰と今日子も驚いた。

そもそも、魔法というものがハイペリアにあったこと事態が信じられなかった3人にとって、祐樹の存在は珍しかった。

 

 

 

 

 

「それで?今どこ?」

「わからない。もしかしたら、まだ宿屋の屋上にいるかもしれない」

「そう。まったく………」

 

 

 

 

せわしなく、みんなの手当てをしていたエスペリアが報告をしにきた。

 

 

 

 

「ユート様」

「治療、お疲れ。どうした?」

「それが………2人、行方不明なんです」

「え!?誰と誰だ!?」

「ソフィ・ブラックスピリットとキアラ・グリーンスピリットです」

「あの2人!?」

 

 

 

 

 

 

 

あの2人はまだ成長期だ。

実力も、身を守れるかさえ危うい存在。

 

なら戦場に出すな、という理屈が通用しないこの世界では、守るしかない。

 

 

 

 

「いや………どうやら、正確には3人だな」

「え?」

「因果が、ヤツの気配もしない……だと」

「まさか………失踪………!?」

「とりあえず手分けして探そうぜ!」

「そうね!」

「エスペリア、みんな疲れてるだろうけど、指示してあげてくれ」

「はい。ユウキ様もソフィもキアラも、私たちの仲間ですから」

「ありがと………っていうのも変だな。祐樹に言わせるよ」

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入り組んだ天井を眺める。

ごつごつして、鍾乳洞のようなつくりをしていた。

 

 

 

―――もうダメだ。

 

――――何もできない、何もしたくない………。

 

 

 

 

「………ha、Ha。HA〜………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し声を整えて、詩を紡ぎだす。

 

それは、彼女が大好きだった、どこかの国の、誰かの詩。

 

これを謳えば、少しは気が楽になるのだろうか………?

 

この詩………なぜ、この詩を彼女は俺にだけ教えてくれたのだろう………?

 

なぜ、今まで彼女を忘れていたのだろう………?

 

 

 

 

様々な疑問が頭に浮かび、詩と変わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――神よ、

 

―――眠るものには安らぎを

―――歓喜に笑うものには幸福を

 

 

 

 

―――私はあなたを愛せません

 

―――けれど、この祈りは捧げます

―――愛でる貴方は何処へと

 

 

 

 

―――やがて私はあなたの処へ

 

―――私はあなた

―――でも、私の心は貴方と共に

 

 

 

 

―――だからどうか

 

―――貴方の住まうこの世界

―――永遠となりますように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――詩よ、

 

―――闇を切り裂くものたちよ

―――あなたのために動くものたちよ

 

 

 

 

―――私はあなたのもとへ参ります

 

―――自由を愛する貴方を守るため

―――貴方の愛する世界を守るため

 

 

 

 

―――私は謳う

 

―――その想いを祈りとかえて

―――貴方を愛する心のために

 

 

 

 

―――さらば常世

 

―――今、世界が変わる

―――私というゆりかごを得て

 

 

 

 

 

 

 

―――できれば

 

―――私は変わりたい

―――そして

 

 

―――いつまでも、貴方と共に

 

 

 

 

 

―――ああ、あなたはそれを許してくれますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで、リリィのことを謳っているかのような歌詞。

だけど、人は……そんな立派なものじゃない。

 

彼女が死んだのは、それが運命だったから。

あの場面で、よくわからない状況のまま死んでしまうという……悲しい運命。

 

 

 

いくら転生を願おうと、この詩の【彼女】は生まれ変わることなどできないだろう。

悲しい運命から、解放されることなんてない。

 

あなたのために身を捧げ、

貴方に心を捧げる。

 

それが……【彼女】の精一杯の運命への抵抗だったのだろう。

 

続きがあったけど………

 

 

 

 

もう、その詩はわからない。

第1幕と最終幕。

間の第2幕は……永遠に紡がれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――奇跡

 

―――願うものじゃない

―――空蝉の世で望む奇跡

 

 

 

 

―――空果つこの場所で

 

―――再び私は貴方と出会う

―――現実か虚構かそれとも夢か

 

 

 

 

―――貴方は笑う

 

―――私は世界、世界は私

―――そんな私に、貴方は笑う

 

 

 

 

―――ここへおいで

 

―――貴方はそうして手を伸ばす

―――そして私は手を伸ばす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――貴方

 

―――私には欲しかったものがある

―――私はそれに気づいた

 

 

 

 

―――気づかせてくれた

 

―――私を包む貴方が全て

―――私が私でない私に変わらない貴方が

 

 

 

 

 

―――ごめんなさいあなた

 

―――私はこの身さえもあなたに捧げられない

―――私には欲しいものがある

 

 

 

 

 

―――それは

 

―――この愛と彼と紡ぐ未来の詩

―――あまたの星を眺めて感じたその想い

 

 

 

 

―――あなた

 

―――刻まれた罪と荷を私は忘れない

―――それが私の運命だとして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――最後の詩を

 

―――あなたのために、最後の詩を

―――生きとし生けるすべてのものへ

 

 

 

―――彼と共に紡いだこの詩を私は捧げましょう………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この詩は……第2幕……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が謳ったのは第1幕。

第2幕を知っているのは……一人しかいない。

少なくとも、ファンタズマゴリアにはいないはずだ。

 

 

 

「お兄ちゃん!!」

「ソフィ……?お前が謳ったのか……?」

「違うよ。キアラ!」

「キアラが……?」

 

 

 

 

 

 

 

キアラがゆっくりと歩いてくる。

その歩き方………なんで

 

なんでアイツと被るんだ………。

 

 

 

「……」

「キアラ……お前、なんであの詩を………」

「それより、何してるの?こんなところで」

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咄嗟に顔を背けた。

 

 

 

「もう戦えない、っていうのが嫌な程度には未練があるの?」

「っ……」

「お兄ちゃん、どうして戦えないの?」

「………力が出ないんだ」

「え?」

 

 

「魔法が……使えないんだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正直に言った。

もう、どうしようもない。

 

魔法が使えないということは、致命的だった。

普段常に魔力で身を守り、能力を上げている。

 

 

だから、神剣と仮契約程度でもスピリットと渡り合えたし、生き残れた。

魔法使いは、どうしても遺伝的に、身体能力を魔法に持っていかれるため、身体能力は低い。

 

 

 

もう、スピリットと渡り合うことはできない。

 

 

 

 

「魔法……」

「どうして魔法が使えないの?」

「……嫌いなんだ」

「魔法が?」

「だから……もう、使えないんだ……」

「じゃぁ、好きになろうよお兄ちゃん」

「……無理だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吐き捨てるように言った。

こんな……誰かを見殺しにした後に手に入れた力が好きになれるはずがない。

 

だってそうだろ?

あの時、なんでこの力が出なかったんだ!って………

 

 

 

 

「お兄ちゃん、立とう?まずは、そこからだよ」

「ソフィ……なんでお前は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そんなに頑張れるんだ……?

 

 

 

「……」

「だって、人間なんかに尽くしたって返ってくるのは仕打ちだけ。なんで、なんでだよ?」

「……」

「なんで……あんな……ゴミクズみたいなヤツらに………」

「……お兄ちゃん、私はね?」

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別に、好きで戦ってるわけじゃない。

たまには、もうやめたいって思う。

 

でも、最近思ったんだ。

私、今幸せなのかな?って。

 

 

なんで、こんな笑顔でいられるのかな?って。

 

 

 

簡単だったよ。

私、いつも大切な人の傍にいたんだもん。

だから、幸せだよ。

 

 

それで、その人もまた、大切な人のために戦ってる。

だから、私はその人にずっとついていこうって思った。

 

 

 

私は全世界の平和を願ったりだとか、将来のことなんか全然考えてないんだ。

だって、今の私にそれは重荷だもん。

 

 

私はただ、私が幸せならいいって思ってる。

だって、みんながそうやって自分の幸せを願えば、余裕もあるし、誰も困らない。

 

いざって時だけ誰かを助ければ、みんな幸せに生きていける。

だから、私はまず自分が幸せでいよう、って思ったの。

 

 

だから、私は頑張れるの。

大切な人の傍にいれば、どんな苦痛だって耐えられる。

だから、その大切な人が大切な人を守れるように、大切な人が幸せを感じられるように、私は頑張るんだよ。

 

それで、私は幸せなんだ。

 

 

 

 

お兄ちゃん―――

 

そうしていけば、みんなが大切な誰かを守っていけば、いいんじゃないのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソフィ……」

「えへへ……半分くらいはお姉ちゃんたちの言葉なんだけどね」

「……」

 

 

 

アイツら……

 

何も考えてないように見えて、大事なことをわかってた………。

 

 

 

 

それに比べて俺は………

 

 

 

 

「ユウ君、立とうよ」

「キアラ……」

「まだ立てないの?」

「……おかしいな。なんで立てないんだろうな………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まるっきりわからない。

やっぱり……まだ、魔法が使えないから……

 

 

 

「違うよユウ君」

「え?」

「私、わかるよ」

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウ君、疲れちゃったんでしょ?

 

 

 

ハイペリアでいきなり正体不明の女の子と出会って………

 

 

いきなり飛ばされて、戦争やることになって………

 

 

彼女守らないといけなくて、いきなり部隊のリーダーやることになって……

 

 

なじんできた国を壊されて……

 

 

自分の力の真実を知っちゃって………

 

 

イロイロありすぎて、ふっと緊張の糸が解けたら、一気に疲れちゃったんだよね?

 

 

 

 

 

 

 

「キアラ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで、キアラが俺の魔法の真実とやらを知ってる……?

あれは夢で思い出しただけで……

 

 

 

「ちょっと、力抜こうよ」

「え?」

「ユウ君はエトランジェで……リーダーだけど、ユウ君でしょ?」

「……!?」

「ね?」

「……おまえ……キアラじゃない……」

「にゃは……バレちゃった?」

「!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなバカな………

 

 

その笑い方………

 

 

 

 

「キアラ……!」

「残念。私はリリィ・サーベルト・香川。久しぶりだね、ユウ君♪」

「……そんな、だってお前……死んでた………」

「うん。私は転生体。いわば、生まれ変わりだよ」

「そんなバカな……そんな魔法なんてない……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしたら、有名な魔法使いたちはみんな転生できる。

そんな魔法があるわけがない。

 

 

 

「選ばれたんだ」

「え?」

「【再生】の剣に。新しいスピリット……この子の人格として選ばれたの」

「……」

「なぜか深層心理で私が生きてて、記憶もあって……最初は戸惑ったけど、もう、大丈夫」

「じゃぁ、今までのキアラは……?」

「あれも私。でも、ちょっと記憶が吹っ飛んでて、ね」

「……」

 

 

 

「そういえば……スピリットって、あんな出現の仕方だなんて聞いたことないよ。お兄ちゃん」

「え?」

「キアラが出現した時、光が登ってったよね?あれって、どっちかっていうとエトランジェの出現と同じなんだ」

「……」

「キアラはただのスピリットじゃないってお姉ちゃんたち言ってたけど、こういうことだったんだ?」

「……じゃぁ、お前は本当に……リリなのか……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――うん

 

 

 

 

 

「……リリ」

「なぁに?」

「……ちょっとだけ、ありがとう」

「なんでちょっとだけ?」

「力を抜いて……か。そうだよな……少しだけなら……いいよな」

「うん。ね?ソフィちゃん」

「ちゃ、ちゃん?キアラにそう言われると違和感……」

「にゃはは、ごめんね?じゃぁ、ソフィでいいの?」

「うん。あ、でもそうなると私はリリィさんって呼ぶ……?」

「リリィでいいよ。見た目も年同じくらいだしね♪」

「うん!リリィ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【悲しい詩……】

「!?」

 

 

 

 

 

 

 

ドスのきいた低い声が洞窟に響いた。

奥から、ものすごいマナを感じる。

 

 

 

「そういえば……ここじゃなかったっけ?」

「え、なにが?」

「ドラゴンが出現するっていう……」

「……ソフィ!そういうことは早く言え!逃げるぞ!!」

「え?」

「あ、ユウ君。これ」

「……ってだから、なんでこうご都合主義的に、お前が俺の神剣持ってるんだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リリィが永遠神剣を持ってきていた。

つまり?

 

 

 

「俺たちで倒せ、と?そう言わんばかりのシチュエーションだなオイ」

「っていうか、それしかないんじゃない?ホラ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リリィの指差した先に、鋭く目を光らせた巨大な龍。

完全に、射程内だった。

 

 

 

「来るか……!?」

【汝があの詩を謳ったのだろうか?】

「?あ、あぁ、そうだけど……」

【悲しい詩だ……なぜそなたは、あの詩を謳った?】

「そ、その前にお前……なにもんだよ?ドラゴンって、こんな知性持ってたのか?」

「え?知らなかったのお兄ちゃん」

「ハイペリアだと、ギャー!とかアギャー!とか言ってメチャクチャやるだけの存在だったからさぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

何度か討伐したことが……ない。

俺じゃなくて、昔のヤツらの記録ではそう記されていた。

 

 

 

【我が名はガリオーン。お主は来訪者ユウキだな?】

「よ、よく知ってるな」

【我を倒しにきたのだろう?】

「……で、でも、なんか倒しにくいなぁ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すっかり会話で馴染み始めている。

リリィもソフィも同じようで、神剣を収めている。

 

 

 

【いいだろう。倒してみせよ】

「え!?だ、だって……」

【我を倒さねば、お前は一歩を踏み出せぬぞ?】

「……?」

【白き法皇を倒したかろう?】

「!!」

【今のお前の力では勝てぬ。我の力を欲しくはないのか】

「だ、だけど……!!」

【さぁ来い!こないならば!ここから出て国を焼き払おうか!!】

「なに……?」

【戦えぬ来訪者がいる国を滅ぼすのだ。そうすれば、この世界は帝国のもとで統一される】

「……本気か?」

【そうだ。止めたくば、倒してみせよ!!】

 

 

 

 

 

 

 

ガーリオンは咆哮して翼を広げた!

 

その翼が放つ風圧で、身が裂けそうになる。

 

 

 

「……くっそ!リリィ、ソフィ!行くぞ!俺がディフェンスに回る!」

「……うん!!」

「じゃぁ、私はサポートするよ。神剣が、応えてくれてる」

「じゃぁソフィがオフェンス!俺がディフェンス!リリィがサポートだ!」

「「了解!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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リリィ・サーベルト・香川

 

キアラの本当の人格。

出雲の組織の一員と勘違いされ、ロウエターナルに殺された。

その後、御霊を再生の剣に捕縛され、新しいグリーンスピリットの体を得た。

 

強かった魔力は体と共に消滅してしまっているが、グリーンスピリットが得意な治癒魔法などの効果は非常に高い。

真に祐樹を理解している数少ない存在。