イースペリア国 - Erthperia -

近年になり、新たなサーギオス帝国の新たな皇帝による積極的な勢力拡大に対抗して三国で結んだ“龍の魂同盟”の一国。

四つの湖からなるモジセノラ大湿地帯の豊富なマナと、首都中心部に大規模なエーテル変換施設を持つ。
エーテル変換施設と隣接して大きなエーテル研究施設も建設し、エーテル研究の環境はいい。
ゆえに北方の中では随一のエーテル技術力を保有している。


イースペリアは比較的に男尊なこの世界で珍しく女王が治めている。

これは王位継承戦争の際の混乱の中で建国する当時、
男手はその戦争関係で徴収されて女手のみの生活が長い間続いた事が起因となっている。
女性のみの力仕事や畑仕事や夫を待ち続ける精神力の強靭さで女性たちの不満と力を培い、
ある一人の女性が彼女たちを団結へと導いた。

彼女はこの戦争を悲観し、混乱の余波が最も強いこの地――後にイースペリアという国なる地――を単身で訪れる。
その女性は彼のエトランジェの姉ぎみのセイラスであり、既にそのお腹にはロードザリア血族の子を宿していた。

セイラスがエトランジェである事が皆の意志をまとめる要因でもあったが、何よりもセイラス自身の指導者としての有能さが強固な団結へと誘った。
そして彼女たちはこの地で反戦活動を行い、男たちはそんな妻や娘たちのために王子たちの命を背いて戻ってくる。
戦争で疲弊した人々もこの地へと訪れ、肥えた湿地帯を開拓して戦争とは孤立した独自の土地を開拓していった。

しかし、この世界のほぼ中央付近で戦いの中継点となり得る場所であった事もあり、多くのスピリットや王子たちの兵が好き勝手に侵入してくるのは必然。
それでも少数のスピリットを連れて逃亡してきた兵も少なくなく、彼らはこの地の防衛のために進んで志願した。
そして好き勝手する王子たちの兵は長年に渡って培われた女の強さと恐さによってあっさり撃退されており、この地にいる男たちも女性に逆らえないという風習が強くなったのであった。

こうして団結した人々は、永くに渡る戦いの中でセイラスはお腹の子を出産して聖母と、
そして生まれた女の子を聖女として称え、生まれた女の子の名からこの地をイースペリアという国として建国した。

セイラスを女王としたこの国は反戦の意志を色濃くした国となり、今は三代目の女王であるマリア・セイラス・イースペリアが治め、彼女自身も子を宿し、そして生まれた子は女の子で次期女王としての期待が国民には大きかった。

マリア女王は自身の名前をもじってアズマリアと名付ける。
『アズ』とは聖ヨト語で名詞や動詞の後について一つの形容詞となりえる『アム』という言葉の崩した発音から来ている。
マリア女王は、この子が国民の後押しをして希望や力と成り得る形容詞となる様にという願いを込めて名付けたものでのである。


マリア女王は戦争に関してはイースペリアの象徴とするように積極的ではない。
それでも帝国の軍事拡大姿勢に対して強い危機感を持って龍の魂同盟を継続させている。
建国当時より開拓したモジノラ大湿地帯の豊富なマナを防衛用スピリットと、強固な防衛施設に注いでいる。

嫉妬にも似た隣国であり敵対国でもあるダーツィ大公国の最近の活発な動向、そしてダーツィに突如として溢れた膨大な量のマナを観測して以来、手を出すことが出来ずにいたダーツィとの膠着状態の大きな変化を見逃すまいと緊張が増大させる。

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