このSSはエスペリアルート中のお話です。
時期はソーマからエスペリアを寝取ってきた救出した辺りです。ネタばれにご注意ください。
ギャグです。シリアスな展開は無いと思ってください。
多少キャラの人格がぶち壊れているところがあります。
そういったところを笑って済ませられる寛容な方だけこのSSをお読みください。
あと、文章表現がほんの少し際どい所もあります。
そういったものが苦手な人もご注意ください。
「エスペリアー、いるー?」
外出から帰ってきた今日子の声が詰め所のリビングに響く。
彼女の手には、いまだあつあつのヨフアルの入った袋がある。
一説によると焼きたてのヨフアルは某L国の有力者のワイロにだって使えるとか。
閑話休題。
とにかく今日子は、ヨフアルを茶菓子にエスペリアにお茶を入れてもらおうと計画し、第一詰め所まで帰ってきたわけである。
とりあえずキッチン及び居間には彼女の姿は見当たらない。
帰ってきたときに庭が見えたが、そこには誰もいなかったので、ハーブの世話をしている、洗濯物を干しているという線も消えた。
(今日は詰め所に居るはずだから……自室かな?)
最近分かったことだが、エスペリアはお昼寝をこよなく愛しているのである。
一度悠人と一緒に仲良く居眠りをしていたことから発覚した事実だ。
ちなみにその時悠人はベッドの下に転げ落ちていた。
一緒のベッドで寝ていたところ、エスペリアが悠人を押し出してしまったらしい。
そして悠人はそのまま床で爆睡していた。
目が覚めたエスペリアが真っ赤になって悠人に頭を下げ続ける姿に思わず噴き出してしまったものだ。
(…ホンット、幸せそうよね、二人とも)
悠人がソーマの魔手からエスペリアを救出してから、あの二人は明らかに変わった。
常に一歩引いたような態度をだったエスペリアが、最近は悠人に対してずんずん接近していくようになったのだ。
食事中の『あーん』があの二人の間ではデフォルトになってしまったことからもそれは窺えよう。
(しっかし、最近の料理が精のつきそうなものばっかりなのは何とかなんないものかねぇ……)
最近のエスペリアの料理は明らかに滋養強壮作用のありそうなラインナップなのである。
その目的はサーギオスとの戦闘に向けて…ということになっているが、それだけが狙いでないのは明白である。
美味なことは間違いないので苦情は出ていないが。
悠人のみ最近少しやつれたような気がするのも些細なことだろう。
そんなことを考えているうちにエスペリアの部屋の前に着いた。
とりあえずノックをしようと手を振り上げて、ふと部屋の中から話し声がすることに気づく。
「…それじゃ、脱がせるぞ?」
「ゆ、ユートさま、自分で脱げますから……」
「いいからいいから。俺に任せとけって」
自分がさび付いたブリキ人形になった、と今日子は錯覚した。
ぎしり、と音を立ててドアを叩こうとしていた手が止まる。
(な、ななな、こ、あ、明るいうちからナニやってんのよこのバカップルはぁぁぁぁっ!!)
声にならない雄たけびをあげながら今日子はただ固まるしかなかった。
「…そ、それではユートさま、お願いします………」
「そんなに照れるなよ。そりゃ確かに明るいうちにエスペリアの体を見るのって初めてかもしれないけど……」
「ユートさまっ!そういう風に言うのはやめてくださいっ」
動けない今日子の耳に否応無く入ってくる二人の会話。
部屋の中には付き合っている男女が二人、しかも男は女の服を脱がせて『何か』をしようとしているということだ。
もはやどんなことが部屋の中で行われているのかは想像がつく。
ここにいてはいけない。
頭ではここから離れようとしているのに体はそれに応じてくれない。
動けないのはハプニングに直面したことへの驚愕ゆえか、それとも年頃の少女相応の好奇心からか。
「……っ、ユートさま、もう少し優しく・・・・・・」
「あ、ああ、ごめん」
(そそそ、そーよ女の子はデリケートなんだからねバカ悠っ!!)
「ちょっ、ユートさまっ!?そんないきなり……っ」
「だってどうせ下もやることになるだろ?
なら脱がせないわけにはいかないじゃないか」
(下…ってことはスカートまで!?それとも一気に下着までっっ!?)
どうやら今の少女の心中では
いつの間にかぴったりとドアに張り付いて、一言一句聞き漏らしの無い様にと耳を澄ませている。
ふと下を見ると、視界に入るドアのノブ。
いつもならそんなものを見ても何も感じるはずが無い。
しかし今の今日子にとってそのドアノブは更なる禁忌への入り口となる。
知らず、口内にたまった唾を飲み込む。
恐る恐る、極力音を立てぬよう、ドアノブにそっと手をかける。
後は静かに手を下に動かせば………熱中している二人には気づかれずにドアに隙間を開けることができるはずだ―――。
「ん?今日子もエスペリアに用があるのか?」
「×#@○゜ζッτ$ΞーДΣ!?」
「あわわわわっっ!?」
ずどしゃあっ!
体重をドアに預けていた為、部屋の中に倒れこむこととなってしまった。 ええ、ご都合主義ですがなにか?( ゜▽゜)y-~~
「へ?」
「え………?」
「あ、あああああっ!?」
驚きの声二つと慌てた悲鳴一つが部屋の中で混ざりあう。
目の前に広がる光景を想像して、跳ね起きた今日子の視界に入ってくる二人―――
「き、キョーコさま…?」
「…今日子?何してんだ?」
確かにエスペリアの衣服は脱がされていた。
しかし悠人の服はいつも通りだし、シーツが乱れてもいない。
エスペリアはベッドの上で上半身だけ起こして、悠人はその傍でタオルを持ったまま固まっている。
そしてサイドテーブルには水の張った洗面器。
これは逢瀬の現場というより―――
「ありゃ?」
そこへ間の悪いことにドアの前にいた光陰の声が部屋に響いた。
「きゃあぁっ!?」
「見るんじゃない光陰ーーーー!!!」
「うぎょぁぁあぅぁあああ!?」
どばしいいいぃぃん!!
正に電光石火。
今日子の雄叫び、光陰の悲鳴、ライトニングハリセンの轟音。
これら全てはエスペリアの悲鳴が上がって一秒以内に同時に巻き起こった。
光陰ならエスペリアはストライクゾーンからは外れているはずなのだが、本人や今日子にしてみればそんなことは関係ないだろう。
哀れ、光陰は瞬きもしない内にいつもより多めに煙を出しながら床に倒れ付した。
「あ、あっはっは、な、なにしてんの二人とも?」
ひくひく痙攣している光陰を、ごまかし笑いをして部屋の外へげしげしと蹴りだしながら今日子が聞く。
負けるな光陰、きっと報われる日も来るさ。 …自分は書かないかもしれないがね。(´ー`)y-~~
「何って……エスペリアが熱があるんでな、看病してたところだ。今日子、あんまり病人の前で騒ぐなよ?」
呆気にとられながらも何とか闖入者に応対する悠人。
今日子の行動に不審さは感じたものの、追求するのはやめておいた。
またライトニングハリセンが唸りかねないし。
「へぇ。看病………ってスピリットも風邪って引くの!?」
「そりゃスピリットだって風邪ぐらい……引くんじゃないか?よく知らないけど……」
「アンタねぇ……」
「ヨーティアさまが言うには、『スピリットも人間と構造は変わらない。疲れもするし病気だってしてもおかしかないさ』との事ですが……私もこのように体が動きにくいのは初めてです……」
「エスペリア、無理するなよ?こういうときは人を頼っていいんだからな?」
「はい…。ユートさまにだけは甘えることに決めていますから………」
「エスペリア……」
「こらそこっ!人目をはばからずいちゃいちゃ空間を形成するんじゃないっ!!」
第一詰め所のスピリットたちにツッコミのスキルを習得している者はいない。
なのでもっぱら二人のストッパー役になるのは今日子である。
「いや、人前でって…ここ、エスペリアの部屋だし」
「あの、キョーコさま、私に何か御用でしょうか……?」
「い、いやー、ヨフアル買ってきたからさー、エスペリアにお茶を淹れてもらおうかと思ったんだけど……。
その様子だと無理そうね。光陰にでも淹れてもらうわ」
「お前……光陰黒焦げにしといて言う台詞じゃないぞ……」
「あーそっか、エスペリアに治してもらう事もできないんだっけ。
しゃーない。エレクトリックであたし自ら治してやりますか」
「エレクトリックでは25しか回復しないのでは……」
「だーいじょーぶ!ちゃんとEXP仕様だから25%回復になってるって♪」
「―――エスペリア、今日子、25とかEXPってなんだ?」
………
…………
……………たらり。(-_-;)
「…………え〜〜〜っと」
「キョーコさま、あまり不穏当な発言はしないで下さいませ。そのうち恐ろしいことになりかねませんよ?
ユートさま、今のキョーコさまの発言は気にしないで下さい」
にっこりと微笑むエスペリアには、しかし表情と裏腹に有無を言わせぬ凄みが満ちていた。
「エスペリアだって色々言ってたくせに……」
「というより今日子、悪いけどいい加減部屋から出るとかしてくれないか?
エスペリアの身体拭いてる途中だし」
「あーそうね…って悠っ!!なんでアンタがエスペリアの身体拭いてんのよっ!?」
目の前の異常事態にようやく今日子はツッコむ。
まあようするに、先程扉の外で今日子が聞いた会話は悠人がエスペリアの汗を拭きながら交わしていたものだったのである。
つまり今エスペリアさんはその輝かしいまでの裸身をシーツ一枚で隠しているだけの状態なわけで。
シーツで覆えていない真白い肩。熱の所為か潤んだ瞳。このコンボは同性の今日子にも刺激が強すぎるほどである。
「んな事言ったって、俺と光陰以外詰め所にいなかったんだよ。
光陰にはレスティーナにエスペリアは治るまで安静にするという許可を貰いに行って、俺はエスペリアの看病をしてたんだ。
光陰がこっちに来たのも報告が終わったことを伝えるためじゃないのか?」
「申し訳ありません、帝国との戦闘中に休むなど、本来あってはならないことなのですが……」
「なーに言ってんの。病人が休むのはしゃーないことでしょーが」
「そうそう。エスペリアは元々働きすぎなくらいだし、帝国との戦闘も、法王の壁を突破して一段落したとこだし。ちょっと休むくらいなんでもないって」
「……ま、確かに光陰にエスペリアの身体を拭かせるわけにはいかないしね。あ、なんならあたしが変わろうか?」
「いえ、キョーコ様にそこまでさせるわけにはいきません」
「……それに、たまには俺もエスペリアの世話をしたいしな」
「あーはいはいあたしはお邪魔ねごちそうさまお大事にっ!」
ばたん!
再び形成されようとされる
彼女の今の気持ちを一言で言うと、『ぶっちゃけやってられねー』と言ったところである。
「まったく…聞かされる方の身にもなりなさいっつーのよ……」
最初に二人の会話を盗み聞きしてたことは忘れているようですね今日子さん。
そんな彼女がふと足元を見ると、先程部屋から蹴り出した光陰がひとつ。レアな感じに焼きあがっています。
それを見て今日子の姉さん、溜め息ひとつ。
とりあえず先程の宣言どおり、エレクトリックを使うため周囲のマナに働きかける。
「とりあえず、これだけじゃあんまり回復しないだろーし………」
クォーリンにでも回復を頼もうか、と考えたところで、ふとらしくない考えが頭に浮かぶ。
ひょっとすると、自分もエスペリアから熱をもらってしまったのかもしれない、なんて考えながらポツリと呟く。
「……足りない分はあたしが看病してやりましょうかね」
恋という病気も伝染するのかもしれないと、微笑みを浮かべて思いながら。
「えーっと、それじゃ続きするぞ?」
「あ、はい、お願いいたします……。
しかし、どうして風邪など引いてしまったのでしょうか……?」
「………ごめんな」
「はい?」
「………昨日、お風呂でのぼせちまった所為だよな……。すまん」
「………!?」
「……(赤)」
「……そ、そんな、ユート様が謝る事ではありません!
ユート様がご入浴なさっているところにお邪魔したのは私のほうですし、その後のことも私から………はふぅ」
ぽてん。
「え、エスペリア!? しっかりしろ!!大丈夫か!?」
「うぅ……大丈夫ですぅ………」
「じっとしてろって。とにかく冷えないうちにさっさと拭いちまおう」
「はい…お願いします……」
ふぁさっっ……
これより先はお見せできません。悠人君が煩悩と戦いながらエスペリアをふきふきしている所を心眼で見つめながらしばらくお待ちください。 ふきふきしてるのは汗ですよ?あくまでも (´ー`)y-~~
終わり?
後書き
遅筆の代名詞となっている、4049です。
週ごとに更新される方の早さを見習いたいものです……。
しかも今回のSS短い………。
さて、最近謝ってばかりのような気がしますがとりあえず。
今日子をピーピングトムにしてしまってごめんなさい。 orz
前回も光陰に似たようなことをさせてしまいましたっけ……。
これはファンから逃れるためにもうファンタズマゴリアへ亡命するしか!(アホ
スピリットが病気にもなると言うのは私の勝手な推測です。
人間と変わらぬ構造をしているなら疲れもするし、病気もするだろうと。
あまり深く突っ込まないでいただけると幸いです。
知らない人のために補足すると、クォーリンというのは設定資料集に出てきたマロリガンのグリーンスピリットです。
某巨大掲示板では光陰のことを一途に慕っているのがデフォルト設定になっているようで。
できる限り二人が甘く見えるようにしてみました。
ええ、自分は甘党です!Σd(´∀` )
あ、そうそう。このSSに限らず、私のSSをctrl+Aを押して読んではいけませんよ?ъ( ゜ー^)
それともう1つ。
自分のSS部屋の来訪者が10000突破!!
訪れてくれた皆様、本当にありがとうございます!!!