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だんだんと近付いていく・・・。
(テムオリン・・・っ!)
俺ははやる気持ちを抑える。
イースペリアを壊滅させ・・・ユウナの記憶を奪った張本人・・・!
(あのときはしてやられたけど・・・)
もう負けない。
負けたくない・・・。
「気張れよ不変」
{テムオリンなんて目じゃないわ}
頼もしいことを言ってくれる。
不変を握り締め、俺は前へと進む・・・。
「やっときたのですね」
ビィィンッ!!
突然空間が軋むと、テムオリンが現れた。
(相変わらず・・・)
空気がピリピリして痛い。
自然と体の動きが鈍くなる・・・。
「テムオリン・・・ここで終わりだ」
「ふふっ・・・その様子ですと、我が陣営にくるつもりはないのですね?」
「もちろんだ。誰がロウなんかにいくかよ。さぁ、秩序を取れよ」
「・・・おもしろくありませんわね。私の力の大きさはわかってるはず」
幼い少女の顔が歪む。
「今の俺には不変がいる。ユウナがいる、ユウトがいる、みんながいる・・・負けるはずないさ。おまえ『なんか』に」
「・・・叩き潰してあげますわ」
「やってみろよ・・・!いくぞテムオリン!!」
俺はテムオリンに飛び掛かった!
「甘い、ですわ」
ブゥンッ!!
突然巨大な剣が現れる。
俺は無視してテムオリンへとむかっていく。
キィンッ!!!
その剣はユウトが弾いてくれた。
「いけっ!ユウキっ!!」
「サンキューッ!!」
「なっ・・・これならっ!」
ブゥンッブゥンッ!!
次々剣が出現する。
「ユウナッ!!」
「任せておいて!救世・・・いくわよ!」
{了解!}
「はぁぁっ!!」
ズガァッ!!
バキィィンッ!!
ユウナの鋭い太刀が剣を弾き、砕く!
「テムオリンッ!!覚悟しろぉぉぉっ!!」
「っ!」
俺は不変を振り下ろす!
ドガァァァッ!!
床が砕け、爆発する。
テムオリンはさっと避けた。
「うらぁぁっ!」
「なっ・・・!」
俺は強引にテムオリンへ剣を持っていった!
ザブシュゥゥッ!!!
「なっ・・・ぐっ・・・」
テムオリンの体が腹で真っ二つになる。
「まさか・・・」
「はぁぁぁぁっ・・・!悠久不変の斬ッ!!!テムオリン!!おまえの負けだアァァアァァァアァッ!!!」
俺は不変を抜刀した。
同時に、テムオリンの体が刻まれていく!
その太刀の速さは光速といっても過言ではない。
「うらぁぁっ!!!」
「ぐっ・・・まさか・・・私が・・・消える!?」
ザンッ!!
ドバァァッ!!!
俺は不変を振りかぶった。
剣は刀身が見えなくなる程のオーラを纏っている。
「うぉぉぉおおおおぉぉっ!!!」
ドガァァァッ!!!
ドォォオォォオォォッ!!!
不変がテムオリンに触れると、ものすごい爆発を巻きおこす!
「・・・」
俺は眩しく光るオーラの中に、消えていくテムオリンを見た。
その瞬間、視界が真っ白になる・・・。
「はぁ・・・」
俺はため息をついて地面に座り込んだ。
足に力が入らず、立っていられない。
「大丈夫?」
「ああ、大丈夫だユウナ・・・」
{まったく、あの程度で疲れちゃうなんて情けない}
すぐに不変の悪口がきた。
俺は無視して体を休める。
「よし、いこう!」
「いいのか?」
「後はシュンだけだ。それに、まったりしてて再生が暴走しても困るからな・・・」
俺はしっかりと両足で立って歩きだす。
(さぁ・・・最後の戦いだ!勝って・・・暴走を止めるんだ!)
「なるほど・・・本当にエターナルとなっていたか」
俺とユウトを見て呟くシュン・・・。
その声以外、全て永遠神剣になってしまった・・・。
俺は自然と一歩下がる。
「シュン・・・決着をつけようぜ」
ユウトがそう言って聖賢を構えた。
「よいだろう。聖賢を取り込めば、我の力も飛躍的にあがるだろう。そうすれば、他の世界も滅びへ導きやすくなるというものだ」
「やってみろよ・・・できるものならな!」
ユウトの足元にオーラフォトンが展開した。
「俺はおまえを倒す!おれ達はもうこの世界にいちゃいけないんだっ!!」
ユウトは聖賢を振りかぶった!
キィンッ!!
聖賢が世界でいとも簡単に止められる。
「っ!」
「その程度か・・・?」
「まだだ!!」
ユウトはすぐさま距離を取った。
それを見てニヤリとするシュン。
「死の世界を見せてやる・・・いくぞ!!」
タッ!!
「なっ・・・!」
シュンが一瞬で間合いを詰めた。
ユウトの体は突然のことに一瞬だけ反応が遅れた・・・!
キィンッ!
キキィィンッ!!!
シュンの剣をギリギリながらもちゃんとかわす。
一撃でも食らうと連続して食らってしまうだろう。
「でりゃぁぁっ!!」
シュンが二つの球体を作り出し、ユウトに投げた!
ドゴォォォッ!!
「うおおおぉぉっ!?」
俺はその球体の衝撃波で飛ばされた!
「いくぞ!オーラフォトンブレイクッッッ!!!」
『甘い!マナよ、我が命のみを聞けッ!!ブラストパニッシャーッッッッッ!!!!』
突然声がしたかと思うと、シュンに集まりだしたマナが消えていく・・・。
「なっ・・・ばかな!」
「ユウトッ!!今だっ!!」
「サンキュー!ユウキ!シュンッ!!これで、終わりだぁぁぁぁっ!!」
ブシャァァッ!!
聖賢がシュンの体を貫いた!
「がはっ・・・ぐっ・・・」
ありえない、といった表情で自分に刺さる聖賢を見るシュン。
「シュン・・・おまえの負けだ!消え去れっ!!」
「ぐぉぉぉぉっ・・・」
シュンがマナへと還っていく・・・。
「ふぅ・・・」
俺は額の汗を拭った。
(・・・おまえも、佳織を・・・この世界を壊したかったわけじゃないだろう?)
心の中で問い掛けても、当然返事も答えも返ってこなかった。
「さぁ・・・あとは、コイツだけだな」
俺は不変を再生に向けた。
マナが限界近くまで溜め込まれている。
「そうだな・・・」
ユウトが呟く。
長かった・・・この戦いに、ピリオドをうつ。
「不変」
{わかってるわよ}
「よし・・・」
俺は不変を振り上げた・・・。
ブワァァァッ!!
「!?」
突然光が現れ、俺を突き飛ばした!
「ぐっ・・・!」
床に倒れこむ。
すぐさま新しい息を肺に送る。
「大丈夫か!?」
ユウトがすぐさま駆け寄ってきた。
「あ、あぁ・・・」
「一体・・・」
ユウナはその光を睨んでいる。
そこから・・・一人の青年が出てきた。
青い髪・・・優しそうな顔。
「初めましてみなさん・・・」
丁寧にあいさつする青年。
だが・・・腰にかけられている二本の剣から、ものすごいプレッシャーを感じる。
「テムオリン達では・・・やはり、手に負えませんでしたか・・・不変の存在ユウキ」
「俺・・・?」
「まぁ、それもここまで・・・。まずは、私の驚異となりうる剣・・・救世、砕かせてもらいます!」
「くるっ!?」
ユウナは咄嗟に身構えた。
真正面から男の殺気がぶつかってくる!
「『果て』・・・いきますよ?」
{うむ}
男が不変そっくりの剣を取り出した。
だが・・・その力は遥かに不変を上回っている!
「ユウナッ!逃げろッ!!」
咄嗟に俺は叫んだ。今のおれ達が適う相手じゃない!
「ディストーションッ!!!」
「っ!?」
ユウナの体が固まったのがわかる。
息も止まっているようで、みるみるユウナの顔色が悪くなっていく。
「消え去れ・・・救世よっ!!」
{っ!?}
「きゅ、救世・・・っ!!」
ユウナが必死に救世を動かそうとするも、ミリ単位でも動かない。
男が果てを振りかぶった!
「救世ッッッ!!!」
俺は叫んで駆け出した。
だが、遅すぎる・・・!
バキィィンッ!!!
カラカラッ・・・!
「なっ・・・」
「うっ・・・」
救世が木っ端微塵になると同時に、ユウナが崩れ落ちた。
「ユウトッ!」
「わかってる!」
ユウナをユウトに任せ、俺は不変を持って一瞬で男の前に飛び込んだ。
ブワァァァッ!!
俺は瞬時に全てのハイロゥを展開させる。
「ふっ・・・」
「っ!?」
パキィッ!!
不変が、男に触れることなく軽く弾かれた。
流れが死に、追撃ができない。
俺は間合いを取る。
「私に傷をつけるとは・・・」
男は右手を見せてきた。
その手の甲には、軽い切傷ができていた。
だが・・・それだけだ。
俺は全力で踏み込んだはずなのに・・・。
「さすがは伝説の魂の持ち主・・・か」
「魂・・・?」
「だが・・・今は構っていられんのだ」
男はもう一つの方の剣を取り出すと、再生に軽く叩きつける。
バキィィ!!
それだけで再生は砕け、その剣へと吸収されていく・・・。
「なっ・・・」
「すごいマナ量だ・・・。不変の存在ユウキよ」
突然俺にむきなおる。
「・・・」
「今から私は、この世界をマナに還すために全てのエーテル装置を暴走させる」
「なにっ!?」
突然、とんでもないことを言い出す男。
「この・・・再生を取り込んだ『時限』ならば可能だ。
止めたくば・・・サーギオスへと来い。私は、おまえの魂を試すためにいるのだからな」
「・・・わかった」
魂云々はわからないが、やるべきことはわかった。
こっちも消耗している・・・それで、機会を改めようというのだから、それに従う。
「私の名前は『果ての存在ラクセル』・・・では・・・待っているぞ」
シュンッ!!
オーラフォトンに包まれて、ラクセルは消えた・・・。
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『悠久不変の斬』
ユウキのアタック技。流れや型はほとんど『永劫不変の太刀』と変わらない。
しかし、一撃一撃の威力が上がったため、一気にキメる時に使う。ただ、疲労が増加したので斬る回数は減った。
『ブラストパニッシャー』
ユウキのサポート技。対エトランジェ、エターナルのアイスパニッシャーみたいなもの。
マナに呼びかけ、相手の命令を聞かないようにさせるため、オーラフォトンでも大抵の技をとめてしまうことができる。
ただ、ダメージを与えることはできないため、一対一ではあまり効果が発揮されない。
『果ての存在ラクセル』
突然現われた、永遠神剣最下位『果て』を持つエターナル。救世がいずれ大きな障害になる、と破壊しにきた。
別の剣として永遠神剣『時限』を持つ。どうやらユウキのことを知っているようで、意味深な言葉を残して消える。
永遠神剣最下位『果て』
最下位は最上位と対になっている剣の種類。力は最上位と同等なため、一番下、という意味ではない。
ただのスラッとした剣だが、契約者に果てしない力を与える。
ただ、同時に絶えることのないマナへの欲求も受けることになる。
別に名前などはなかったようで、おそらく『果ての存在』というのはラクセル自身がつけたもの。
ほとんど喋らない。
永遠神剣『時限』
自我もなく、力も与えない神剣。なのに、どうして神剣なのかというと、その中には莫大なマナを溜め込んでいるから。
暴走させるのにこれ以上適切な剣はない。暴走させると5、6世界を一気に消しとばしてしまう。
『ディストーション』
ラクセルのサポート技。瞬が佳織を苦しめたのと同じ原理。ただ、そのまま数秒間動けなくなる。
跳ね返せずに殺されてしまうと、マナさえ残らず消え去ってしまう。