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俺は不思議な空間にいた。
真っ暗で何も見えない。
だけど、不安を感じない、不思議な雰囲気・・・。
「ここは・・・?」
{あんたの心の闇ってところ}
「・・・」
{これから、アンタの心の闇を見せる。それを拒否せずに直視しなさい。そして・・・克服するの}
「やってやる・・・!見てろよ剣!俺はこんな程度で崩れたりしない!」
『うぉぉぉ!!』
「っ!!」
いきなり俺が現れた。
すると、スピリットを解放で切り裂く。
『ふぅ・・・スッキリしたぜ』
「・・・」
俺は突然の事に唖然とする。
すると、その俺はツカツカと歩み寄ってきた。
『よぉ』
見てるだけで嫌悪感がする。
なんでだろう・・・?
『なぁ、スピリット斬るのって楽しいよな』
「何を言ってるんだよ・・・?」
『おまえの心の中だけど?』
「い、いい加減な事を・・・」
『おまえは口ではいいこと言っておきながら、結局スピリットを殺していた。
殺す事を躊躇わなかったじゃないか。それは、楽しかったからだろ?』
「違う!俺は仕方なく・・・」
『ふぅん?仕方なければ殺していいんだ?』
「っ!そういう意味じゃ・・・」
『おまえのやってきたことはそういうことだったろうが?何いまさら取り繕ってるんだよ?』
「俺は楽しくて斬ったわけじゃない!」
『ユウナのため、生きるため、仕方なく・・・どれも、自分の責任ではないんだな?どうしてだ?斬ったのは自分自身だろう?』
「それはそうだけど・・・」
『生きるためなら何を殺してもいいのか?大切な人のためなら何を殺してもいいのか?仕方なければ何を殺してもいいのか?』
「よくはない・・・よくはないけど・・・!」
『おまえはその血塗れの手で、何をするんだ?どうせ殺すだけだろ?』
「違う!俺は・・・」
『またユウナのためとか言って誰かを殺すんだろうが?』
「っ・・・!」
『そうやって罪をおしつけられてちゃユウナもイヤだろうな』
「・・・」
だんだんと声もだせなくなってくる。
全て・・・相手が正しい。
『偽善を振り撒いて、今まで何人殺した?これから何人殺す?おまえはどれだけ人のせいにすれば気が済むんだ?』
「・・・」
殺さない・・・とは言えなかった。
エターナルになれば、永遠に戦いなのだから・・・。
『そうやって罪を誰かにおしつけて、自分はいかにも何でもありません。仕方ないんです。ってか?
そんなヤツに殺されたヤツらはどんな思いをしてると思ってんだよ!!
その偽善のせいで、どれだけのスピリットが犠牲になり、どれだけの人間が不幸になったかわかるか!?』
俺は両肩を俺に掴まれた。
振りほどく力さえ、もう・・・でない。
『何がユウナのためだ!?おまえなんかより辛い思いをしてるスピリットをオマエは平然と斬ったじゃないか!!
それで今度は自分のわがままでユウナまで不幸にしようってか!?
おまえがいなければ・・・どれだけの人が幸せになれたと思ってるんだ!?』
「・・・」
『俺はおまえを許せない・・・!俺からずっと目を背け、逃げ続け、考えもしなかったおまえを!!
俺は許さない!!奪った命はもう二度と戻らないんだぞ!?そんなおまえが!なんで生きてるんだよ!!!』
「・・・そうだな」
『何・・・?』
「俺は、今までしてきたことが正しいとは思ってなかったし、相当の人の幸せを奪ったんだろうってこともわかってた。
でも・・・それを考えると苦しくて、痛くて・・・辛くて、泣きたくて・・・極力逃げてたんだ・・・」
自分の心を全て開けるのは恐い・・・。
でもここではそれが求められている・・・。
苦しくても、言わなくちゃいけない。
『・・・』
「誰かに責任をなすりつけて・・・俺はすごい罪をおかしてきた。
この世で一番重いくらい・・・。だけど、俺はもう、それから目を逸らさない。
この、たくさんの命を奪ってきた手から、もう目を逸らさない」
そこで俺は一息いれた。
唇を噛締めて震えをとめる。
「ちゃんと・・・奪った命と向き合う。そのうえで・・・俺はユウナと一緒にいたいんだ。
別に、ユウナのせいにしようとか、ユウナに一緒に罪を背負ってほしいわけじゃない・・・。
だって、俺の罪は俺の背中からおりることはないし・・・でも、俺はユウナと一緒にいたいんだ。
ユウナは俺を受け入れてくれないかもしれないけど・・・俺はユウナを愛してる。この気持ちは、紛れもなく俺の本心だ」
俺はそこで目の前の俺を見据える。
もう・・・背けない!
「そして・・・もう、俺は奪った命から・・・これから奪うであろう命から・・・目を背けたりしない!」
俺は闇に叫ぶ。
すると、目の前の俺が薄れていく・・・。
「いいか!よく聞けよ剣!!開き直るわけじゃないけど!人には優先順位があるんだよ!!
そして、俺の中で一番なのはユウナなんだ!!だから、正直何にかえても絶対に守りたいって思ってる!!」
目を閉じる。再び開けると、そこに俺はいなかった。
「だから!俺は自分の心のままに動く!自分が信じたものを、俺は永遠に信じ続ける!!
俺には罪がある!それは否定しないけど!!それでも俺はこれからも命を奪う!!それは絶対に正しいとは言えない!
でも、一つだけ正しくなるときがある!!それは・・・自分の心の中にある『正しい』にしたがってそうした時だ!!
社会的な正しいじゃない、法律でも憲法でもない・・・俺は、これからもユウナの傍で!自分の心に従って動く!!
それは、おまえにとっては正しくない事もあるけど!!俺は絶対にこれだけは譲らないからなッッッ!!それが、俺の答えだ!」
闇に俺の声が吸い込まれていく・・・。
「だから、俺は心に従って、ユウナと一緒に前に進んでいきたいんだ!!だから剣よ!!俺を送ってほしい!ユウナの元へ!!」
闇が急激に晴れていく・・・。
気が付くと、俺の封印の間に戻ってきていた。
「剣・・・」
{わかったわよ・・・}
「本当に!?」
{そこまで言われたらね。それに、結構気に入ったし、君の事}
「剣・・・」
{・・・君とは気も合いそうだし。なにより・・・
いまどき、全てを捨てるってことをわかってて、そうまでしてエターナルを追い掛ける子なんていなかったから}
「じゃぁ俺が世界初だな!やったね俺!」
{・・・お調子者でなければもっとよかったんだけど。まぁいいわ。ちょっとカリを返したいヤツらもいるしね・・・}
「照れるな照れるな」
{て、照れてなんかないわよっ!!ホラ、さっさと契約するわよ!}
「はいはい」
俺は剣を真正面から見据える。
{あ、そうそう。今の君に私の力は強すぎるから、半身を渡すわ}
「ケチ」
{ケチとはなによ!?今の君には扱えないんだからしょうがないでしょ!?}
「・・・それで、テムオリンとかタキオスに対抗できるのか?」
{・・・できるわ}
「ならいい」
俺はすっと息を整えた。
{我・・・永遠神剣第一位『心』において命ずる。
我が半身よ!我が契約者のためにその力をしめせ!いでよ!永遠神剣第二位『不変』!!}
俺は心を握る。
俺の方に引くと、光だけが俺の手にまとわりつく・・・。
それが、少しずつ剣の形へと変わっていく・・・。
「これが・・・」
俺の体の組織が全て変わっていく・・・。
体の中の時間が止まった気がする。
その途端、ユウトがエターナルになったこと等が頭に流れこんできた・・・。
俺の手には、白く、大きめの剣があった。
平べったい、両刃の剣。
ひしがたを少し縦長にして四分の三くらいを刃にしたような形だ。
長さは・・・1メートルくらいだろうか?
「俺も・・・エターナルになったのか」
{ええ。これから・・・よろしくね?『不変の存在ユウキ』}
「・・・それが俺の名前?ダサッ・・・」
{なんですって!?}
不変が怒りだす。
とたんに激しい頭痛攻撃が始まった。
「バ、バカッ!痛いだろ!?だって、ユウトって聖賢者じゃんか!俺もそういう格好いいのがいいなぁ♪」
{不変者ユウキ?}
「・・・やっぱり不変の存在ユウキでいいや」
なんだか犯罪者の一歩手前みたいな名前をつけられそうなので、おとなしく妥協するとしよう。
「さて・・・と。いたのか」
気が付けば、雄司と愛香がいた。
雄司は昔から鋭いところがあったから、別に驚かない。
「祐樹さん・・・いくのですね?」
「ああ・・・ごめんな、愛香」
「いえ、祐樹さんのやりたいことを止めるつもりはありませんから」
静かに首を振る愛香。
「・・・」
「祐樹」
「うん・・・?」
「決めたからには、最後までしっかりな」
「ああ」
{門が開くわ}
ブォォォッ!!
突然光が現れた。
ここをくぐれば、雄司と愛香は俺を忘れ、俺はユウナの元へ行く。
すなわち・・・永遠の別れ。
「じゃぁ・・・さよなら!」
俺は不意に溢れそうになる涙を隠して、光へ飛び込もうとした。
すると、クイッと袖がひっぱられた。
「ん・・・!?」
俺が振り向くと、そこには愛香の顔があった。
唇同士が軽く触れ合う。
「祐樹さん・・・ずっと、好きでした」
「愛香・・・」
「やっぱり、気持ちは伝えたかったので・・・」
「・・・ごめんな」
俺は謝った。俺には、それ以上できない。
してはいけない・・・。
愛香の瞳から涙が流れだした。
「さよ・・・なら・・・!祐樹・・・さん!」
「・・・じゃぁな!!二人とも!!」
俺は溢れそうになった涙を袖で拭って、光へと飛び込んだ!
(待ってろユウナ!今・・・君においつくからな!!)
(いよいよ・・・決着ね)
救世からピリピリしたオーラが伝わってくる。
それが、いやってほどに私の緊張感を増幅させていく・・・。
「タキオス・・・!」
いよいよ、あの黒い剣士と決着をつけるときがきた。
エターナルになってすぐから続いた因縁を、ここで断つ!!
私は救世を握る手に力を入れた・・・。
「タキオス!」
「やっときたか・・・ユウナよ!!」
タキオスの表情が歪む。
その歪みの原因は・・・私。
「どれだけこの時を待ちわびたか・・・」
「それは私もよ。今までさんざん言いあってきたのだから・・・もう、言葉はいらないわね?」
「うむ・・・いくぞユウナッ!」
タキオスが無我を引き抜いた。
「ここであなたを倒す!!もう、二度と剣を握れなくしてあげるわッ!!」
私も救世に力を入れて、オーラフォトンを展開する。
お互いのオーラがぶつかりあい、パチパチ音をたてる。
「うぉぉぉぉ!!」
無我がものすごい速さで私にむかってくる。
「いぃぃぃ、やぁぁぁっ!!」
キィンッ!!
救世ですばやく弾き、そのまま間合いを詰める!
そのまま、タキオスの左肩から切り下ろす!
「ふっ・・・甘い!」
スッと退いて避けるタキオス。
すぐさま無我が床を叩いた。
ドゴォォォッ!!
「っ!!」
叩きつけられた無我がものすごいオーラフォトンの衝撃波を生み出した。
「そんなもの・・・きかないわっ!!アテナッ!!」
私はすぐさまオーラフォトンを展開して、身を守る。
パキィンッ!!!
オーラ同士がぶつかりあい、弾けて消える。
「はぁぁぁっ!!」
すぐさま飛び掛かって態勢を整える隙を与えない。
「でやぁぁっ!!」
「っ!!」
キィンッ!!
無我が救世を弾きとばす。
かろうじて手から離れる最悪の事態は防げたが、完全にボディが空いてしまう。
「しまっ・・・!!」
「どぉぉぉりゃぁぁぁっ!!」
タキオスは救世を弾いた無我をそのまま体で回転させ、私の左下から切り上げた!
ズシャァァッ!!
「っあぁっ!!」
{ユウナッ!!}
黒いオーラがまとわり憑き、私の力をどんどん引き抜いていく・・・。
「っ・・・かはっ・・・!」
私は床に激突して胃からでてきたものを吐き出す。
口の中がすごいことになっていた。
「まだ・・・っ!」
私は立ち上がる。
この程度、いつものこと!
「そうだ、その不屈の闘志に俺は惹かれたのだ!」
タキオスはこれ以上ないうれしそうな顔をする。
「アンタなんかに・・・好かれても嬉しくないわね・・・っ!」
救世をタキオスに向ける。
力を込めると傷が軽く塞がる。
「いくわよっ!!」
「こいっ!!」
「マナよ・・・私に従え!全てを無に還す力を刃に乗せよッ!!はぁぁぁっ!!」
救世に真っ赤なオーラがまとわりつく。
「全ての力を込めて・・・ッ!!永劫終牙剣ッッッ!!!」
私は救世を床に叩きつけた。
すると、タキオスのいる床から突起がでてきてタキオスを打ち上げる!
「ぐっ・・・!?一体これは・・・!?」
「はぁぁぁっ!!」
私はすぐさま間合いを詰めて、タキオスが地面に落ちる前に救世を切り上げる!
ズザァァッ!!
「ぐっ!うごぉぉぉっ!?」
切り上げるに従って発生したオーラがタキオスを刻んでいく!
「うあぁぁぁああああっ!!」
私はジャンプしてタキオスより少し上まで飛ぶ。
救世を大きく振りかぶった。
「そこだぁぁぁあああぁっ!!」
ズシャァァッ!!!
「ぐぬぅぅっ!?がはっ!!」
振り下ろした救世がタキオスをとらえる。
自由落下にしたがって落ちていくタキオスを加速させ、床へと叩きつけた!
「これで・・・終わりッ!!」
私は地面に戻る前に態勢を整え、もう一度救世をふりかぶる。
そして、タキオスにむかって救世を振りぬいた!
オーラの刃が生まれ、タキオスを打ち据える!
「ぐぉぉぉおおおっ!」
ドガガガガァァァァッ!!!
刃が爆発し、そのマナの輝きで視界が真っ白になる。
私はゆっくりと地面へと降りていく・・・。
「・・・終わった?」
{どうだろう・・・?この技使ったの初めてだし}
私はマナの輝きがおさまるのを待っていた。
キィンッ!!
「っ!?」
突然救世が悲鳴をあげた。
それは私の警戒心を急激に増幅させ、逆に身動きができなくなる。
「惜しかったな・・・ユウナァァァァッ!!!」
タキオスが気が付けば目前にいて・・・。
ズブシャァァッ・・・
気が付けば・・・無我で切り裂かれていて・・・倒れていた。
「っ・・・かっ・・・ぐっ・・・!」
満足に息もできない。
あまりの傷の深さに、痛みで体がちぢこまる。
「ユウナよ・・・この戦い、今までで最高のものだった。まさに、決着にふさわしい」
「っ・・・私が・・・負けで・・・終わらせるつもり・・・なか・・・ったんだけど・・・ね・・・」
ガハッ!
口から血が吐き出た。
それは、静かにマナになっていく・・・。
「終わり・・・かな・・・」
{ユウナッ!!}
救世の声が遠くなっていく・・・。
(ごめん・・・ね・・・救世・・・記憶・・・)
もはや声もでない。
心の中で、契約した神剣に謝る・・・。
その時―――――
「む・・・?」
ブワァァァァッ!!!
突然圧倒的なプレッシャーが空間を支配した。
そのプレッシャーは、私やタキオスを軽く上回っていた。
(でも・・・テムオリンじゃない・・・?シュンでもないし・・・一体・・・誰・・・?)
私の意識が薄くなっていく・・・。
「むっ!もしや・・・!?」
パアァァァッ・・・
(なに・・・これ・・・?)
突然私の体が温かくなる。
「これ・・・」
気が付けば、傷が治っている。
あれだけ深かった傷が一切ない。
「このプレッシャー・・・一体誰・・・?」
私もタキオスも、現れている門を凝視していた・・・。
そこから出てきたのは・・・。
――――――ユウナぁ、お待た〜?
「あ・・・」
俺は門から出る。
そこには、俺を凝視しているタキオスとユウナがいた。
「全く・・・ユウトとかもいるのに、一人で挑みやがって!」
俺は座り込んでいるユウナの頭をポンポンと叩いた。
「な、なんで・・・?」
信じられない、という顔で俺を見るユウナ。
「なんで?そんな事、言うまでもないだろ?」
「え・・・?」
「俺は、おまえの傍にいたい。永遠にな。それだけだ。
それ以上の理由が、エターナルになるには必要なのか?俺はいらないと思う。つまりは、そういうことだって」
俺はニカッとユウナに笑った。
「少し休んでろ」
俺は、相変わらず理解できてない顔のユウナの頭を軽く叩いて、前に一歩踏み出た。
「よっ、タキオス」
俺は片手をあげてタキオスにあいさつした。
「エターナルとなったのか・・・」
「まぁな。偶然というか・・・上位神剣が俺の所に来たからな」
と、いうものの俺のどこにも剣はない。
それを見てタキオスが喜んだ。
「ふっ・・・愛するもののためにか。やはり、俺の見込んだ男だ」
「はいはい、相も変らず嬉しそうな顔しやがって・・・」
「いくぞっ!!ユウキ!」
「・・・やるか。永遠神剣第二位・・・不変よ!こいっ!!」
俺の目の前に現れる不変。それを握り締めた。
「うぉぉぉぉっ!!」
「でやぁぁっ!!」
俺は無我を流し、そのままタキオスの懐に入った。
「ぬっ・・・しまった・・・!?」
「俺の速さを甘く見るなッ!!!俺は、ユウナのためならどこまでだって強くなるって決めたんだッッッ!!!」
俺は不変を抜いた。
「オーラフォトンアテナッッッッッ!!!タキオスッ!!おまえはここで倒れるんだよっ!!」
キィィッ!
不変に急激にマナが集まる。
俺はそれを地面へと叩きつけた!
ドガァァァッ!!
「ぐぉぉぉおっ!?」
突然爆発し、タキオスが打ち上げられる!
「次ッ!!!」
俺は不変を切り上げる。
水しぶきをあげるかのようにオーラがせりあがり、タキオスをつぎつぎと刻んでいく!
ザパァァァッ!!
あまりの轟音にタキオスの声も聞こえない。
「ラスト・・・ッ!!永劫不変の太刀ッッッ!!」
ザザザザザッ!!!
俺が不変を引き抜いた瞬間、タキオスは自由落下を止めた。
ザザザッ!!!
解放の時よりも遥かに速い不変がタキオスを刻んでいく!
その速さでタキオスは地面に落ちることができなかった・・・。
「でりゃぁぁっ!!」
ザンッ!!
俺は最後に大きくタキオスを切り下ろした!
「ぐがあああぁぁぁああっ!!」
「ぐ・・・ふっ・・・見事・・・」
タキオスの体はもはやボロボロだった。
回復魔法程度では、絶対に治らないくらい・・・マナが流れだしている。
「ユウキよ・・・」
「うん?」
「強く・・・なったな・・・」
「そう?そうかもな。ま、不変はついでだし」
俺がエターナルになるためには仕方なかった、ということで。
そう思った瞬間・・・。
キィィィンッ!!!
「ぐわっ!!」
{ついでとはなによ!?あなたなんか私がいなければ弱っちぃくせに!!}
「とかなんとか言って、俺の事気に入ったんだろ?照れるな照れるな、おまえの愛は俺に届いてるさぁ」
キィンッ!!
更に頭痛が激しくなる。
「ぐっ・・・ちょ、おまえ手加減しろよ!!」
{うるさい!!はぁ・・・なんでこんなヤツと契約しちゃったんだろう・・・}
「ふ・・・仲が良い・・・のだな・・・」
タキオスが呟く。
「まぁな。なんだかんだ言って・・・不変・・・いや、心には感謝してる」
「心・・・。なるほどな・・・それがおまえの本当の剣か・・・」
意味深な会話・・・心、俺の神剣であるが、俺の言った心は、それとは別だ。
「じゃぁ・・・な、タキオス」
「・・・またいつか、手合せしたいものだ」
そう言って、タキオスは消えていった・・・。
「ユウキ・・・?なんで・・・」
「なんでって・・・さっき言ったろ?俺はおまえの傍にいるって」
「でも!だからって・・・なんでエターナルになってまで追い掛けてきたの!?」
エターナルになるということが辛いとわかるユウナが、俺に詰め寄る。
「・・・」
「なんで・・・あなたは・・・っ!」
俺の胸をドンドン、と叩くユウナ。
目には涙が浮かんでいた。
「あのな、ユウナ」
「・・・」
俺はユウナの肩をもって、しっかりと目を見て答えた。
「俺はユウナが好きだ。それが、エターナルになる理由として物足りないか?俺には十分だった。
それだけで、ユウナを追い掛けることができた。ユウナの傍にいて、ずっと一緒に歩いていきたい。
それだけで、エターナルになるには十分だったんだよ」
「ユウキ・・・」
「それにまぁ・・・ついでに、世界を守るってのもいいかなって。だから・・・もう泣くなよ」
「ユウキ・・・っ!」
俺はユウナを軽く抱き締めた。
「今から、俺はずっとおまえの隣を歩いていくからな?もう、一人で抱え込むな。
一人でできないなら、俺と一緒にやればいい。約束しただろ?もう一度巡り合えたら、ずっと一緒にいようって」
「覚えてたの・・・?」
「もちろんだ。だから・・・まずは、一緒にテムオリンとシュンを倒すぞ?」
「・・・うんっ!」
目尻にたまった涙を指で取る。
そこにあったのは、ユウナの晴れた笑顔だった。
{んじゃ、ちゃっちゃと行きますか}
「ああ。そうだな」
「そういえば・・・ユウキの剣って・・・」
「あぁ・・・ホラ、自己紹介しやがれ」
乱暴に剣を突き出す。
こうやると・・・
キィンッ!
―――ホラきた。
「いい加減頭痛攻撃やめろ」
{パートナーにそんな言い方ないでしょ?}
「うるさいなぁ。こんな頭痛ばかりさせるパートナーより、解放の方がまだよかったよ・・・」
キィンッ!
再び頭痛がきた。
「・・・頼むから早く自己紹介してくれ・・・」
俺が根をあげて下手にでた。
そうするととたんに頭痛は止み、上機嫌な不変。
{永遠神剣第一位『心』の半身、永遠神剣第二位の『不変』よ。これから『不変の存在ユウキ』が世話になるけど、よろしくね?}
「なんで親みたいなあいさつなんだよ・・・てめーは俺の保護者かコノヤロウ」
キィィンッ!!!
「いってぇっ!!なにすんだ!?」
{口の聞き方がなってないわよ!?}
「誰がてめーなんぞに敬語なんか使うかよ!」
{なんですって!?}
「ちょ、ちょっと・・・」
おれ達が再び喧嘩しているのをユウナが止め、おれ達は悠人達と合流するために歩きだした。
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『アテナ』
ユウナのディフェンス技。手にオーラフォトンを宿らせて盾のように使用する。
ユウナはオーラフォトンを操るのが苦手なので、あまり効果は期待できない。
『永劫終牙剣』
ユウナの必殺技。床に叩き付けて、相手の地面から突起を打ち出す。
そのあと、打ち上げられた敵の下にもぐりこみ、切り上げる。
その時、剣のオーラフォトンが切り上げるに従って敵を刻む。
そのあと敵より高く飛び、敵を切り下ろす。そのあと、地面に降りる前にもう一度剣を振るう。
その時に生まれたオーラの刃が敵を爆発に巻きこむ、という技。
威力が高く、一対一ではこれ以上ないほどの効果を発揮する。
『オーラフォトンアテナ』
エターナルユウキの必殺技。オーラフォトンをぎりぎりまで纏わせた剣を地面に叩きつける。
その時の大きな爆発で敵を打ち上げた後、剣を切り上げて水しぶきのようなオーラで刻む。
威力は高いが、トドメとしてはイマイチなため、ユウキはこの次に連携して使う。
『永劫不変の太刀』
エターナルユウキの攻撃技。解放に素早い攻撃を鍛えられたユウキは不変を持って、更に速い攻撃が可能になった。
その速さは光速に近く、自由落下する敵を止めてしまうほど速く刻む。
最後の一撃だけ大きく振りかぶり、真っ二つにするのでトドメとしてはすばらしい。
だが、斬っている三秒間程度は完全に背後ががら空き。
ただ、解放の時にあった、初撃を崩されると続かない、という点が解消された。