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永遠のアセリア
―The 『Human』 of Eternity Sword―
永遠神剣になっちゃった
Chapter 1 異世界
最終節 『死後の予感!?』
金属がぶつかり合う音の中、青が特徴の二人は対峙する。
言うまでも無い。アオとセリアの姉ちゃんだ。
「始めに、貴方の実力を測るために本気で行かせて貰うわよ」
そう言って、西洋の剣を構えるセリアの姉ちゃん。
『なあ、アオ……状況を説明してくれないか?』
どうも状況がつかめない……というか、解りたくない。
「訓練するんだって」
ふーん、勝手にやってくれ。……と言えたらどんなに素晴らしい事か。
『――――真剣で?』
「うん!」
これ以上と無い笑顔で答えるこいつの顔を、思いっきりぶん殴ってやりたい……
そんな衝動に駆られたが、気力を振り絞って自制する。
これが、大人の対応というものだ……
――えらいぞ、俺♪ よく堪えた、俺♪――
どちらにしても殴ることは叶わないのだが……そんなことはどうでもいい。
改めてセリアの姉ちゃんの獲物を確認する。
うん、どう見ても西洋剣だ。
力を持って、叩き割る……それが西洋剣の本質だ。
ちなみにこっちは日本刀。
技と速度を持って斬る……それが日本刀の本質……
達人なら鉄でも斬れるが、素人の場合は言うまでもあるまい。
――――想像してみよう。
戦い慣れした西洋剣を扱う戦士と、初めて日本刀を振った新人が本気でぶつかり合ったら……
ボキン……
そんな音を立てて、新人の獲物は真っ二つになる。
――――冗談だろう??
つまり、ここで俺の人生は幕を閉じる……
「さあ、行くわよ!!」
無慈悲にも、走り出すセリアの姉ちゃん。
何時の間にか翼を広げ、飛び掛ってきた。
何で翼があるのか、今の俺には、そんなことは眼中に無かった。
アオは動けない。あろうことか、受け止めるために俺を突き出しやがった。
さっきの妄想が再び展開される……
くどいようだが、命に関わるので、とっても解りやすく説明する。
『叩き割る』のに特化した西洋剣が『とっても薄い』日本刀に、加速をつけてぶつかったらどうなるか?
ボキン……
そんな音を立てて、俺は真っ二つになる。
『やめてえええぇぇぇ!!』
命乞いは虚しく、上段に構えたセリアの姉ちゃんの剣は、死神の鎌を連想させるように振り下ろされる。
それはもう、ゆっくり、ゆっくりと……
ああ、これが、死ぬ直前の感覚か……
崖から落ちたり、トラックに轢かれそうになったり……
そんな超危機的な状況に陥ったとき、その瞬間の光景をスローモーションで見ることができるらしい……というのは本当だったんだな。
俺の場合、感じるだけど……
死を覚悟した瞬間、スローモーションに感じている背景がいきなり急スピードで流れた。
『……へ?』
俺の切っ先は、セリアの姉ちゃんの脇腹を切り裂いた。
セリアの姉ちゃんは、スローモーションの様に剣を振り下ろしている最中だ。
――――なにが……起こった??
「――! がはぁ!?」
セリアの姉ちゃんが剣を手放し、地に倒れた。
「セリアお姉ちゃん!!」
アオも俺を手放し、セリアの姉ちゃんに駆け寄る。
…………生きてる……俺、生きてるよ……
……よかった。何が起こったのか知らないけど、本当によかった。
生の意味を痛感しながらセリアの姉ちゃんを確認すると、地面にぐったりと倒れていた。
言うまでも無いが、脇腹から大量の血がドバドバと出血していた。
そりゃあもう、致死量並に……
『あわ、あわわわわ……』
別の意味で、生の意味を痛感した。
殺人!? 俺、人殺しちゃったよ!!
ああ、父さん、母さん……おれ、人殺しちまったよ……
どうしよう、どうする!?
とりあえず埋めるか? いや、でも目撃者一杯だし……
その前に、除霊をしないと……でも武器ないし……
「あ〜らら、ちょっとヤバイですね〜」
何時の間にか、ハリオンの姉ちゃんがセリアの傷を見ている。
『ヤバイ!? ヤヴァイのか!?』
人殺しですか? 確定ですか!?
「セリアお姉ちゃん、ごめんね、ごめんね……」
「アオちゃん、大丈夫ですよ。この程度の傷、日常茶飯事ですから〜」
日常茶飯事!?
「癒しの風よ……アースプライヤー!」
大気が、槍に集い、そして色を持ってセリアの姉ちゃんに染み込んでいく。
間もないうちに、傷口がビデオを巻き戻しするかのように塞がっていく。
……リアリー?
「……ぅ、助かったわ。ハリオン」
「いえいえ〜」
起き上がったセリアにアオは泣きじゃくりながら謝っている。
いや、本当によかった。危うく俺が殺人犯に――――
ん? よく考えたら、俺何もして無いじゃん……
そうだよな。俺を振るったアオに一番責任がある筈だよな。
殺人事件とかで、武器に罪があるって聞いたこと無いし。
そもそも、正当防衛だよな……これ。
「大丈夫だって、アオ……これくらいの傷でへばってたら生き残れてないわよ」
『へばってた癖に……』
俺の突っ込みはスルーされ、話は進んでいく。
「でも、アオちゃんすごいですね〜」
「そうね、反撃の瞬間が全く見えなかったわ」
「えっとね、セリアお姉ちゃんがすごい顔で迫ってきて……死ぬかもって思ったら、急に周りが遅くなって……」
なるほど、俺と同じ心境だったのか……って!?
『アオ、お前……その時、普通に移動できたのか?』
「うん、セリアお姉ちゃんの後ろに回ろうとしただけなんだけど、雫がセリアお姉ちゃんのお腹に当たっちゃって……」
なんという、うっかり屋さん……じゃなくて、なんという奴……
どんな達人でも、そんな芸当できないぞ……普通……
「つまり、危機的状況に追い込まれれば無敵って事ね」
ある意味最強じゃねえか……
――――っと、アオの異変に気がついた。
なんか、アオの存在が不安定だ……よくわからんが、言葉に例えるならばそんな感じ……
「でも、、、セリアお姉ちゃんが、、、ぶじで、、、、、、、」
糸が切れた人形みたいに倒れるアオ……
『――おい?!』
倒れる寸前に、セリアの姉ちゃんが受け止めた。
「――きっと、力を使い切ったのね」
「あれも、神剣魔法ですかね〜」
「たぶんね……」
セリアの姉ちゃんは痛々しい目でアオを見つめている。
「まったく、異例のスピリットだからって、生まれて一日もしないのに戦闘訓練を課すって方がおかしいのよ!」
その言葉には、怒りの感情が含まれていた。
「私達の場合は1ヶ月経って、初めて戦闘訓練を受けましたからね〜」
『――真剣魔法??』
今更ながら疑問が湧き上がった。
魔法は解るとして、真剣魔法って……どういう意味だ??
まあ、いずれアオを通して聞くとして、今は成り行きを見守るしか方法が無い
「おい貴様ら! 何をサボっている!!」
そんな時、鎧を来た兵士がこちらへやって来た。
「いえ、サボってるわけではありません」
兵士が気絶しているアオに目線を向ける。
「まさか、ただ打ち合ってへばった……という訳ではないよな?」
「そんなことありません。アオは私に傷を負わせています」
「ふむ、となると貴様は、生まれたばかりのスピリットに劣る……と?」
「それは……」
嫌な奴……俺が感じた第一印象だった。
「冗談だ。そいつが異例のスピリットということは理解している。国王の命令でな、慎重に扱えとの事だ……」
兵士は、アオからセリアへ目線を向ける。
「セリア・ブルースピリット……そいつと打ち合って、どう感じた?」
「一太刀交わしただけですが、反撃する姿が目に見えませんでした」
その兵士は考えるように顎に指を当て……
「なるほど、貴様が目視できないとは……ずいぶんな拾い物だな。――だが、一太刀交わしただけで倒れるのも問題だな」
「それは、アオは生まれたばかり――」
「知っている。これでも訓練師をしていた時期はあった……」
セリアの姉ちゃんは黙ってしまう。
「…………ま、休ませておけ。報告書はそれなりに、悪く書くつもりは無い」
「ありがとうございます」
兵士は、話すことは既に無い……っと、そんな感じで出口へ歩いていくが、言い忘れていたように振り返り、こう喋るのだ。
「ま、これからの時代はどうなるかわからんが……エトランジェが現れたからには大きな戦になるだろう」
「せいぜい死なないように頑張るんだな……」
そんなセリフを吐き残し、その兵士は立ち去った。
「ふぅ……」
兵士の姿が見えなくなり、セリアの姉ちゃんが安堵した溜息を吐いた。
「アウルさんが監視役で良かったですね〜」
ニコニコと笑いながら呟くハリオンの姉ちゃん
『なんでさ?』
通訳のアオは気絶しているため、俺の呟きが聞こえるはずも無い。
しかし、この二人はその答えを紡いでくれた。
「そうね、他の衛兵なら無理やりにでもアオを起こして訓練させるかもね」
セリアの姉ちゃんが愛でるようにアオの髪を撫でている。
まるで小動物を撫でるように――って、まんまか……アオは小動物みたいなもんだし。
「そういえば〜、この前ヘリオンちゃんに刀の使い方を教えてましたよ」
くすくす、っと笑いながらハリオンはその時のアウルとか言う奴のことを教えてくれる。
「『貴様は〜、刀の抜き方の基本も知らんのか〜〜! ぷんすか!』って言いながら、
ヘリオンちゃんが出来るようになるまで親身になって教えていましたね〜」
……言っちゃあ悪いけど、全然似てなかった。それより、『ぷんすか』って……マジに言ったんすか? 言ったはず無いよな??
「それ、いつの話?」
「夜中に、ヘリオンちゃんが一人で練習してるときですね〜」
ヘリオンって、あの黒いツインテールのガキだよな……
なんか、安易に想像できるぞ……
泣きながらやってるヘリオンに嫌味を言うあの兵士……
……Sだな。
「結局、出きるようになったのは明け方で……よく出来たってネネの実を貰ってましたよ」
『「まさか、ずっと見てたの? 明け方まで??」』
見事なまでに、俺とセリアの姉ちゃんの声はハモッた。
「うふふ〜♪ ナイショです〜。あとはセリアも知ってるでしょ?」
「そうね、ヘリオンが寝坊したってのに……あの人、全然怒らなかったもの」
規律には厳しい人なのにね……っと付け加えた。
「変人よね……」
「でも、優しい人ですよ〜」
第一印象……嫌な奴は、実は結構良い奴。そう俺の中で、奴は――『アウル=サウディス』はランク付けされた。
報告書
アオ・ブルースピリット……
ブルースピリットでありながらブラックスピリット特有の神剣を持つ異例スピリットに関する報告を記す。
アオ・ブルースピリットの戦闘能力を測定するため、セリア・ブルースピリットと一対一で真剣勝負を決行。
結果、アオ・ブルースピリットが勝利するも、疲労のため気絶。
詳しい話を聞いたところ、セリア・ブルースピリットが攻撃したところ、
カウンターで迎撃し、セリア・ブルースピリットを戦闘不能にした。
セリア・ブルースピリットの証言では、目視できないスピードだったらしい。
その後、疲労のため気絶……疲労具合から神剣魔法を使用したという意見も多い。
生まれて間もないスピリットがベテランを倒したのも事実だが、それ以上に異例もまたスピリットだというのも事実。
早期投入は困難と予想され、普通のスピリットと同じく基盤が出来てからの投入が好ましいと思われる。
ラキオス城衛兵隊・隊長
アウル=サウディス
あとがき
3話終了でございます。
雫、自分の力をアオの力と勘違い……
つーか、時神の伝承をすっかり忘れてる。
某漫画のザ・ワールドまでは行きませんが、それに近い能力です。
それにしても戦闘編なのに一瞬で終わってしまった……(涙)
だって難しいんだもん♪――という冗談はさておき、アオと雫は実力的にはヘリオンより下です。
でも、ジョーカーっぽいキャラで描きたいと思います。
遊びでステータス表作ってみましたので暇があったら見てやってください。
新キャラ登場、アウルさん。
主人公は身動き取れない状態なので、不都合が起きたら補うためのアウルさん。
いわば主人公のピンチヒッター。別名、第2の主人公!
報告書は訓練師が出す物なのですが、
現在、ラキオスの訓練師は他の新人さんの教育中。よってラウルさんが代わりに出したとさ。
キャラ設定に詳細が載っています。
次は日常編。アオと雫がサブすぴ一人一人と過ごします。
全員と過ごし終わるのは、約3ヶ月後の設定なので悠人との対面はそこから。
戦闘の無いほのぼのにしたいけど、それじゃあ飽きるから、小競り合いを入れようかと考えてまふ♪
<すて〜たす>
アオ・ブルースピリット (LV.1) |
クラス:ブルースピリット |
ライフ:100 (LVup時は40ずつ上昇) |
ハイロゥ:未確認 |
マインド 100 |
ATTACK SKILL
技名:りーぷあたっくT |
ターゲット:変動【敵】 |
属性:無 |
対HP効果:200 |
最大回数:9 行動回数:1 |
マインドバランス:0〜100 |
マインド変動:+1 |
効果:無 |
ブルースピリット特有の技だが剣ではなく刀なので使い勝手が悪い。 |
DEFENCE SKILL
技名:ゼロカウンター |
ターゲット:変動【敵】 |
属性:無 |
対HP効果:100% |
最大回数:1 行動回数:1 ※回復不可 |
マインドバランス:0〜100 |
マインド変動:-30 |
効果:カウンター |
アオが危険を察知して自動的に発動するノーダメージカウンター。
目にも止まらぬ速さのカウンターは相手の命を刈り取る。 だが、反動も大きいため1ミッションで一回しか使用できない。
|
SAPPORT SKILL
技名:応援 |
ターゲット:全体【味方】 |
属性:無 |
対HP効果:− |
最大回数:9 行動回数:1 |
発動:スタートサポートタイミング(ab) |
マインドバランス:0〜100 |
マインド変動:+2 |
効果:攻撃力+5 防御力+5 マインド+1 |
アオのほのぼのとした声は、みんなの緊張を和らげる効果がある。
結果、攻撃力と防御力が5%、マインドが1上昇する上昇する。 |
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