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チーニの月 緑よっつの日 深夜 ソーマ隊の砦 隊長室
────────Sorma side
「し、侵入者です！！」
扉を豪快に開け、息を切らした兵士が飛び込んでくる。
「なんですか、今いいところなんですから手短にお願いしますよ。」
視線は目の前の白髪のブルースピリットに向けたまま
「大体侵入者は遅かれ早かれ来ると言っていたでしょう。それで、戦況は？」
このスピリットはどんな事をしても頑として聞き入れない、強情なほど堕ちていくさまが美しいのは経験で裏打ちされた真実。
「それが・・・」
「歯切れが悪いですね、さっさと言いなさい。」
せっかく楽しんでいたというのに。
「1,2階は全滅、3階も半壊。ば、化け物です。」
「ふむ、それで。敵の人数は？」
流石にそこまでとは思いませんでしたね、ラキオスのエトランジェもなかなか戦力をそろえるのがお早いようで。
「分かりません」
「はい？」
「ですから、分からないんです。敵が進入しているのは確かです、現にスピリットは時間を重ねるごとに消えています。ですが何故消えたのか、どのように消えたのか、だれが消したのか。それら全てが分かりません。」
ふむ、それは少々厄介ですね・・・
「あなたは一時保留です、後でじっくりと楽しむとしましょう。」
楽しみを後に取っておく性格ではないのですが、この際仕方がありませんね。
「そう、次があるのなら多少は期待してあげるわ。」
「その減らず口、次にはきけないようにしてあげましょう。」
「それで、残存戦力は？」
紅い絨毯が敷かれた廊下を報告に来た兵士に状況を聞きながら歩く。
「はい、残りのスピリットが6体、兵士はほぼ全滅です。」
「今回の敵はスピリットだけでなく人間も殺していると。」
「はい、大抵の死体が手や足を切り飛ばされているのが気にはなりますが。」
「成る程、今回の敵は少々厄介ですね。」
それだけ殺すのも面白いということですよねぇ。
────────Sakuya side
「で、お前は？」
「し、知らない！！本当だ、信じてくれっ！！」
・・・・・
「聞き飽きたな、さっきのやつみたいに手か足を切り落としてみるか？口と体が軽くなるだろ、一石二鳥だ。」
「や、やめてくれ！！」
「・・・・残念だったな、上司と敵が悪すぎた。来世はもっと賢く生きるんだ。」
「ぁ・・・」
さっきから何人もの人間とスピリットに聞いて回っているがどれも返事は「知らない」の一点張り、スピリットにいたっては口すら開かない。
「やれやれ、建物の中のどこにいるか分からないからしらみつぶしに探しているのはいいんだが、いかんせん効率が悪いな。」
「3階には居なかったか。」
『次は4階ですね、外観からいって4階までしか無かった筈ですから』
「地下に居るかもな・・・」
『無きにしも非ず、ですね。』
手すりに手を置きながら大理石の階段を上がる、毎度毎度階段では────
ガタンッ！！
トラップが待ち構えている、1階から2階は階段がいきなり剣山になった、2階から3階の階段では落とし穴。
そして今回は、段が斜めになって坂になる定番のトラップ。
だが、さほど問題はない。壁すら垂直に駆け上がることの出来る俺に多少斜めになってよく滑る斜面なんて平面と大差ない。
「来ましたね・・・」
階段を上った先にはいつかの変態。
「あぁ、お前なら知ってるかな。」
「えぇ、知ってますよ。ですがそれを教えると思いますか？」
変態が手を上げると脇に控えていたスピリット5人が剣を抜き一歩前に出る。
「さぁな、もし言わなかったとしても家捜しするさ。」
「ふふふ、随分と余裕ですね。この5人は私の部隊の中でも精鋭中の精鋭、この5人の前にあなたは無様な死に様をさらすでしょう。」
いちいち深いになる笑みを浮かべながら自己の勝利を信じて疑わない姿は典型的な悪役だが。
「それで、シリアとエスペリアは？」
「ですから、言うと思いますか？」
5人のスピリットが乱れなく飛び出してくる
「そうか」
先頭のブラックスピリットが鞘の中でエネルギーを溜め、隣のブルースピリットが剣を大きく振りかぶり、後ろのレッドスピリット2体が詠唱を開始し、一番後ろのグリーンスピリットが補助魔法を唱える。
「なら」
鞘から刀が半身抜ける、振りかぶられた剣がその切っ先を天井に向ける、マナがうねり一個の暴力と化す。
「饒舌に、教えてもらおうか」
──────────────────────
────────Yuto side
「悠人、見えてきたぞ多分アレだ。」
光陰が指を指す方向には森の中には不釣合いの要塞。
「あんなものがこんなところに・・・」
「逃げて行った方向と、情報を照らし合わせてもここに間違いないな。」
門の前で一度止まり、要塞突入のメンバーを決める。
「俺と今日子とセリアとリースが前線に出る、他の皆は後ろの警戒に当たってくれ。室内戦が多いと思うから神剣魔法は確実に仕留めれる時以外放ったらだめだ。」
黒霧から遅れること2時間、メンバーがそろいようやく敵の前に到着した。
ヨーティアに連絡を入れてからは対応が早く、皆すぐに集まった。
「悠、行くわよ。はっきり言って時間は結構ロスしちゃってるんだから少しでも早く助けないとね。」
「あぁ、分かった。」
今日子に言われ門の前に立つ、その大きな門を『求め』でゆっくりと押し開ける。
「うっ・・」
鼻を刺す臭い、一度嗅いだら滅多に忘れるものではない血の臭い。
「これって・・・」
門を空けた先には既に肉袋と化した人間の山。腹の横からは細長い、考えるのも嫌なものが出ていたり、また腕がありえない方向に曲がっていたり、首がなかったり、と五体満足の死体を見つけるのが困難なほど、ぼろぼろに扱われている死体死体死体・・・
「うっ・・・」
今日子が口を押さえ床に手をつく。腕が床に付く瞬間に「パシャ」と独特の音がしたのを聞き逃さない。
さっきまで絨毯と思っていた赤い物は、床一面に広がった血。
よく見てみれば照明の明かりをちゃんと反射している。
元々は真っ白な大理石のロビーらしい。
「気持ち、悪い・・・」
数人のスピリットの顔色が優れない、というか真っ青。
「悠人、一度出たほうがいい。こんな状態じゃあ戦う以前の問題だ。」
「わ、分かった」
場所を要塞の外に移し、血に当てられなかった光陰と話をする。
「・・・・悠人、アレは誰がやったと思う。」
建物を出て空気に当たる、はっきり言って俺もどうにかなりそうだった。
「黒霧、だろうな。」
「あぁ、しかしあそこまでやるとはな。」
今となってはあの玄関で何があったかなんて想像するしかない、ただ確実にあのロビーは地獄だったということは分かる。
「・・・・俺と、光陰、それと血に当てられなかったウルカとで行こう。はっきり言って他の皆は戦えない。」
皆顔色は最悪、中には嘔吐している者まで居る、こんな状況で砦の中に入っても逆に返り討ちにあう。
「そうだな、それに室内なら下手に大人数を連れて行くより少数の方が返って有利かもしれないな。」
──────────────────────
────────Sorma side
「ふむ・・・予想より若干強いですね」
だがいくらでも修正の聞く範囲ではある、レッドスピリットがやられてしまったが、室内ではむしろ神剣魔法は邪魔な部類に入る。
「ちっ！！」
目前のエトランジェは私を視殺、と言っても過言ではないほどの威圧感を持ってこちらを睨む、戦闘開始から約10分、いまだに突破できていないことが彼にあせりを生んでいるようだ。
「どうしましたエトランジェ様、私は逃げも隠れもしていませんよ？」
先ほどまで青ざめていた兵士の顔にも余裕の色が見える、だがここで指示を謝ればこちらの死につながることは間違いない、まだ余裕を感じるには早い。
グリーンスピリットは後方支援、ブルースピリットが基本的に正面に出て、側面からブラックスピリットが追撃を加える。
指示はたったの三つだがこれで十分戦列は保てている、こちらは3体なのだからじっくり攻めれば勝てるだろう。
「どうしたんです？饒舌に教えてもらうのではなかったんですか？」
言うと同時に手を一回叩く、つまりは早回しの合図、戦闘の激化だ。
指示を間違えることなどあるはずが無く、私の部下は攻撃の合間を縮め1テンポ上げる。
「くっ・・・」
エトランジェも十分耐えているが防御に徹しているのは間違いない、侵入者は目の前のエトランジェ一人だろう、なら速めにけりをつけて逃げなければならない。
だが、決定打を決めるには未だ早い。事を急げば相手に隙を与える事になる。
室内とはいえ一本道の廊下に死角は無い、つまり不意打ちといったことも出来ない。
結局は相手の消耗を待つしかないのだが・・・・
・・・・目の前で戦っているのはエトランジェを正面に捉え連激を加えるブルースピリット。
「ふむ、これは・・・」
成る程、これでチェックメイトか・・・
────────Sakuya side
思っていたよりもかなり強い、いつかの碧ほどでもないが、それでも3人となると厄介なのには違いない。
『不味いですね・・・』
かなり美味しくない
ブルースピリットに追撃を加えようとすれば、ブラックスピリットが邪魔をして、しかも後ろでグリーンスピリットが支援する、どれか一人でも欠ければ崩せる陣形だが、一人も欠けないため結局崩せない。
青いぼやけた瞳の少女が剣を振りかぶる、さっきから一度も表情を変えないその姿は俺でも奇妙に写る。
『・・・・』
どうした
『妙ですね、いつもならここでブラックスピリットが・・・』
確かに、今までのパターンで行けばブラックスピリットが既に攻撃を加え、ブルースピリットは一度引いているはずだ。
『作戦が変わったんですかね？』
どちらにしろこちらに有利になりそうだけどな・・・
ブルースピリットは猛然と剣を振り続ける、連激は鋭さを増し、攻撃の重さも他に注意を向けれないほどに増大する。
「・・・・」
だが、防げない程度でもない、ブラックスピリットが乱入してきても何とかなる自信はもちろんある。
こっちは防御に徹するしかないが、常にブラックスピリットを視界におさめれる様位置は確保してある。
スピリット2体とも視界におさめているのだから反応できないわけが無い。
ブルースピリットが高く剣を振りかぶる、今までに無い大きなす─────
「え・・・」
声と同時に口から紅い何かが出てくる・・・
「コフッ・・・」
顔に紅い何かが掛かる・・・
見てみれば成る程対面のブルースピリットが吐いた血のようだ・・・
痛みを感じて下を見てみれば、緑色の棒がブルースピリットの体を貫いている。
その棒の先には鉄板のようなものがくっ付いていて、深々とその鉄板が俺の腹部を貫いている。
・・・味方のブルースピリットを貫通して俺の腹部にざっくりと突き刺さっている。
「コフッ」
血を吐いたのは俺、結構な量を吐いている・・・
「ふふふ、まさかここまで上手くいくとは思いませんでした。」
棒と鉄板・・・つまりは槍が引き抜かれ、後ろから逆に刀で貫かれる。
刀が刺さったまま地面に蹴り倒される。
「死角がないなら作る、単純明快な答えでしたね、他のエトランジェにも効果が在るか試してみましょうか。」
何か言っているみたいだけど自分の息と心音が煩くて碌に聞こえない。
「ブルースピリットを一体消費してしまいましたが、あなたを倒せたのです安い買い物としましょうか。」
たかが人間の蹴りで地面を転がり壁にぶつかる、さっきまで倒れていたところにはかなりの大きさの血溜りがある。
「ふふふ、もうこちらを睨む気力もありませんか。」
裸の上にコートを羽織ったどこからどう見ても変態でしかも出来れば視界に入れたくない人間は、腰から抜いた剣で、俺を適当に殴る。
「はははははは、いいですねぇ、この快感は。」
せっかくの剣も宝の持ち腐れ、持ち主に斬るだけの技量が無かったら名刀もなまくらと等価らしい。
「ここであなたをいたぶってもいいのですが、私には用事がありますので。ここで止めを刺させてもらいます。」
人間が手を軽く上げると目の前にブラックスピリットが出てきて、剣を構える。
「ふふ、実に有意義な時間を過ごさせてもらいました、あなたとの戦闘データは今後に役立たせてもらいますよ。」
鞘から剣が抜き放たれ
俺の視界は
真っ白に、ほんと真っ白に
染まった・・・
◆◇◆◇◆◇◆
────────Yuto side
ソーマ砦 数分前
「くそっ、でかいな・・・」
血を見ても平気だった俺と光陰とウルカの3人で侵入している、どこを見てもあるのは死体と血。
「気分が悪くなるな、ったく黒霧の奴はここの奴に恨みでもあるのか？」
光陰が毒づく、確かに見渡してみれば転がっている死体は必ず体の一部が欠落している、けどあの黒霧が無意味にこんな事をするとも思えない。
「しかし、ソーマの育てるスピリットの強さには定評があります。それを一人でここまで追い込むとは。」
「確かにな、見たところこの砦には殆どスピリットが残ってないみたいだし・・・」
「手前も一度手合わせをした事があります故このような事を申しますが、ソーマ直属の部隊の強さは別格でした・・・」
直属の部隊？初耳だな・・・
「すいません、事前にお教えしておくべきでした。実はソーマは対エトランジェ用に5体のスピリットを育成しているのです。」
「成る程、帝国には秋月がいるからな、あいつを基準にして倒せるレベルのスピリットを育成してるんだろ。」
「つまり、それは俺たちもやばいってことか？」
「はい。ソーマの一挙一動が指示命令となっていて、それを忠実にこなす5体は強力でした。」
4階への階段を見つけるが、面倒な事に段がすべて斜めになって坂になっている。
「罠、か。つまり黒霧はこの上だな。」
「そのようですね。気配も感じますし。」
「黒霧がこの上ってことは、エスペリア達も・・・」
「あぁ、けどこれをどう登るかな・・」
どう考えても都合よく段に戻ってくれるなんて事は無いだろう。
「仕方在りませぬ、手前がハイロゥで登ります」
そういうとウルカはハイロゥを展開させて風を打ち、階上へと飛んでいった。
「ロープをたらしますので、それで登ってきてください。」
声しか聞こえないがおそらく登ったところにウルカがいるのだろう、階段の上からヒモがたれてくる。
それを光陰が何度か下に引いて安全を確かめると登り始めた。
「悠人も速く来い」
「わ、わかった」
「ふぅ」
なんとかってほどでもないが兎に角坂を登り終え、３階到達。
「悠人さっさと行くぞ」
光陰が急かしウルカが先行する。
「そろそろだな・・・」
そこの曲がり角を曲がれば黒霧がいるはず─────
「ふふ、実に有意義な時間を過ごさせてもらいました、あなたとの戦闘データは今後に役立たせてもらいますよ。」
「え」
視線の先には血まみれの黒霧と、その黒霧の前で必殺の太刀を構えるブラックスピリット、そしてエスペリアとシリアさんを誘拐したソーマ。
「──っく！！オーラフォトンビーム！！」
威力よりも狙いを重視した一撃、だがいちいちそんな事を考えて撃ったわけではなく、培ってきた経験が反射で体に指示を出す。
「っ！！」
マナの光線は黒霧の首を落とすはずだった刀に中り、見事刀を弾いた。
「・・・いいところで邪魔をしますね、もう少し遅ければ・・・」
そういうと、ソーマは転進俺たちとは逆方向に逃げる。もちろん俺たちもそれを追おうとするが、ブラックスピリットに阻まれる。
「悠人、お前は先に行け。俺とウルカでコイツはどうにかするから。」
「そのとおりです、早くエスペリア殿を助けなければサクヤ殿も危ない。」
「悪い二人とも」
光陰とウルカがブラックスピリットを押さえにかかる、その横を俺がすり抜ける。
既にソーマは見えなくなっていたが、一本道だったので迷うこともない。
数分走ったら大きなドアにぶつかった。
『契約者よ、この先だ。不意打ちに気をつけろ。』
『求め』からの忠告を受け、ドアは開けずに強引に破る。
「おやおや、乱暴ですねぇ。」
部屋の真ん中には、ソーマと兵士、そしてその二人に抱えられる形でエスペリアとシリアさんが居る。
「溯夜は？溯夜は大丈夫なの？」
「・・・・正直分からない、早く治療しないと。」
「ふふふ、もうダメですよ。あの傷で助かるわけがありません。」
「助けるんだよ！！だから、二人を返して貰う。」
「勇ましさだけは彼と同じくらいですね。尤も、彼は実力が伴いませんでしたが。」
最後のグリーンスピリットが前に出てきて槍を構える。
こっちも『求め』を構える。
「うおぉぉぉぉぉぉ！！」
声と同時に地面を蹴り、『求め』を下段に構え。
振り上げる。
槍は弾かれ、間抜けな方向を向く。
振り上げた剣を反転させ、無防備なグリーンスピリット目掛けて降下させる。
ギンッ！！
だが、その剣は槍の柄で受け止められる。
一度距離をとり体制を整える。
グリーンスピリットは間合いを取った俺に追随するように走ってきた。
グリーンスピリットの速力をプラスされた凶刃が迫る、怪しく輝く必殺が俺の体目掛けて迫り来る。
体を右斜め下に倒すことで槍を避け、下段から『求め』で切りつける。
「■■■■■────────！！」
グリーンスピリットの左腕を切り飛ばした『求め』はその身を転進させ再度グリーンスピリットに迫る。
だが、『求め』は標的を切る前に槍に阻まれ停止する。
「ほぅ、驚きましたねここまでやるとは。そろそろ私は退散させてもらいましょうか。」
「ふざっ！！何であんたなんかと！！」
『求め』は纏うオーラで青白くひかり槍との接触で火花を上げる。
グリーンスピリットの向こうにソーマが見える、窓を開けはしごを下ろしている。
「さよならです、今度会う時はこの二人がお相手しますよ。」
その“二人”は誰を指しているのだろうか。
「────────ない」
「ふふふ、なんですか？」
『求め』にマナを注ぎ込む、奇形の大砲に光の弾丸が装填される。
「次は───」
〈マナよ、わが求めに応じよ。一条の光となりて、彼の者どもを貫け！〉
「───ない！！」
〈オーラフォトン、ビーム〉
強引に『求め』を振りぬく、振りぬかれた刀身からマナの光線が奔り、グリーンスピリットを打ち抜き、その先に居る
「くっ、馬鹿なっ！！」
「ちょ、わたしも居るのに！！」
ソーマの頭部だけを貫いた。
◆◇◆◇◆◇◆
エスペリアとシリアさんの縄を解き、エスペリアを起こして黒霧のところに戻る。
「溯夜！！」
シリアさんが黒霧に駆け寄ろうとするが、怪我の具合を見て引き下がる。
「はぁ、なんでブルースピリットには治癒魔法がないのかしらね。」
「俺じゃあ傷が広がるのを抑えるくらいしか出来ない、早く。」
光陰が黒霧の治療に当たってくれていたらしいが、元々回復を重視したサポート魔法でないため効果は薄い。
「はい」
エスペリアが前に出る、黒霧の腹部に手を当てて。
「倒れる者、傷ついた者、その役目を終えようとする者に今一度命の輝きを・・・」
To be continued
あとがき
いやぁ、死にましたねぇ。dreamelementの中にあるSSの中で最も多い人数の“人間”を殺した主人公じゃないでしょうか？（いや、皆様全てのSSを把握したわけじゃないのでほら吹いてるんですが・・・）
さて、主人公敗北、決定的な負けは今回が初めてです。変わりに勝利を収めたのは正規の主人公。いや〜、オーラフォトンビームってあんな打ち方できるの？此処まで独自設定持ち込んでてなんだけど・・・
因みにタイトルの「One got penatrated, and then there were two?」の訳は「一人が貫かれそして二人だけになるか？」です。
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