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深夜 


・・・嫌な胸騒ぎがする・・・

日記を書きながら何故かそう感じている。
今日は確かに良い事の方が多かったはず、でも何故かこの不安だけは取り払えなかった。

・・・・違う・・・・・これは気のせいだから・・・・・

無理やり納得させるように自分に言い聞かせてからまた書く手を進め始める。
しかし、数行書いただけでまた手が止まってしまった。

「おかしいな、どうしてこんなに不安なんだろう・・・」

さっきから同じ事が繰り返されているがどうにも解決しない。

・・・・・・・もう迷わない・・・・・・・それは既に決めているし・・・・・・・・仮に私が利用されているとしても・・・・・・・・・・

・・・・でも・・・・それでも私は・・・・・私を見て欲しい・・・・・・・・・・それだけでいいの・・・・・・そして何時までも一緒に・・・・・・・私と・・・・

〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!〜〜〜

「・・・えっ!!!警報!?―――何かあったの!?」

私は言葉と同時に立ち上がり後ろを振り返ろうとした・・・が・・・・

「ごほっ!!・・・かはぁ!!・・・・」

急に何かが後ろから胸の辺りに突き刺さっている感触に襲われた。
よく見れば既に何かが胸を貫通している。

「げほ!!・・・うぅ・・・がは!!!」

血が逆流してくるような感覚に恐怖を感じているが、そんな事よりもっと怖い事が目の前にあった・・・

「・・・・・えっ・・・・ど....う....し...て.....」

胸元にあるペンダントが粉々に砕け散っていた、もはや修復不可能な程に。

・・・・・・・・嫌だよ・・・・・なんで・・・・・・どうして壊れるの・・・・・嫌・・・・・・・

「・・・い・・・や・・・・っっ・・・げほ!!・・・・・なん、で・・・・追い、かける・・・って・・・・決め・・・たのに・・・・」

むせ返るように血を吐きつつ何とか振り返るとそこには・・・



「37日目・・・貫かれる想いの『形』」

―――――――――――――――――
―――――――――――――――――



「ふああ・・・おはようクロン」
「ワン!」

起きてからクロンに挨拶してその背を撫でる。
昨日は部屋から外には出られなかったから少し退屈だったけど今日は大丈夫みたい。
その証拠に朝からここで働いているミニオンが会議の結果と私の処遇を伝えに来たからだ。
因みに結果はここで住み込みで働かせて頂けるらしい、しかも自由に行動してもいいって言われた。

「ん〜・・・あんな騒ぎ起こしたのに大丈夫だったなんて夢みたいだねクロン」
「ワン?」
「ふふっ」

訳が解からないって顔されてしまったけどいいよね。

「でも、本当にいいのかな・・・私は城主様に剣を向けたのに・・・」

普通なら処刑されてもおかしくない事態だ。
それなのにアーク様は私の事を許してくださるらしい。
まだ理由ははっきりしないけど、悩んでいても始まらないからね。

「それじゃ今日も張り切って行こう!!!」

自分に力を込めて叫び回りを見回す。
それから、これからの事を考える事にした。

「えっと、とりあえず案内の方が来るまでは自由にして良いって言われたんだよね・・・・でもどうしようかな・・・・・・」

なにもする事がないので適当に考えていたとき・・・

「・・・・ん?これなに?」

たまたま視界の端に映ったのは部屋の隅にあるオルガンに挟まれている楽譜だった。
適当に手にとって眺めてみる。

「歌・・・だよね」

眺めている楽譜には穏やかな旋律が書き記されていていかにも優しい歌に見える。
私は生まれて少し経ってから音楽について興味を持ったのだけど、家が貧困極まりないため全く勉強出来なかった。
しかし、それでも楽譜は読めるので歌なら歌える。

「うん!やってみよう」

まず最初の部分を見て試しに声に出してみてから、音程を確認してみる。

「〜♪〜〜♪・・・うん大丈夫」

特に狂いはなさそうなのでもう一度楽譜を確認してからゆっくりと歌いだした。

「〜〜♪〜♪・・・・」

流れる旋律と穏やかな心がやっと同じになったからこそ出せる声。
今私はそれだけのために歌い、それだけのために思う。
歌っているその中で一瞬だけ思考の中に懐かしみが生まれた。

・・・・・・・そう言えば・・・・・・・音楽を始めて知った時・・・・・・嬉しくてあの馬鹿に聴かせたんだよね・・・・・・・・・・

・・・・そうしたら・・・・・・・上手いって言ってくれて・・・・・・・・そのまま歌手になればいいじゃないかとも言われたんだよね・・・・・・・・

・・・・・・嬉しかったな・・・・・・・・・・あの時は・・・・・・・・・・・・初めて知らない事を知れた喜びに・・・・それを笑って聴いてくれた人・・・・・・・・

・・・・あの時は『新しい』じゃなくて・・・・・・・・・・本心から『嬉しい』だったんだよ・・・・・・・・

そんな事が頭の中に回っている。
しかし、急に寂しさを感じてしまい声が鈍っていってしまった。

「・・・あぅ・・・やっぱり難しいよね。――心をさらけ出して自分を見せるからこそ歌は美しいのに」

少し自己嫌悪に陥りながらも適当なところで切り上げようとした時にいきなり横から声を掛けられた。

「いい声じゃない」
「え?!」
「でも、どうして最後は泣きそうな声で止めちゃったのかしら?」
「えと、あの・・・」

隣に立っていたのは黒いショートヘアーのミニオン。
私は暫く歌に没頭していたため、全く気づかなかった。

「詳しくは聞かないわ、あんたにも色々と事情があるのでしょうから」
「・・・すいません・・・」
「いいの、それに勝手に聴いていたのは私よ?あんたが気にする必要は無いわ」
「ですが・・・」
「はいはい。・・・『気にしない事』・・・決定」

サバサバと斬って捨てられていく私の抗弁。
最近は何故かこの展開になりっぱなしかもしれない。

「ところで言い忘れてたけど私が案内係りよ。よろしくねアリス」

そこまで言ってから勝手に私の手を掴んで握手している。
むしろ話が私を置いてどんどん先に進んでいるような・・・。

「とりあえず、あんたには城の内部と仕事の内容を覚えてもらうから・・・いいわね?」
「は、はあ・・・」
「もう!はっきりしなさい!!いい女はねはっきりしないと駄目よ――いいわね!?」
「は、はい!!」

やはり最近会う方全てに流されている気がする。
少し自分の意志の薄弱さにまた自己嫌悪していたが、更に追撃される。

「さてと、時間もないわね・・・それじゃ行くわよアリス!!まずはこっちよ!!!」
「ちょ、ちょっと〜〜〜・・・」

無理やり手を掴まれて連れて行かれる私。

「もう、遅いわよ。この城だって狭くないんだからね!あんまり遅いと日が暮れるわよ!!」

そんな事を言いつつずるずると私を引きずっていく彼女。

・・・・・・あぅぅ・・・・・・・・私って・・・・・一体・・・・・・・・・・・

手を引かれながらも、もの悲しさを感じている私であった。

―――――――――――――――――――――――――



「はい、ここが食堂よ!!で、ここがあんたの仕事場」

そんな事を引きずられつつ聞いている。
実は朝からこんな状態が続きっぱなし。

「それでこっちが中庭で、こっちが裏口よ。――解かったわね?」
「あ、あの・・・早すぎて解からないのですけど・・・」
「あんたが遅すぎるのよ!!!いいわね?!」

素直に言ったつもりなのに不満な顔をされた上に非難までされる私。
本当の事なのに、と思っても口に出したらもっと言われそうなので止めておこうか。

「え、えっと・・それで私のお仕事は食堂で働く事ですよね?」

この程度の質問ですら顔を顰められてしまう。

「はあ・・・聞いてたの!?さっきそう言ったわよ」
「は、はあ・・・・解かりました」

流されるしかないのかなぁ?と思わせるような態度と言葉の連続にいい加減にこちらの心が参ってしまうかも。

「まあ、いいわ・・・それじゃとりあえず休憩するために中庭に行きましょう」

そんな事を口にだしているが実際は私を引きずっているのは変わらない。
私達は中庭に通じる扉を通り(ひきずられ)中庭にあるベンチに辿り着き並んで腰を下ろす。
飲み物をいただきしばらく休んでいると先に話しかけてきたのはやはり彼女だった。

「ねえ・・・聞いてもいい?」

私の胸元を見ながら何かを聞いて来るが、その言葉が発されている最中ですら目線は胸元に行ったまま。

「アリスは・・・想い人でも居るの?」
「ぶっ!!!」

一瞬いただいたお茶を噴出しそうになった。
その光景を見てなんだか納得したような声が返ってくる。

「・・・あ〜・・図星ね」
「けほっ・・・けほ!!!―――いきなり何を言うのですか?!そんな人居ませんよ!!!」

涙目になりながら必死に抗議するが、まるでそれが言い訳だと見破っているかのようだ。

「いいのよ、隠さなくても。想い人の一人や二人居てもいいでしょ、女なのだから」
「だ、だからそうではなくて・・・・」
「じゃあ♪どう言う意味なのそのペンダント?――そんなに大事そうにしているのなら只の飾りじゃないわよね?」

むう、痛い所を突かれたと思う。
今私はペンダントをもちろんしているし、傷をつけないようにするためにあえて服の中の見えずらいところに入れている。

・・・・・だって・・・・・大切だし・・・・・・・・・・でも・・・・・・・・・くれた人居ないし・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・だからこれは・・・・・・・あくまで・・・・・あくまで只のプレゼントだよね・・・・・多分・・・・・・・

「あのさ・・・さっきから何『うんうん』唸ってるのよ?」
「えっ、あ・・・その・・・・これは・・・・」

顔を覗き込まれてしまい慌ててしまった、それが何に対する動揺なのか解かると彼女はニヤリと笑い肩を寄せて耳元で囁く。

「・・・居るのね?」
「・・・・・・え・・えっと・・・・」
「居・る・の・ね?」
「・・・・はぃ」

消え入りそうな声と同時に良くできました、と言われたかのような表情になり更に顔を近づけて来た。

「それじゃあさ・・・もう既にキスくらいはしたんでしょ?」
「そ、そこまではしてませんよ!!!」

流石にこれは嘘ではないので全身で否定する。

「そう、それは本当みたいね。・・・・詰まらない」
「詰まらないのですか・・・」

こちらは何とか信じてもらえたらしく、彼女は詰まらなそうな顔をしていた。
はっきり言ってそこまで私の恋に対して面白い要素があるのだろうかと疑問に思えてくるくらいだ。
そんな事を考えていたら、読心術でも持っているのかすぐさまに彼女が寄ってきた。

「あんたって本当におちょくったら面白いわよね〜♪」
「な!?」

世界が止まった気がする。

・・・面白い・・・・・・面白い・・・・・・・私の恋は面白い・・・・・・・・・って・・・・・そんなの嫌〜〜〜〜!!!!

「もしもし、アリスさ〜〜ん?生きてますか?」

手を目の前で振っているらしいが呆然としている私にはどうでも良かった。

「はあ・・・この乙女ちゃんめ!!!えい!!!」

ゴス!!

「いったぁぁぁ!!!!」

いきなり後頭部をグーで殴られていた。
痛みで意識が遠のきそうだったけど、無理やり起こす。

「何するのですかぁ!?!?」
「・・・・・あんたさ・・・・・」

私の抗議を無視して急に真剣な顔になると、私の心を見透かしたような鋭い意見を放つ。

「本当はどうなのよ?現状に満足してないから素直に答えられないんじゃないの?」
「それは・・・どういった意味ですか・・・」

はあ、とため息をついて彼女は続ける。

「あんたの顔さ・・・まるで『何時かチャンスは来るから』・・・とでも言いたいみたいなのよね、期待だけはする・・・そんな感じ」
「えっ・・・」
「そういうタイプってのはね・・・勝手に終わっている事にも気づけずに終わってしまうの・・・大抵は」

お茶のカップを置いた彼女は一度遠い目をしてから私の顔に視線を移し、それからゆっくりと語りだす。

「ゴメンナサイね、実は少し事情は聞いてたのよ(親衛隊として玉座に居たのだから・・・)。だからちょっとだけ言って置きたかったの」
「・・・・・・」
「でもね、はっきり言うわよ。自分が会いたいなら自分から動かなくては駄目、じゃないと後悔するわよ・・・絶対に」

なんでこの方はそんな事を言うのだろう?
そんな事を考えていたら頭を撫でられていた。

「あんたはね・・・痛がりなのよ、もう大変なくらい・・・」
「・・・・・」
「だから何時だって自分からは行けない・・・違う?」
「・・・・・・そうかもしれないです・・・・」

胸が熱くなるような感覚と共に勝手に言葉が押し出されていた。

「でもね・・・痛いから行けない、痛いから待ってるだけ、それではいずれ痛みだけで終わってしまうの・・・だってそれは・・・・っ・・・」
「???」

声の調子が突然変わったので驚いて彼女の顔を見上げたら少しだけ・・・ほんの少しだけど涙が見えた気がする。

「・・・っ・・・ゴメンナサイ・・・。・・・それはね・・・結果しか来ないのよ。過程をすっ飛ばして突きつけられるだけの結果・・・それだけ・・・」
「・・・それは・・・・」
「・・・結果は既に終わったから結果と言うの、だからもう・・・変えられないのよ・・・絶対に」

伏せ目がちな状態のまま私を見て何かを懐かしんでいるようだった。

「似てるのよ、私に・・・。期待して待つだけ待って・・・訪れるかも解からない『何時か』を思って・・・」
「・・・・あのっ・・」
「・・・そして終わっていた事すら気づけないで・・・結果だけを聞いて後悔する・・・そんな私に」

涙を見せまいとしているのがありありと解かるがそれよりも話しの内容の方が意外だった。
まさかそんな事がこの人にあったのかと言う驚きと私自身に対する思いと。

「だから、私はあんたを見ていられないのよ・・・。『捨てられた』と始めに言って最後には『好きな人がいる』と言ったあんたをね・・・」

その時私はこの人なら話しても良いと感じた。

「・・・あの・・・いいですか?」
「なあに?」
「・・・私が好きだと言える権利はあるのでしょうか?・・・もう、駄目なのでしょうか?」

ゴツ!!

「あいたっ!!・・・うぅ・・・いきなり頭突きなんて酷いです・・・・」

抗議しようと思い目を上げたらそこには怒り心頭の彼女が居る。

「あんた・・・本当に痛がりね、それに臆病よりもっと悪い、『弱虫』よ!!!!」

大声で宣言されてしまった、弱虫と。

「自分が駄目だから、自分が足りないから、自分が悪いから・・・そんな事言っても誰も振り向いてくれないのよ!!!!」
「・・あ・・・」
「いい!?結局あんたは言い訳しか言ってないのよ!!!『仕方ない、でも、解からない』・・・・こればっかり!!!
今までにあんたが自分から行動なんてした事有るの!?どうせ無いでしょう!!!それなのに自分の卑下だけはするなんて・・・何様のつもりよ!?」

食ってかかるように彼女は言葉を荒げて更に私に真実をぶつけてきた。

「甘えるのもいい加減にしなさいよ!!!悲劇のヒロイン語れば誰でも認めてくれるなんて思わない事ね!!!・・・
・・・あのね・・・自分って言うのはね・・・『魅せる』モノなのよ!!!卑下はそれを出来なくする毒なの!!!」
「・・・・・・」
「あんたの自分らしさを魅せてみなさいよ!!!!卑下じゃない・・・自分の想いを!!!」
「・・・・・・」

それでも黙っている私に完全な怒りを覚えたのか目の前で怒鳴られた。

「そうやって・・・黙ってれば楽でしょうよ!!!でもね・・・それじゃ何も変わらないのよ!!!終わっていても悲しみしか味わえないの!!!!
それでも良いなら勝手にしなさい!!!!私は知らないから!!」

それから彼女は振り返り元来た道を帰って行く。
何故か最後近くは言葉に濁りがあるような気がしたけど、今はそれよりもこの方を引き止めなければいけない気がする。

「あのっ!!!」
「なによ!!!」

怒りの顔で返されるがそこで負けていては多分私はもう本当に駄目なのだろう、だから必死に目を見据えて言葉を搾り出す。

「私は・・・私はっ!!!・・・」
「・・・・・・・」

私の真剣さを感じ取ってくれたのか、ゆっくりと近づいて来るとまた隣に腰を下ろしお茶を飲んでいる。

「で、私が何よ?・・・はっきりと言いなさい。じゃないと本気で怒るわよ」

ちらりと横目で私を睨むと私の言葉を待っているらしい。

・・・・・・・・・私は・・・・・・・今まで沢山殺した事や・・・・・・・・あの馬鹿すらも殺そうとした事・・・・・・・それでも許されるなら・・・・・・・・私は!!!!

「私は・・・私はそれでも一緒に居たいんです!!!!!私として見て欲しいんです!!!!」
「・・・・・ふふっ・・・・」

何時の間にか穏やかな顔した彼女に抱きしめられていた。

「・・・それでいいの・・・それが出来れば絶対に間に合わないなんて無いわ・・・きっと」
「・・・・・うぅ・・・」

強く抱きしめて泣いていた。
やっと自分の気持ちを大声で外に出せた反動なのかもしれない。

「解かったアリス?・・・どんな自分でも卑下しないで見てあげなさい・・・それも自分だと感じなさい・・・いいわね?」
「あっ!!!」

その時今までの時間の流れの中に沈んでいた事が急に浮き上がってきた。

・・・・・そう・・・だったんだよね・・・・・・・・なんで忘れていたんだろ・・・・・・・・・・・どんな自分もそれは自分だって事に・・・・・・

・・・・・本当に馬鹿だね・・・・・・私・・・・・・・・この事さえ忘れなければ・・・・・・良かっただけなのに・・・・・・・・

「どうしたの?急に大きな声を出して」

不思議そうな表情で覗き込まれてしまった。
慌てて説明しようとするが、嬉しさのあまり上手く説明できない。

「あの、やっぱり私は私で・・・えっと・・・それを思い出したと言うか・・・何故忘れていたのか不思議に思ったり・・・それで、あ・・・むぐ!!!」
「・・・いいのよ、解かったから・・・。さっきも言ったでしょう?・・・・それでいいの」

途中で無理やり手で口を塞がれてしまったが、言いたい事は伝わったらしく優しい声が返って来た。
そしてこれが一番肝心な部分とでも言いたそうな声色で私を諭す。

「・・・最後に一つだけ言うけど、自分らしく有ると決めたのなら自分らしくその相手も信じてあげなさい・・・これは必ずよ」

目と目が真剣さだけのために交差している。
だけど逸らす気も無ければ逸らす意味もない、それならば私は私の返答で答えるのみ。

「はい!!必ずです!!!」
「ふふふ・・・本当に良い顔よ・・・それこそが良い女の顔よ♪」
「え、えっ!・・・あの〜・・少し恥ずかしいんですけど・・・・・・・」

素直に言うとやはり彼女はニヤリとした顔になり耳に囁かれる。

「やっぱり、おちょくると面白いわあんた♪」

・・・・・・あぅぅ・・・・・やっぱり面白いのですか・・・・・・はあ、まあいいけど・・・・・

「ところで気になったのだけど・・・あんたの想い人って主人なんでしょ?なのになんでそんな物を与えてまであんたを捨てる必要があったのかしら?」
「あ、それは・・・」

とりあえずここは説明しておいた方がいいと思うので説明する事にした。

「えっと、私の事を必要ないと言われた訳でもなくて・・・何故か只家に取り残されたと言った感じなんですよ」
「え?・・・放り出されたのじゃなくて『取り残された』のよね?」
「?・・・そうですけど・・・・何か?」

一旦考えるそぶりを見せてから確認を取るように聞いて来た。

「あのさ、取り残された時に貰ったの?そのペンダント」
「???・・・・・はい、そうですが」
「ふうん・・・なるほどねぇ・・・」

一人で納得しているので、解説が欲しいと思って口を開こうと思ったけど先に言われてしまった。

「これではっきりしたわね・・・あんた捨てられた訳じゃないわよ」
「????」

いきなり断言されてしまい、思考が追いつかない。
元々その可能性はあったけど、こうも断言されると戸惑ってしまう。

「?・・・あの、どうしてですか?」
「考えてもみなさい・・・取り残すって事は・・・追われる事を始めから知っているからこそ出来るのよ。逆に放り出すなら確実に捨てられたと言うけど。
つまりね、追って来て欲しいのよその主人は。・・・まあ、理由までは解からないけど」

・・・・確かにあの手紙の中では、今度会ったときって書いてあった・・・・・・・つまり、また会うんだよね・・・・何時か・・・・・

・・・・・・・でも、この方の言うようにその何時かが来た時に悲しみしか無かったら嫌だな・・・・・・・・・・・それなら・・・・・私がするべき事は・・・・・

「アリス!!!!」
「は、はい!!!」

突然大声で呼ばれたので驚いてしまい、体が勝手に返事をしていた。

「今考えた事を素直に言いなさい・・・いいわね?」

考えを見透かされたような言い方に少し驚きと恨めしさが混じっている、でもそれよりも今私が言える事は・・・

「追います!!!間に合わなくなる前に、絶対に追いついて見せます!!!!」
「・・・・合格♪」

頭を撫でつつ自分の事みたいに喜んでくれる。
それだけでも何故か満たされるような気持ちになり心が確実に嬉しいと感じている気がする。

「頑張りなさい・・・最後まで・・・」

そう言ってから立ち去って行く。
その背中に私は出来るだけ精一杯伝わるように声を大きくしてお礼を言う。

「ありがとうございました!!!!」

それに対して少しだけ振り返ると、嬉しさと羨望の眼差しで私を見てから戻っていった。

・・・・そうだ・・・・何時か会えるなんて考えては駄目だよね・・・・・・自分から会いに行かなくちゃ・・・・・・・・それこそが・・・・・・・私の願い・・・・・・

・・・・・よ〜し!!!絶対に追いついて捕まえてやるんだ・・・・・・・そして......私と(ここから先は血で汚れている)

―――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――

深夜

・・・・・・な・・・んで・・・・・・

胸からは変わらずに大量の血が溢れている、しかしそんな事はもうなんでもない。

・・・・・・な・・・んで・・・・・・

砕け散ったペンダントすらどうでも良い。

・・・・・・な・・・んで・・・・・

血に染まっていく日記も目に入らない。

「なん・・・で・・・・あ・・・なた・・・が・・・・ごほっ!!・・・」

双方の瞳は既にある一点に釘付けになっていて、もう離す事すら出来ない。
そして唖然としていながら血を吐き続ける私にかけられた『聞きたかった声』









「よう!アリス」








凍りつく私とそれを受け止める無情な世界・・・
それをここまで恨めしいと思った事は無いと思う。
今すぐに消えてしまいたい衝動に狩られるがそんな私にはお構いなしで無情な言葉は続く。

「思ったより大分弱いな、俺の見当違いか・・・・」
「.・・・あ・・・・あ・・・・・・」
「どうしたよ?このままじゃ死ぬぞ?」
「...・・嘘・・・・・」

むせ返る血と激痛に叫ぶ心を必死に抑えて何とか否定の言葉を押し出す。
しかしそんな私を見てやれやれと言った顔になると、さぞ当たり前のように私の心を引き裂きに来る。

「おいおい、現実を見ようぜ?・・・いくら否定してもこれが現実、それは変えられないだろ?」
「・・・・嫌・・・・・・」
「嫌ねぇ・・・じゃあよ、お前の胸に刺さっていた透明な槍はなんだ?それは誰がやったと思う?」
「嫌・・・嫌・・・・・・認めたくない・・・・嫌・・・っっ・・・ごほぉ!!」

首を振って否定してみようと試みても口から溢れる血と激痛がそれを許さない。
それを見ていたこの人は、急に顔が変わり何時もは絶対に見せない冷酷な表情を作る。
そして私を睨むとおもむろに口走った。

「殺してやろうか?アリス」
「・・・っっ・・は・・あ・・」

驚きを声にすら出来ない自分がもどかしい、だが幾ら逆らってもやはり体は動かない。
だが、胸中は悲しみすら汲み取れないくらいズタズタに引き裂かれた心。

・・・・・・違うよ・・・・・・・こんな事する人じゃないよ・・・・・貴方は・・・・・・違うよ・・・・・違うよね・・・・・

「何考えてるか、当ててやろうか?」
「・・・あ・・・う・・・・」

もはや返事も出来なくなっていた。

「まあお前の性格だからな、『この馬鹿はこんな事しない』・・・そんな感じだろうな」
「・・・・・っっ」
「アリスよぉ、前・・・っても数日だが、こんな事をお前は言ったんだぞ?『どんな自分であっても自分は自分』だと・・・覚えているな?」
「・・・う・・」

頭だけを何とか縦に振って意思だけを伝えると、それに満足したような顔に一瞬なったがすぐに冷酷な顔に戻る。

「じゃあよ、なんで俺がそんな事しないと勝手に決め付けられるんだ?――これが俺だとしたら俺は別におかしくはないはずだ」

そう断言されてしまった。
いくらなんでも此処まで言われれば私だってもう、認めるしかないと思う。
でも、何故かまだ心は勝手な反論を続けている。

・・・・・・なんでだろ・・・・・こんなにまで言われているのに・・・・・・・・まだ認めたくない心のがはるかに大きいのは何故だろう・・・・・・・・

心の反論を聞きながら何とか手を動かすと何かに当った。
視線だけそちらに向けると、血に染まりつつある日記が視界に入った。
それと同時にある一文に目を奪われる。


―――「・・・最後に一つだけ言うけど、自分らしく有ると決めたのなら自分らしくその相手も信じてあげなさい・・・これは必ずよ」―――


この文を読むのに二秒、意味を理解するのに一秒。
次の瞬間には出ない声を無理やり振り絞って叫んでいた。

「・・・違、う・・・・違う・・・・違うよぉ!!!!!」
「っっ!!」

流石にこの反論には驚いたらしく、顔中が驚きに満ちている。
そんな事は無視して止まらない言葉の奔流に身を任せる。

「・・・違うよ!!!そんなんじゃない!!!それでも私は認めない!!!!信じるって決めたんだから!!!!・・・ぐぅ・・っっ」

やはり限界が先に来たらしく途中で詰まってしまう、だが言いたい事はある程度は言えはずだ。
それを黙って聞いていたこの人は手にしている神剣、『無知』様を私に向けて言い放つ。

「そうか、だがな・・・それは只の思い込みだアリス。―――それが解からないなら・・・解からせるまでだ!!!!」

同時に何かが私に向かって一直線に飛来する。

「くっ!!!」

無意識に虹の翼...『レインボーハイロゥ』を展開して防ごうとするが・・・

「無駄だな・・・見ろよ?」
「な?!」

展開していた部分、正しく言えば防ごうとした右の四枚の翼が消されていた。
破壊ではない、元から存在しなかったように綺麗に無くなっている。

「どうした?終わりか?」
「うっ・・・」

・・・・・不味い・・・・これ以上同じ事をされたら防げない・・・・・・・・・・だけど・・・・・・この人の顔・・・・・・・まだ止めるつもりはない・・・・・・・・・

「さあて、次はどうするんだ?」

まるで、始めから圧倒的な力の差を見せ付けるように適当に腕を振るい今度は同じ槍を十本程度出すと容赦なく撃ってきた。
これに対する私の唯一の対抗手段。

「最大解放・・・射出!!!!」

ありったけの力を込めて虹の翼を大きく展開してそこから『虹色の羽』を大量に撃ち出す。

「っはは・・・さてどうなるか?」

結果は始めから解かっているとでも言いたい笑いの後に互いの衝撃が同時に弾ける音が響くが良く見れば私の羽は槍に触れた直後に消えている。
それが意味するところは・・・

「・・・がああああぁぁぁ!!!!!」

ほぼ全ての槍が直撃していた。
痛みの限界を超えてしまい体が麻痺している。
それを意にも介さず更にもう一度同じ槍を一つ作ると私の心臓目掛けて狙いをつけている。
それからこれで解かったかと言いたい様な顔になった。

「解かったろ?・・・下手な期待はしない方がいいぞ。じゃないとこれであの世だ」
「・・・・・・」

血の海に沈みつつある体はもう言う事を聞かない、それが悲しくて悔しい。
まだ言いたい事は沢山あるのに・・・

・・・・・でもね・・・・・まだ認めてないよ・・・・・・・諦めてないよ・・・・・・・・・・それが・・・・・・・・私が決めた自分らしさだから・・・・・・・

・・・・だから・・・・・・・絶対に認めない・・・・・・・・それこそが私が決めた道・・・・・・・・・・

「・・認め...な、い・・・か・・・ら・・・・」

限界すら超えた体を動かしたのはそれをも超える想い。
その想いに呼応するように口から漏れるつぶやき。

「・・・それが・・・・わた、し・・・・も、う・・・・目・・・逸らさ・・・ない・・・から・・・」

今の私はどのように映っているのか、それが気になるがもう指一本動かない。
確認しようと顔を上げようとしても視界に映るのは血の海だけ。

「そうか、ならさよならだ・・・アリス」

非常な言葉と共に何かが迫っている気がするがもう終わる事。

・・・・ああ・・・・・私は信じきったよ・・・・・・・・最後まで・・・・・・・・・・・・

「ガウウ!!!」
「なに!?」

最後の思いに浸っていた私を拾い上げたのは大人の大きさまでになっていたクロン。
腕を食いちぎり攻撃を無力化すると私の前に立ちはだかる。

「クロン!!」
「ワン!!」

まるでここは任せろとでも言いたいのか、あくまで私の前から離れるつもりは無いらしい。
そんなクロンを一目見たあの人は別段気にするつもりもないらしくまたこちらを向いた。
よく見れば食いちぎられた腕すら何事も無かったように元に戻っている。

「クロン・・・悪いがお前に用はないんだ。邪魔するなら消すぞ」
「ガルルルル!!!」
「クロン・・・」

それでも退く気は無いと言わんばかりの威嚇で立ちはだかり続けるクロン。

「仕方ない、悪く思うなよクロン」

あの人が無造作に神剣を振り払うと私の後ろの壁が消えた。
やはり翼同様破壊したのではない、消したと言ったほうが正しい。

「・・・まあ、先に言うが・・・俺の力は存在を始めから無かった事にする訳だ・・・幾ら強力な攻撃でも生物でもこの通りって訳」

もう一度剣を振ると今度は窓が消えて外が丸見えになる。

「因みにな、これは別に物に限った事じゃない。俺がその気になれば時間でも空間でも消滅可能だ」

さて、と声にだしてからクロンに向き剣を振ろうとした瞬間・・・

「グルアアア!!!」

先にクロンが飛び掛っていた。
爪で腕を裂き、噛み付いて腹部を抉り取って元居た位置に着地する。
そして更にすさまじい速度で接近すると残っていた腕を食いちぎり首を掻き切った。

「っ!!」

ここまでやらなくてもいいのにと思ったがそれも無駄な心配に終わる。

「どうした?・・・この程度か?」
「!?」
「ワウ?」

見れば傷など一つも負っていない状態で立っている。
しかも食いちぎられたはずの部分など、何があったのかと聞きたいくらいに何事も無い状態。

「説明して欲しいって顔だなアリス」

内心を見透かしたようにつぶやき、血の海に横たわっている私にすらしっかりと聞こえる声で話す。

「言っただろ?・・・存在しない事にすると・・・つまりはな、俺も例外じゃないんだよ。俺の存在を存在しなかった事にすれば良いだけだ。
そうすれば幾ら俺が死のうがぶっ壊されようが関係ないし、存在しないのだから傷も負わない」
「え・・・」
「お前に刺された時もそうだ。傷だって残りはしないし当然死ぬわけも無い」

それだけ言うと無造作にクロンに斬りかかる。

「ワン!!」

なんとか爪を立てて応戦しようとするクロンだが、見えない何かに斬られたように血が体から噴出して一撃で地面を転がった。
何処か重要な機関を潰されてしまったのか、体勢を立て直そうとしても上手く立ち上がれないらしい。
それでもなんとか体を起こして再び私の前に移動しようとするがそれを私自身が遮る。

「もう・・・いい・・・よ・・・クロン・・・・これ、じゃ・・・・死んじゃう、よ」

何とか血の泡と共に絞り出す声。
やはりこれだけ言っても止めてくれるはずが無く、死ぬと解かっているのに前に出て来るが限界なのか気を失ってしまった。
そんな光景に少しだけ眉を顰めた気がするが、すぐにまたクロンに斬りかかる。

・・・・・・・嫌・・・・・死んじゃ嫌だよクロン・・・・・・・・・ずっと一緒に居るんだから・・・・・・・・君も・・・・・・・・

・・・・・ねえ・・・・少しだけで良いから・・・・・・・最後に動いてよ・・・・・・私の体・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・このままじゃ終わっちゃうよ・・・・・・・私だけじゃなくて・・・・・・・・クロンまで・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・そんなの嫌・・・・・・・・だから・・・・・・お願い・・・・・・・・・これが終わりの時でも良いから動いて私!!!!

「な、んだと?」

驚愕に変わる顔を見ているがそれは今までの目線とは違い、下から見上げる状態ではなくなっていた。
相手と対等の目線、つまり立ち上がっている。
全身に血が溢れても、絶え間なき激痛が襲ってきても足はしっかりと地面についていた。
しかしこの人は私が立ち上がった事などよりも、もっと重要な事に目を奪われているらしく私の背後に目が止まったまま。

「アリス・・・まさか・・・その翼・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・その『血の翼』は・・・・」

そこまで言われて背後を見ると、真紅に染まるハイロゥが見えた。
だがそれに驚きもせずに淡々とした口調で私は言う。

「・・・許さない・・・」

何かが弾けて『敵』の腕を抉り取る。

「がっ!!・・ちっ・・・」
「終わり」

更に残りの腕を何かが消す。

「終わり」

今度は左胸に近い部分が消え去った。

「・・・やはり、遂に・・・遂に完成したのか!!!」

何故かは解からないが、壊れていく自分の体に見向きもせずに嬉しそうな声を漏らす。
それが私には何か嫌な響きに感じてもっと『敵』を壊したくなった。

「さあ!!もっと来いよアリス」

どうしてかこの人は自分が壊れる事に喜びを感じているような気がする。
それを疑問に思った瞬間何かが頭に閃く。

・・・・・まさか・・・・・自分が存在しないって事は・・・・・・・・・『死ねない事』・・・・・・だよね・・・・・・・・・・

・・・・不味い・・・・・・止めなくては・・・・・・・・私を・・・・・・・・・・・・・・・壊しきるその前に・・・・・・・・・・・・

「くぅ!!っっ!!」

なんとか体を押し止めてこれ以上の攻撃を止めさせるが、まだ続ける気があるのか勝手に攻撃をしようと腕が動きだしそうだ。

「駄目・・・これじゃ....駄目・・・」

全身を抱くように腕を回してみるとなんとか止まってくれた。
そんな私に失望したような声が聞こえる。

「詰めが甘いのは変わらないな。これだけの仕打ちをしたってのに、お前って奴は・・・まあそれがアリスか・・・」

後半部分は呆れたような、感じになっている。
私は少しだけ可笑しくなってやっと揺るがない信念を発表出来る事に感謝した。

「それが私だよ。・・・だからね、貴方が幾ら突き放しても追うの・・・それが私、それが『私らしさ』なんだよ!!!!!」
「・・・・・そうか・・・」

何時か見た穏やかな顔になると、気づかぬ内にまた戻っている腕で頭を撫でられた。

「そうだな・・・それが、お前なんだよな・・・」
「うん・・・そうだよ・・・」

撫でられたまま、ゆっくりと言葉を交わす。

・・・・・ああ・・・・・・・温かい・・・・・・・・・これで・・・・・・・・・やっと・・・・・・・元に戻れっ・・・?!

・・・・あ・・・れ?・・・・・体が動かない・・・・・・・・・・

「だからどうしたアリス?」

穏やかな声のまま私の腹部を貫く剣。
それを確認できた頃には心に絶望が渦を巻く。

「ど、うし・・・て・・・・」
「っはは・・・悪いな・・・あんまりにお前が馬鹿だからよ・・・勝手に手が出ちまった」

抱き合ったまま、私の背後に生える神剣は赤くなっている。

「う〜ん・・・このまま殺すんじゃフェアじゃないな。――そうだな・・・三つ数えるまでにさっきの力で俺を消せなかったら俺がお前を消す・・・いいな?」

まるでゲームでも楽しむかのような、発言に憎悪と悲しみが襲って来た。
そんな表情を確認すると、勝ちを確信した声で数え始める。

「一つ・・・」

・・・・もう、許さない・・・・・・殺す・・・・・・・・・・・

「二つ・・・」

・・・・でも、・・・・信じたいよぉぉ・・・・・・どうすればいいの・・・?・・・・私は・・・・・・・・

・・・・・出来ないよ・・・・殺すなんて・・・・・・・・出来ない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・ああ・・・・出来ないなら・・・・・・私が消えれば良いんだ・・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・・・・」
「?」

そう決心して最後を迎えようと思ったのだが、一向に最後がやって来ない。
訝しげに目を開けるとそこには何故殺さない?とでも言いたげな顔が目の前にあった。

「・・・・アリス・・・・何故殺せない・・・・俺は別にお前を殺す事に躊躇いはしないぞ?」
「・・・・・・」
「・・・・殺すぞ・・・本当に・・・嫌なら早くするんだな」
「・・・・死ぬのは嫌だけど、貴方を殺す方がもっと嫌だよ・・・・・だから・・・・私を殺して良いよ・・・・」

これには呆れを通り越してしまったらしくやれやれといった顔になる。

「・・・・・・・・・どうしてこんなロクデナシのためにそこまで言うのか・・・ほとほと謎だ・・・・・」

それだけ言うと腹部から神剣を抜き取る。
抜き取られた時はどうしてか全く痛みを感じなかった。

「・・・・解かった・・・そこまで言うなら・・・・追いかけて来いアリス。――そこで真実を話してやるよ・・・お前の生まれた意味と俺の意味・・・」
「待って!!!」
「じゃあな・・・・待ってるぞ・・・・」

制止の声を無視して別れを告げると、勝手に消えていく。

「ちょ、ちょっと!!!まだ聞きたい事が・・・・・!!!」

しかしそれは誰も居ない空間に吸い込まれていき後には静寂と警報の鳴り響く単調な音の繰り返しが残るだけであった。






――――――次は俺を殺す覚悟で来いアリス――――――







『37日目・・・終わり』






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ミニ設定・・・

『終わり』のアリス

ハイロゥを血に染めて初めて覚醒したアリスの真の姿。
『終わり』を司り、万物全てを終わりに出来る。
たとえ存在しないモノでも終わりに出来るので『存在無き者』も例外ではない。






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あとがき

まずはこんな駄文を読んでくれた奇特な(失礼)方にお礼申し上げます。

前回、前々回とスランプ爆走中であり、ハッキリ言って駄文製造機状態でした。

では今回は作者として何処が駄目人間か発表です!!!
第一番・・・伏線張りすぎて自爆だ
第二番・・・レインボーハイロゥもっと真面目に使えよ私
第三番・・・なんで今回『無知』喋らないのよ?
そして最大の汚点・・・一人称視点だけは難しい

最後は切実です(泣)

この物語は日記ですからねぇ・・・一人称視点は確実なのですがそれを選んで激しく後悔しております!!!
なにせ相手の感情表現が活字列しかない..・つまり、心情を表現する事が出来るのがアリス一人だけですよ!!!
何が悲しくてこんなネガティブ少女を書かなければいけn(アリスに粛清されています暫くお待ち下さい)

と、ともかく次回で最終話です!!!こんなモノ読む奇特な(失礼)方も遂に駄文から解放されます!!!

それでは次回をお楽しみに!!(居るのだろうか?そんな方・・・)



(裏話)

実はアリスの日記にはエンドが二つ存在しているのです。
当然ハッピーとバッドなのですが、実はどっちも終わり方が好きなので両方投稿しようと考えていました。
つまり、最終話は二つ有るのですよ!!!・・・・どっちを書くかは解かりませんがね・・・(ほぼ確実にハッピーから書きますが)
以上裏話でした。



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