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このSSはウルカED後を舞台としております。よってネタばれ満載です。
更にEXPANSIONのネタも少々入っております。読む人はご注意ください。
なお、多少キャラの人格が崩壊しているところがあります。
そういったところを笑って済ませられる寛容な方だけこのSSをお読みください。
あと、文章表現がほんの少し際どい所もあります。
そういったものが苦手な人もご注意ください。


「覚悟はできましたか?ウルカ」
「手前はいつでも構いませぬ。来るならどうぞ。トキミ様」

 ファンタズマゴリアではない、ハイペリアでもない、無限に在る世界の内のひとつの世界。
 一面の荒野にて二人のエターナルの女性が向かい合っていた。
 二人の容姿はこのような場には不釣合いなほど美しい。
 が、その身に纏う闘気はその場にいるものを潰してしまいそうなほど圧倒的だった。
 エターナルのひとりは深遠の翼ウルカ。
 カオスエターナルによって造られたガーディアンスピリット。
 彼女の剣技は音速を超え、潜在能力にいたっては計り知れない。
 対するのは時詠の時深。
 曰く「倉橋の戦巫女にして混沌の永遠者」。
 千年を越す年月を戦い続けてきた彼女の戦闘力はカオスエターナルの中でも屈指のものだ。

「………」
「………」

 二人の間に最早言葉は無い。
 後は只互いの剣が振るわれるだけ。
 じり、と互いの間合いが狭まる。
 ウルカの身体が沈む。
 時深の扇子が開かれる。
 そして二人の剣が激突する―――!

「いい加減にしろこの時代錯誤娘どもーーーーー!!」

すぱぱぁーーーーん!!

 直前、聖賢者の今日子仕込みのオーラフォトンつっこみが二人の頭に炸裂した。




武士と巫女の不毛な争い



「で、何で二人共喧嘩なんてしてたんだ?」
「ユート殿、先ほどのことは喧嘩などではありませぬ。決闘です」
「なお悪いだろ!」
「悪かろうがなんだろうが、女には引くことの出来ないときがあるんです!」
「ならせめてただの取っ組み合いにしろよ!神剣まで使ったらただじゃすまないだろ!」

 悠人が二人の決闘を力づくで止めた後、三人はとある宿屋の一室へと移動していた。
 悠人はとりあえず二人から事情を聞きだそうとしているところである。

(私をハリセンの代わりに使ったのはおぬしが初めてだぞ)
(少し黙ってろ聖賢)

 聖賢の苦情も二人の話を聞くため後回しにする悠人。
 この時聖賢にもう少し気を使っていればあんなことにはならなかったかもしれないのに……

「それで、何の為に決闘なんかしてたんだよ?」
「そんなの決まってます!悠人さんのパートナーの座を賭けての決闘です!」
「………へ?」

 自分のことが関係しているとは全く予想していなかったのかぽかんとする悠人。
 そんな悠人に時深の言葉は続く。

「忘れたんですか!?テムオリンたちと戦った後のラキオス城での事!!
 私が勝ったら、悠人さんは私が頂くと!!!」
「勝てば、の話です。今の手前ならばトキミ様と勝負しても結果は分かりませぬ。
 手前が負けるつもりは毛頭ありませぬが」
「あ、あれ本気だったのか!?」
「当たり前だのクラッカーです!冗談だと思ってたんですか!?」
「ユート殿、貴方はどこまで鈍いのですか!
 トキミ様は今まで虎視眈々とユート殿のことを狙っていたというのに!!」

 二人の集中砲火に晒されたじたじの悠人。
 聖賢者と言えど自分を巡って争奪戦を繰り広げるような女性二人にかける言葉は持ち合わせていないようである。
 だから悠人は不器用ながらも自分の思いをはっきりとぶつけることにした。

「と、とにかく!そんな決闘意味がないんだって!
 時深、お前が俺を好きだっていう気持ちは嬉しいし、俺だって時深のこと好きだ。
 けど、やっぱり俺のパートナーはウルカなんだ。
 ウルカ以上に安心して俺の背中を任せられる奴はいないんだ」
「ユ、ユート殿…」
「悠人、さん…」

 悠人の言葉にウルカは真っ赤に、時深は渋い表情になる。

「何より、俺は二人が戦うのなんていやだ。まだやるって言っても絶対に止めるからな」

 ヘタレの汚名を返上するかのように自分の思いを二人にぶつける悠人。
 その言葉と瞳の真摯さに、二人とも何も言えなくなってしまった。

「………」
「………」
「………」

 緊迫した空気が辺りを包む。
 重い沈黙がしばらく続いた後、時深が溜息と供に言葉を紡いだ。

「……分かりました。そこまで言うのなら悠人さんのパートナーの座はウルカに譲ります」

 時深はすちゃ、と時詠と扇を仕舞い込む。

「ごめんな、時深」
「トキミ様……」

 張り詰めた空気が緩み、全員が構えを解いた。
 その一瞬の間に、

「では私は、悠人さんの伴侶の座を頂きますっ!!」

がばちょ

 時深は悠人を押し倒していた。

「な!?ト、トキミ様!?」
「お、おいとき、むぐぅ!?」
「うんん〜〜〜〜〜〜!」

 悠人の顔をがっちり押さえ込んで唇を押し付ける。
 荒っぽく、子供じみた口付けだが、その行為には相手を愛しく思う気持ちが溢れていた。

「むぐぐぐぐっ!?!?」
「うぅン………ふちゅっ……」
「○!×△#?▼@!?!?」

 ウルカの異次元の言葉をBGMに時深の接吻は続く。
 悠人の口をこじ開けて時深の舌が侵入する。
 悠人は何とか時深の舌から逃れようとするが、時深の舌は執拗に追ってきて、悠人の舌を絡めとる。
 舌から離れたかと思えば、今度は歯茎、上あご、下あごなどを休まず責めて来た。

「むーむ〜〜ぅぅっ!!」
「っぷはぁっ……」

 二人の唇が離れ、唾液の橋が架かる。
 時間にして一分ほどは経過しただろうか?
 時深の顔は悪戯っ娘のように笑っていたが、やはり恥ずかしかったのか頬は色っぽく上気していた。

「な、ななななな何をしやがるんでしょうか時深はーん!?」
「もう、言葉遣いがおかしいですよ?あ、な、た♥」

 さらっと時深により落とされた液体窒素入り爆弾発言。
 ゆうとはこおりついた!

「ってちっがーーーーう!!なにがいきなり『あ、な、た♥』だよ!?人を勝手に夫にするな!!!」
「悠人さん、私は悟ったんです、真実の愛という物に………」

 悠人の言葉を綺麗にスルーし、マウントポジションのままぐぐっとこぶしを握り締め、時深は力強く宣言する!

「愛とは来るのを待っているものではない!愛とは殺してでも奪い取るものだと!!」
「いやそれなんか違うだろ!?もうちょっと冷静になれよ頼むから!」
「ローガスも以前さわやかに『略奪愛って良いよね♪』って言っていたことですし♪」
「なに考えてんだあの人はぁぁーーーーっ!?」
「あぁもうじれったいっ!四の五の言わずに大人しく私の夫になりなさ〜〜〜い!!」
「んなことできる―――――」

 か、と続けようとしたところで、悠人は再度凍りついた。
 見てしまったのである。
 長い銀髪と褐色の肌を持ち、こちらに向けて黒い殺気を放っている、とてつもなく美しくも恐ろしい般若を―――。

「ずいぶんと楽しそうでございますねぇ…、ユート殿ぉ……?」

 ウルカの周囲が真っ白になっている。
 ヤバイ。周囲はウルカのダークフォトンと殺気で一杯だ。
 このままだと殺意だけで殺されかねない。
 何とかウルカを落ち着けようと悠人は必死で言い訳する。

「ちょ、ちょっと待てウルカ!今のは俺は完全な被害者だぞ!あの時俺の意思は介入していなかった!断じて!!」
「ほほぅ…?その割にはずいぶんと心地良さそうな表情をしていらしたようですが……?」

 悠人の言葉をずんばらりんと切捨て、ゆらりと居合いの構えに入るウルカ。

「そうですよねぇ〜〜〜。
 仮にも悠人さんは男性なんですから、か弱い女の私を跳ね除けられない訳がないですよねぇ〜〜〜?
 それをしなかったということはやっぱり悠人さんも……♪」

 煽るような―――いや実際煽っているのか―――時深の言葉にウルカの殺気が更に膨れ上がる。
 瞬き一つすればその瞬間に自分の首が落ちそうな状況だ。

「って異議有り!お前のどこがか弱いんだよ!?
 しとやかそうなのは擬態で本当は無精者じゃないか!」
「そんな、ひどいです悠人さんっ!嫌だって言った私の初めてを、あんなに荒々しく奪ったクセにっ……!」

「………」

「な、まだあの時のことを言うのかよ!?もう良いって自分で言ってたじゃんか!
 大体最初に襲ってきたのはそっちだろ!?いきなり俺のを咥えてきたくせに!!」
「なななななんてことを言ってるんですか!その後の自分の行動を忘れたんですか!?
 泣いて抵抗する私を押さえつけて、後ろからムリヤリ、しかも中でたっくさんっ………!」

「…神剣の持ち主たるウルカが命ず。マナよ、神気をまといて敵を打て・・・」

「あ、あれは不可抗力だってば!それになんだかんだ言って時深も最後には―――」
「そ、それ以上言ったらあなたの恥ずかしい過去を全部ばらしますよ!?
 大体あれが不可抗力なんて私は絶対に認めませ―――」

「ディバインインパクト!!」

「どぅわ!?」
「きゃあっ!?」

 いきなりの衝撃に吹き飛ぶ二人。
 だが二人はエターナル、この程度でどうにかなるわけがない。
 とりあえず体勢を立て直し、攻撃してきた相手と対峙する。
 衝撃を放ったのはもちろん今まで二人に忘れ去られていたウルカである。

「本っ当に仲がよろしいようですね、御二方………」
「ちょ、今のやり取りのどこを見て「そうでしょうウルカ。私達はこんな遠慮のないやり取りが出来るほどらぶらぶなんです。」

 悠人の言葉をさえぎって時深が言葉をかぶせる。
 しかしらぶらぶとは今時なかなか言わないぞ、時深さん。

「今の私達に余人の入り込む隙間なんてありはしないんです。
 所詮戦いのパートナーでしかないあなたは引っ込んでいてください」
「……手前は…」

 べぇーと舌を出してからかう時深の言葉に、ウルカはぶるぶると震えている。
 これは噴火の前触れか、それとも泣き出す前兆か。

「な、なぁウル「手前はっ!ユート殿に優しく抱いてもらいましたっっ!!」


 噴火の方だったようです。
 ただウルカの顔が真っ赤なのは怒りの為でなく恥じらいの為です、念の為。
 ウルカの爆弾発言はアイスバニッシャーも目じゃない効果を悠人にも時深にも与えていた。

「ユート殿はあの時、罰を与えて欲しいと言った手前をとても優しく愛して下さいました。
 そして……手前の中に………たくさん、優しさを与えてくださいました」

 ウルカの顔はもう紅葉のように真っ赤っ赤。それは悠人も同じこと。
 何の因果か(自業自得だ)自分が二人の少女の『初めて』をもらったときのことを暴露されているのだから。
 ウルカの言葉はなおも続く。

「あの時から手前の剣はユート殿に捧げました。手前の剣も、身体も、心も、全てユート殿の物。
 手前のユート殿を思う気持ちは、トキミ様がユート殿を長年想ってきた気持ちに決して負けませぬ!!」

 びし、と『深遠』の切っ先を時深に向けて叫ぶウルカ。
 しかし対する時深もなんのその。
 この程度で引くようじゃあ千年間エターナルやってません。

「人が愛の語らいをしているところへ攻撃してくるような女に悠人さんが好意を抱くでしょうかねぇ?」
「あれのどこが愛の語らいですか。ひがみは見苦しいですよ、トキミ様。
 まあ、ユート殿に優しく愛してもらえなかったことが悔しいことは分かりますが」
「く、悔しくなんてありません!あれは悠人さんが私の魅力にメロメロになって自分を抑えきれなくなったからなんです!
 そっちこそ自分に魅力が無いからってそんな方法で悠人さんに抱かれるなんて不純です!」
「経緯に関しては大差ないでしょう!それに魅力が無いとはその胸で言える事ですか!
 手前とはカップの差が2つ近くあるでしょうに!!」※Wは一緒の値でBの差は9cmです
「言いましたね!?言ってしまいましたねその言葉を!!
 これは慎ましやかと言って大和撫子の必殺の武器なんです!!
 そりゃ私だってもうちょっと欲しいかなーと思った事もありましたけど、ちゃんとこの身体で悠人さんを悩殺して見せたんですからぁーー!!!」
「お、おい二人とも、もうその辺で―――」

「ユート殿は黙っていて下さい!!!」

「悠人さんは黙っていて下さい!!!」


「………はい」

 あっさり撃沈された悠人。よわっ。だからキングオブヘタレなんていわれるんだぞ悠人。
 その後も二人の言い合い、というか猥談?は続く。
 言い合っている二人は真剣なのだろうが、聞いている者にとっては間抜けなことこの上ない。
 その後、二人の息が続かなくなるまで言い合いは続いた。




「…分かりました。ウルカ、勝負です」

 ぜいぜいと切れていた息がようやく収まった頃、唐突に時深が切り出した。

「おい時深!俺は絶対止めるって………」
「大丈夫ですよ悠人さん。別に取っ組み合いをしようとか言うわけじゃありません。
もっと平和的な方法です。」
「承知しました。して、どのような勝負でしょう?」
「おいウルカ!?どんな勝負か聞く前に承諾して良いのかよ!?」
「ユート殿、どんな勝負だろうと、手前は退くわけにはいかないのです。
この勝負だけは、武人として、女として………!!」
「……料理勝負だったりしたら?」

 以前時深は悠人たちにおはぎを振舞ってくれたことがあった。
 あの腕前を見る限りほかの料理もこなす可能性は高い。

「…厳しいやも知れませぬ。しかし手前も最初の失敗から修練を積んできました。
 今はトキミ様に無残に負けるようなことにはなりませぬ。
 それに、料理に籠めるユート殿への、その…あ、愛情は惜しみませぬ故……」
「むっ!それなら私だってそうですよ!
 悠人さんに料理を作る時はいっぱい、い〜〜〜っぱいLoveを注いでるんですからぁ!!」

 ばちばちばちぃ、と再度火花を散らす二人。
 その激しさは今日子の雷のオーラフォトンもかくやというほどだ。

「…こほん。とにかく、料理勝負というのは置いておきまして」

 再度戦闘勃発か、というところで時深が話を戻す。
 どうやら料理勝負ではないらしい。

「悠人さんを賭けての勝負ですから、悠人さんに判定材料になってもらいます。いいですね?」
「俺は良いけどさ、それで結局一体どんな勝負なんだ?」

 このとき悠人は気付くべきだったのだ。時深が悠人を「審判」ではなく「判定材料」と言った事に………。

「これはどちらが悠人さんの伴侶になるかを賭けた勝負です。
ですから、どちらが妻として優秀かで勝敗を決します」
「「…………と言うと?」」

 悠人とウルカの声がハモる。流石佳織曰く似た者同士。


「ぶっちゃけて言うとどちらが先に悠人さんとの『夜の営み』の相性がいいか勝負です♪」


…………


「なにーーーーーっ!?」
「ど、どうしてそのような話になるのですかトキミ様っ!?」
「女が愛しい男を賭けて勝負すると言うことで考えた結果こういうことになりました♪」
「『♪』じゃなーーーーーーいっ!!そんなことできるわけないだろーーーーーーっっ!!
お前は自分で言った大和撫子の慎みとかどこに置いてきたぁーーーーーーっっっ!!!」

 ここで流されてなるものかと精一杯声を張り上げる悠人。
 しかし相手は自分の人生の50倍は生きているお姉さん、倉橋時深。少々相手が悪かった。

「だって出来ちゃえば立派な既成事実じゃないですか♪」
「そっちが本音かぁぁーーーーーーっ!?」
「ト、トキミ様!手前はそのようなことは出来ませぬ!!」
「あぁら、ウルカはさっき承諾しましたよねぇ?
 ここで放棄するなら私の不戦勝になっちゃいますよぉ?」
「くっ………!」

 悔しげに唇を噛むウルカ。生真面目すぎるぞウルカ。もっと口もうまくなれ。

「ってウルカも納得しない!時深も!もっと他の勝負方法を考えろよ!!
 いくらなんでもこんな勝負方法は納得できないぞ!」
「……だって」

 いきなり時深の声のトーンが下がる。
 何事かと二人が時深を見ると、彼女ははらはらと涙をこぼしていた。

「だってしょうがないじゃないですか!
 さっきの言葉で悠人さんとウルカがぴったりくっついてることぐらい分かってます!
 だから私にはもう襲って奪うくらいしか手段は残されていないんですっ!!」
「って言ってる間に服を脱ごうとするなぁぁぁーーーーーっ!!!」
「あぁもうっ!男ならごちゃごちゃ言わずにやっちゃいなさ〜〜〜い!!!」
「ウ、ウルカ!頼む、助けてくれ〜〜!!」
「………承知」

 ウルカはそう答えると『深遠』を鞘に収め、するりと衣装を脱ぎだした。

「……って違うだろ!?俺は時深を止めてくれって意味で助けてくれと言ったんで―――」
「ユート殿、トキミ様は本気です。
 例え今ここで手前が何かいったところで止まりはしないでしょう。
 ならば手前も全力でお相手いたします。
 そして二度とユート殿に手出しできぬよう、決着をつけて差し上げます!」
「望むところです!」
「望むなぁぁーーーーーーっ!!!
 『聖賢』、なんとかしてくれぇっ!」
(黙っていろと言ったのはお主だろう。私から何かするつもりはない。
それに私は馬に蹴られたくは無いのでな)

 すげなく返されてしまった。
 ひょっとしてまだハリセン扱いされたことを怒っているのだろうか?
 どちらにしろ、正に四面楚歌と言うにふさわしい状況である。
 悠人ピンチ!
 そうこうしているうちに二人は服を脱ぎ終わっていた。
 ウルカは褐色の肌にスレンダーかつ出るところは出ている魅力的な肢体。
 首のチョーカー(?)だけははずされていないが、それが何か背徳的な雰囲気をかもし出し、ウルカを更に魅力的に見せていた。
 時深は時深に比べるとなだらかな曲線だが、それが清楚な印象を見るものに与えていた。
 ちょっと(?)がさつな内面とのギャップが彼女の美しさを更に際立たせていた。
 追い込まれている状況にもかかわらず、悠人は思わずごくりと喉を鳴らしてしまった。
 そんな悠人へ狙いを定める二人。
 哀れなヘタレへ二匹の美少女が襲い掛かる!!


「絶っ対悠人さんを私のものにして見せるんですからぁ〜〜〜!!!」

「ユート殿の伴侶の座は譲りませぬっっ!!!」

「あぁぁぁれえぇぇぇえ!!??」


 宿屋の一室に二つの叫びと一つの悲鳴がこだました………。




 暗かった空が白みがかり、小鳥の囀りが朝の到来を告げる頃、ベッドの上の3人の内2人がもぞもぞと動き出した。

「う……うぅんん………」
「ふぁぁ…朝、ですか………?」

 身を起こしたのはウルカと時深だった。
 二人とも行為の疲れからかまだ眠そうだ。
 それに勝負がエスカレートしてそのまま眠ってしまった為、二人の身体は汗やその他の体液ででべたべたである。

「「…………あ」」

 二人の目が合った。
 ウルカは頭が完全に覚醒したらしく、急速に顔が真っ赤になった。
 時深も恥ずかしいのか慌ててシーツを―――勝負の所為で凄い匂いの上かぴかぴだが―――を纏って顔を伏せた。

「ト……トキミ様、勝負は、どうなりましたか?」

 未だ顔が赤いウルカが先に切り出した。

「不甲斐ない事に手前は途中で意識を失ってしまいました………。
 決着は一体どうなったのでしょう?」

 不安げに問うウルカに時深は溜息を一つつくと、

「私にも分かりません」

と答えた。

「………はい?」
「だ、だってウルカが悪いんですよ!
いきなりダークスプリングなんて使っちゃうから悠人さんが凄いことになっちゃったんじゃないですか!!」

 つまりは二人とも悠人に気絶させられてしまったということらしい。

「な、気絶したのはトキミ様の所為でしょう!タイムリープなど使われては抵抗力の低い手前が感じさせられてばかりではないですか!!」
「それを狙ってたんだから当たり前です!ウルカはカウンターがあるから防御できないところを一気に攻めるのが良いんです!私よりずっと体力も多いんですから!!」
「くっ、卑劣な!!手前はプロファウンドパワーで手前を高めることくらいしかしなかったというのに!!」

 第二次不毛な言い争いは悠人が騒々しさで目覚めるまで続いたという。




「いや、俺だって最後の方どうなったかなんてよく覚えてないぞ……」

 カラカラにやせた悠人の証言も結局判定材料にはならなかった。

「だって最後の方なんて二人で俺を責めて来たじゃないか。
二人一緒に舐めてきたり折り重なったり…」
「ユ、ユート殿!どうしてそういうことは覚えているのですかっ!!」
「真っ赤になりながらそんな解説しないでくださいっ!!」

 結果、三つの完熟トマトが完成。
 トマト達はしばらく何もしゃべることが出来ず、トマトから人間になるには少々時間を要した。

「…結局、勝負は引き分け、ということでしょうか」
「そうですね。では決着はまたいずれ、ということで」
「ちょっと待った。『またいずれ』って今度も同じ勝負じゃないだろうな?」
「もちろんそのつもりですけど?」

 間。

「できるかぁぁーーーーっ!!!今度は本当に死んでしまうぞぉぉーーーーーっ!!!」
「大丈夫ですよ、私達はエターナルなんですから♪」
「ユート殿、次は手前は絶対にトキミ様に負けませぬ故、御安心を」
「ほほぅ、ウルカ、ずいぶんと強気ですね〜。あの時はあんなにしおらしいのに」
「そういうトキミ様は責めが粗かったですね。やはり内面の粗さが起因しているのでしょうか?」
「あぁぁぁぁ………」

 ばちばちと火花を散らす二人に頭を抱える悠人。
 というか最初にきっぱり二人を拒めなかった自分が恨めしい。

(やっぱり俺、これからも流され続けちまうのかなあ…)

 これからの先行きに不安を感じる悠人。
 そんなエターナルたちを神剣たちは呆れ気味に、そして少しだけ微笑ましげに見守っていた…。

終わり?


後書き

こんばんは、4049です。
初めてSSを書いて出来上がったのがこの作品です。あぁっ石を投げないで〜。
とりあえず、ウルカ、時深、悠人ファンの皆様、ごめんなさい。
Xuseの皆様、ローガスをさわやかにひどい人にしてすいません。
後ひょっとしたらえろを期待した人、私にはそのような技量はまだありません申し訳ありません。
管理人の七野珀翠様、神剣ネタに続いてこんな作品を送っちまった私をお許しください…。
やっぱりSSを書くのは大変ですね。
終わり?と書いてありますがこのお話を続ける予定はありません。
というかSSを更に書けるかも未定…。
最後にこんなところまで読んで下さった人、本当にどうもありがとうございます。

おかしいと思った箇所を修正しました。

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