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夕方


つらいよ・・・

これ以上は・・・・

楽しい事を書きたいよ・・・・・

日記を持った赤い手は震えてるのに、私の赤い手は日記を強く握り締めて離さなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・



なんで私は・・・今の時間にこんなところにいるのだろう・・・・?

どうして私は逃げてしまったのだろう・・・・?

そして・・・それを書いている自分も嫌になって来る・・・

でもね・・・




それは・・・・多分・・・・・・昨日の事。

「不変を願ったから」

私はもう・・・これ以上は変われない・・・・
いや・・・・・・変わらない・・・・絶対に!

それが・・・・・・私の願い・・・・

「32日目・・・『不変』を願った日」

―――――――――――――――――
―――――――――――――――――



今日は、私はいつも通りに起きた。
そしていつも通りに朝食を作り、いつも通りにクロンに挨拶した・・・

朝食を作っている間もいつもと同じくあの馬鹿が、話しかけてきて・・・
それをいつもと同じく私が一蹴して・・・

でも・・・・・最後にこんな事、言われちゃった・・・・

「はは・・・・!「いつも」通りにはできるんだな・・・・」



・・・・・・・・・・・・その言葉が・・・・・いたいよ・・・・・



でもそれを口に出してしまったら・・・・

多分・・・・終わる。

私が求める「不変」が終わってしまう・・・・
そんな気がする・・・



「ねえ・・・クロン?・・・私は・・・・変わっていくのに・・・・それを解かってしまったのに・・・・
それでも・・・・・それでも「今」に、しがみついているのはダメなのかな・・・・?」

意味の無い質問をクロンにしている私がいる。

「ワンワゥゥ???」

・・・・・・・答えなんて返ってこないよね・・・・
・・・・・・・・・・なにやってるんだろ・・・・私・・・

そんな事を思っている自分すら嫌になる。

「ワン♪」
「え・・・・っと!!!・・・・・まあ・・・・いいよね♪」

いつも通り勝手に肩に乗ってきたクロンだったけど、今日はなんだか優しく乗ってくれた気がするのは気のせいだろうか・・・?
いや・・気のせいに決めた。

だって・・・・認めたら、既に違うから・・・
ごめんね・・・クロン。

―――――――――――――――



いやなのに・・・来てしまった・・・・いつもじゃない時間が・・・・

『では・・・今日も始める。・・・・よいな』
「・・・はい・・・」

『無知』様に掛けられた言葉に素直に頷くしかない私。

『だが・・・その前にだ。・・・・アリスよ・・・・・昨日言ったが・・・・「逃げる事も立ち向かう事も同じ価値なのはなぜだと思う?』

相変わらず『無知』様の問いはいきなりだ・・・・
でも・・・私はこの答えを知っている・・・・
いや・・・知ってしまった・・・
だからこそ・・・答えない・・・・答えたくない・・・・・だから私は・・・・

「わかりません・・・・」

そう、答えた。

『・・・・・・・・・・・・・まあ、よい・・・。では、始めるぞ。』
「はい・・・・・」

「ちょっとまった!!!」

その声に私が下を向いていた顔をあげた・・・・

「アリス・・・・・大丈夫なんだろうな?――もしいつも通りに出来ないのなら止めるぞ」

私を気遣っているのだろうか・・・?
あえて、いつもを強調するような響きがあった。
ありがとう・・・・・でもね・・・

この力でさえも「いつも」にしてしまおう・・・・そう、思った。

さっきの『無知』様の問いの意味がわかるからこそ、思った事だった。

「大丈夫です。あなたなんかの心配はいりませんよ!」

自分を奮い立たせる為に、あえて強い口調で返した。

「そうか・・・・っはは!それなら大丈夫そうだな」

口調はいつも通りだけど、顔は笑っていなかった。

『ふう・・・では説明する、今回も昨日と変わらん・・・あくまで実戦だ・・・。
なお今回は一体ではなく、三対一で戦って貰うことになる・・・・・いいな』

私はこの意味に、さっきまであった決意すらどこかに行ってしまった・・・
三対一・・・?
そんな・・・・・いくらなんでもいきなりは・・・・・そう思った私は

「・・・・お言葉ですが・・・私にはまだ厳しいです・・・・」
正直に告げた・・・。



『聞こえなかったのか!?――三対一なのは変わらん!変更はない!!いいな!』





いやだよ・・・・・・・・・・・

これ以上・・・・・

あんな思いをするのは・・・・・

だって・・・変わってしまう・・・・・・

私が・・・変わってしまう・・・・・・・・・・

そう思っていた。


その時

「アリス・・・自分を信じろ――わかったな」

そんな言葉が私に届いた・・・・
普段なら気休め程度の言葉・・・・・・・
でも・・・なんだか・・・気休めじゃない響きがあった・・・・
特に自分を信じろ・・・・この言葉は今の状況ではなくて、もっと違う意味に聞こえた。
私の存在に掛けてくる、そんな言葉・・・・少し・・・温かい・・・・

ありがとね・・・・・

今日二回目の馬鹿に対する感謝だった。

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はじまった・・・・・・・・・・・


今度は相手が三人もいる。
しかも今度は「青」「黒」「赤」だ・・・・・
最悪なのは、私が得意としている神剣魔法・・・・それを封じる「青」・・・・
このミニオンがいるだけで、戦況はガラリと変わる・・・・
更に「黒」と「赤」・・・・遠近両方から迫ってくる攻撃は私では防げない・・・・
うかつに動けば一瞬で終わりだ・・・・・
あえて、動かずに現状を計る。



そして・・・私は・・・・考える・・・・・・・・





考える???何を?

「敵を殺す事」

今回はあの時と違う!

「なら、それ以上の力で消せばいい!!」

血は見たくないの!!

「殺したくせに?」

殺したかったわけじゃない!!

「なら、あなたが死ねば?」

嫌!それだけは嫌!!!

「ふうん――なら決定ね!!」


・・・・・・・・・戦闘・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・攻撃予測不要・・・・・

・・・・・・・・・敵全戦闘力計算不要・・・・・・



・・・ふふふ♪・・・・・わたしの・・・・・・かち・・・・・・・





・・・・・・・・・・・死ね!・・・・・・・・・・・・・・・・





昨日に比べて余りにも短絡的な思考・・・・
そんな事を考えている自分がいた。


ミニオン達は作戦があるのか、一斉に行動にでてきた・・・

「赤」が神剣魔法詠唱に入り、「黒」は間合いを一気に詰めての斬撃狙い、「青」は「黒」との波状攻撃・・・・・

その瞬間自分の一つの思考に敵に対する嘲笑すら浮かんだ・・・・


「・・・・・・・・なに・・・・・・・・・・・この程度なの・・・・・・・・・・・つまらない・・・・・・・・・・・

・・・詰まらない・・・・・・・なら・・・・・・楽しく殺せば――――いいよね♪」




私・・・・・・・・・・・今何を考えた?・・・・・楽しい?・・・・・殺す?



いやだよぉ・・・・・・・・・・・・・・・・

なんで・・・・・なんで・・・・・・・・・・・・・・

こんなこと・・・・・・・・・・・考えてるの・・・・・・・・

こんなの・・・・・・・・

「いつも」なんかにできるわけないじゃない・・・・・・・・・・・




そんな事を考えている私を前に、敵は当たり前に攻撃に出た・・・・

そして・・・・・私は当たり前に対応した・・・・



・・・・・・・・・・・最大限の楽しい殺しを・・・・・・・・・・

「黒」はまず「首」が消し飛んだ・・・・・・無論私がやったことだ。
簡単だった・・・・向かってきたから、刀を弾き、そのまま、使ってない片方の腕に「炎」を生み頭をつかんだ「だけ」・・・・・

次の「青」は「上と下が繋がって無かった」・・・これも簡単だった・・・・
見え透いた攻撃に飽き飽きしていた私は、そのまま、後ろに一歩下がり「黒」の首が無くなった死体を「青」に蹴りつけた。
体勢を崩したまま、来たのであっさり、上と下を横に断った・・・・

だが、最後の「赤」で最大の誤算をする事になる・・・・

「赤」の神剣魔法など初めから、速度も、威力もこちらが上・・・・なら・・・・後からでも間に合う。
適当に私は炎の壁を作り、ただ歩いていっただけ・・・・これだけで敵の火球魔法はあっさり消滅した。
このままでは詰まらないので・・・・適当に切り刻む事にした・・・・
敵の腕力など「青ミニオン」である私には遠く及ばない・・・・
『右腕』『左腕』とそこまでした私はそのまま、のた打ち回る、ミニオンを見ていたくなった。
両腕が無いので当然神剣は使えない。ただ蟲の如く這いずり回るのみ・・・・・・・・ふう・・・・・飽きた・・・・帰ろっと。
このまま放って置いてもまず死ぬほどの致命傷だ。
そう思った私は・・・・後ろに振り返り歩き出そうとした・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・が・・・・

一つ誤算が生じた。

なんと「赤」は腕のない体で立ち上がり、神剣を蹴りつけてきた。
当然後ろを向いている私がこの至近距離で避けられる筈はない・・・・

・・・・・・・・くっ・・・・・・・・・

当たる・・・・・・・・


「どけ!!アリス!!!!!」

その言葉と共にあの馬鹿が間に滑り込んで、神剣を弾き飛ばした。

「大丈夫か?!アリス?!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふざけるな・・・・・・

私はそんな言葉より、このミニオンの行為が許せなかった。

そして・・・・手にした神剣を当然のように、突き出した。

・・・・・・・・あの馬鹿が間にいるのに・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・・・がはぁぁ!!」


えっ・・・・・・・・・・・・・・・

突如私を赤く染めたのはあの馬鹿の血だった。

「・・・・・・・・っっ!!・・・・・・っはは・・・・やるじゃねーか・・・・アリス」

今・・・・なんで・・・・・・・私は・・・・・当たり前に・・・・・・

「わかったか・・・・・アリ・・ス・・・これが・・・お前の・・「いつも」さ・・・・だ・・・・か・・・・・ら・・・・」


「嫌!!言わないで!!お願いだから!!その先だけは!!!聞きたくない!!!!」


返り血で染まりつつある私は・・・気づけばそのまま逃げ出していた。


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逃げ出した私は自分の部屋に、あれからずっと篭っている。

何時からなのだろう・・・・・

変わりたくないのに・・・・変わってしまう自分がいる・・・・

いつもをしっかり実行しているのに・・・・いつもじゃない事ばかりを実行している・・・・

ねえ?・・・・・S・・・・あなたはあの時・・・・「自分を信じろ」って言ったよね・・・・

あれの本当の意味は・・・・・自分は私の事でなくて「あなた自身」を信じてくれって意味だったんだね・・・・

・・・・・・・・・・・ごめんね・・・・本当にごめんね・・・・・

いつもあなたは・・・・いつもである私を・・・受け入れてくれてたんだね・・・・どんな私でも、あなたは変わらずに・・・・

私は悪い子だから・・・・余りに気づくのが遅れてしまったね・・・・・・・・・・ごめ・・ん・・な・・さい・・・・うぅ・・・・



・・・・・・いたいよ・・・・・・心が・・・いたい・・・・


今日は涙を流し続ける事しか出来なかった。



「32日目・・・終わり」




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初めての後書き・・・・

まずはお読み頂きありがとうございました!!!
この話で3話目になります。

実際ギャグなんかもう何処かにすっ飛んでいってしまいましたね・・・・
ですが、まさかコレほどまでに暗い話とは・・・・

とにかく筆者としては、アリスには幸せになって貰いたい物です。

ところで『無知』の奴はあの答えを導かせるためだけにアリスにきつく当たっていたのだとしたら・・・・言ってやりたい!!!

「お前、遠まわしすぎじゃ〜〜〜!!!!」

はあ・・・はあ・・・・と、とにかくお読み頂きありがとうございました!!!

次回は明るい話だと・・・・思います・・・・・多分。

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